このページは国際安全衛生センターの2008/03/31以前のページです。
NSC発行「Safety + Health」2001年2月号

ニュース



裁判官、企業の移転を禁止


 米国企業が、国境の南へと操業を移す要因は、さまざまである。技能労働者、低賃金、メキシコ政府の奨励プログラムである。

 しかし、労働者が組合を結成することにしたから国外へ逃避するのは、違法である。ロサンゼルスの宝飾品製造業者がまさしくそうしようとしたが、連邦裁判所は、昨年11月、これを禁じ、労働の権利団体が画期的な判決だと評した。

 米国地方裁判所のカーロス・モレノ判事は、昨年11月、クワダーテック社に対し、ティファナへの工場移転を禁止するとの命令を下した。同社は、最低賃金で120名の移民労働者を雇用しているが、労働者が、2000年7月、アメリカ労働者連絡会への参加を票決した翌日、移転の予定を発表した。

 組合活動は、負傷した労働者に対し、医師が着席した状態での就業を勧告したにもかかわらず、管理者がいすの提供を拒否したことから、活発化した。また、昨秋、全国労働関係委員会に申し立てた労働者らは、極度に高温な条件下で、早いスピードで働かされたと述べている。

 クワダーテック社のヴラジーミル・リール社長は、昨年12月、法廷で、米国工場を引き続き操業させること、解雇した労働者数名を再雇用すること、また、新組合と誠意をもって交渉することを約束した。

 コーネル大学のケイト・ブロンフェンブレナー教授は、同判決は、この種のものでは初めてで、米国の労働者の権利にとって、よい兆候であると考えている。

 「和解によると、組合結成の回避を目的とした移転を中止させるのは、合法である」と、ブロンフェンブレナー教授は、ロサンゼルス・タイムズ紙で述べた。