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NSC発行「Safety + Health」2001年2月号

ニュース



OSHA、使用者団体パートナーシップ、労働安全を改善



 使用者もしくは使用者団体との安全衛生パートナーシップを構築しようとのOSHAの試みは、数年前に着手されたが、ここ数ヶ月で、徐々に成果がみられるようになった。

 OSHAは、フォード・モーター社から、全米自動車労組(UAW)、伐木搬出協定を結んだアイダホ州の森林所有者にいたるまでの、企業や組織との草分け的連携をはじめ、6組のパートナーシップを公表した。近年、とくにパートナーシップを強調してきたわけではないものの、数年前にはじめた試みが結実しはじめたと、OSHAスポークスマン、ビル・ライト氏は述べた。


パートナーシップの進展

 しかし、OSHAは、現在、およそ80組にのぼるパートナーシップを説明したページを、ウェブサイト(www.osha.gov)に追加した。パートナーは、アウトリーチ(訳者注、現行の限度を超えたサービス)、訓練、技術援助、現場相談を得られ、OSHAは、集中監督の制限、深刻な危険にのみ限定した召喚・罰金の課金、罰金の減額、安全衛生プログラムの専門知識や資料を共有する新しい機会の設置などで、パートナーシップへの参加を奨励している。

 OSHAは、当局、労使間の協調的な自発的合意のもと、連邦レベル、地方レベルで職場の安全衛生を改善する、労働安全衛生に向けての戦略的パートナーシップ・プログラムを1998年11月13日に採択したことで、アル・ゴア前副大統領のハンマー賞を受賞した。同賞は、政府再構築に向けての全国パートナーシップから授けられた。現在、OSHAは、当局の自主的保護プログラムで認定されている700強の事業場のほか、約100社と専門パートナーシップを組んでいる。

 OSHAのパートナーシップの相方は、大半が小企業で、シリカ・鉛暴露、養護施設の深刻な障害、食品加工、伐採搬出、建設など、当局が、戦略5ヵ年計画で的を絞った課題をカバーする。同プログラムは、伝統的な労働監督で施行しうる以上の事業場及び労働者を保護するため、知識・経験を蓄積する。


パートナー第1号


 フォード社、UAWとの新しいパートナーシップは、自動車産業特有の危険を取り上げ、全米の同社25工場における労働監督プロセスの合理化をめざし、指針を作成する。「この連携は、公民協力の新しい先例となる」と、OSHAのチャールズ・ジェフレス長官は、先日、こう発言した。

 パートナーシップを結んだ工場はいずれも、連邦当局の施行下にある州に所在するが、フォード社は、他の州でも、OSHA承認の州政府による労働安全衛生計画で、同種の合意を得たいと考えている。

 一方、アイダホ州ルイストンのパットラッチ社は、OSHAとの伐木搬出パートナーシップを取り結んだ同州初の森林所有者となった。伐木搬出業は、危険性の高い産業で、OSHAは、同社の「優れた」安全衛生管理に着目し、初の伐木搬出パートナー候補として目していたと、シアトルのリチャード・テリルOSHA地域行政官は述べた。OSHAは、他の伐木搬出パートナーシップも検討すると述べた。


ニューヨークのパートナーシップ

 OSHAは、ニューヨーク州の建設業者と2組のパートナーシップを取り結んだ。ひとつは、9千人の建設労働者を擁する建築・建設業者連合(ABC)ニューヨーク州支部との「プラチナ・パートナーシップ」協定と呼ばれるもの。同連合会員が、特定作業場向け労働者訓練も含め、「模範的な作業場安全衛生プログラム」を示してきたことが認められた。

 OSHA戦略計画の目標のひとつは、墜落・転落、感電、危険な建材等にぶつけられる、はさまれる等の事故に的を絞り、建設業における死亡率を15%削減することであると、ニューヨークのパトリシア・クラークOSHA地域行政官は述べた。OSHAによると、建設業者およびハミルトン郡(オハイオ州)とのパートナーシップで、シンシナチ・ベンガルの新ポール・ブラウン・スタジアムの建設中、休業傷害と疾病率は、100人あたり0.95人で、建設業界における全国平均4.0人を大幅に下回った。

 プラチナ・パートナーシップ下の建設業者は、記録すべき傷害と疾病率(死亡を除く)を、建設業平均が年間100人あたり8.8人なのに対し、8.0人未満に抑えるなど、安全基準を満たさねばならない。また、過去3年間に、故意の違反、重大な繰り返し違反による召喚、あるいは、死亡事故もしくは災害事故による重大な召喚があってはならない。建築・建設業者連合は、1年前(2000年2月)に、OSHAとのナショナル・パートナーシップ協定に署名した。

 もうひとつの例は、ニューヨーク州の郊外住宅地整備団、同州労働省安全衛生課、ニューヨークのURS社、AFL-CIOウェストチェスター、パトナム郡建築・建設業協議会とのパートナーシップ協定である。協定が適用されるのは、ウェストチェスター郡の3階建て裁判所庁舎別館の建設と裁判所庁舎の20階建てタワーの復旧である。

 OSHAはまた、連邦労働者2000イニシアチブの一環として、米国土地管理局レイクビュー(オレゴン州)地区およびフレモント・ナショナル・フォレストと共に、長期的な安全衛生の改善に向けた新アプローチを展開する、パートナーシップ協定を発表した。同イニシアチブは、休業件数を年間10%削減し、傷害と疾病率による損失生産量を年間2%縮小し、年間労働者補償費の増加を制限する。 アル・カー著