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NSC発行「Safety + Health」2001年2月号

ニュース


規則作成に真夜中12時の鐘


 2000年の大統領選挙も終わり、ジョージ・W/・ブッシュ次期大統領が、はやくも新閣僚を任命、就任式企画担当者は、舞踏会の準備で大忙し。クリントン政権下の省庁では、馬車がかぼちゃに戻るまでに、最終規則を公表しようと大急ぎ、との調査結果がある。

 ジョージ・メイソン大学マーケイタス・センターのジェイ・コクラン調査アナリストは、政権交替について調査。行政府が交替する際、大統領選後の11月から1月にかけ、規則作成は、29%も増えると判明した。

 コクラン氏によると、クリントン政権は、どの政権よりも多くの規則を土壇場で公表しているが、これは、とくに例外というわけでもない。調査を開始した1948年以来、共和党政権であれ民主党政権であれ、ほとんどの政権は、任期末に規則作成活動を増やしている。

 「行政府の目標達成のため(あるいは、個人の好みを思いのままに満たすため)、期限までに規則を世に出そうと、レースが始まる」と、コクラン氏は、「シンデレラの制約。大統領選後の四半期に規則が急増するのはなぜか」と題した調査報告書に書いている。

 黒肺病を患う炭鉱労働者の給付の受け取り方の変更から、連邦政府の契約業者の新要件まで、連邦省庁は、任期切れまでに急いで、フェデラル・レジスターに推定2万9千ページを追加した。

 EPA(環境保護庁)は、紙の量では先頭をきる。当局は、何百万エーカーもの森林の商業伐採の禁止から、大気質基準および殺虫剤水準の変更にいたる88もの規則を、クリントン政権末期の90日間で公表しようとしている。

 新規則の大半は、新政権はより産業界に友好的であろうと希望し、その発足を心待ちにしている産業団体を立腹させている。ブッシュ新政権と議会に、これらの政策の方向転換または修正を要求しているが、一度、規則として成立すると、大統領や議会をもってしても変更するのは難しい。

 一例として、EPAのディーゼル燃料汚染物質の規制強化がある。産業団体は、声を大にして抗議しており、この決定を変更するよう、ブッシュ政権に働きかけようと断言している。公益施設からの水銀排出規制、農業廃棄物の地表流出、アルミニウム・ダイカスト、合板および合成木材加工品、湿地帯保護といった新規則は、新年当初から完成しかけていた。

 EPA側は、これらの規制は、科学的調査、公聴会、公開コメント、法律審査、政府再検査という通常のプロセスを得て、何年も前から作成に取りかかったものだと指摘。事実、昨年同期には、もっと多くの新規則を公表したという。他の調査員によれば、EPAは概して、他省庁より多くの規制を公表しており、規則の増加は、通常の増加に比例しているだけだという。

 しかし、大統領選後の規則公表は、順序正しいプロセスの一部をなすだけだとの意見には反対する見方もある。コクラン氏は、クリントン政権は、全速力で舞踏会を去ろうとしていると述べた。

*訳注)黒肺病.....炭粉症とも言い、吸入した黒炭粉じん粒子が肺沈積し、慢性的炎症をおこす.