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NSC発行「Safety + Health」2001年2月号



OSHAの最新情報


業務上の死傷と疾病の発生率は引き続き減少

 労働統計局(BLS)によると、業務上の死傷者数数は、1999年には4%低下、政府が統計を集計して以来、初めて最低値を記録した。労働統計局は、1998年に比べ、労働時間は2%増加したものの、死傷者数は、570万件であったと報告。この減少は、7年連続で、1992年以来、死傷者数は30%減った。

 労働統計局によると、この減少で、フルタイムワーカー100人あたりの死傷率は、1998年の6.7人から6.3人に減った。これは、当局が1970年初頭にこの統計を集計して以来の最低値である。

 「この着実な下降傾向は、労使が、労働安全衛生に高い優先順位をつけていることを示すものである」と、アレクシス・ハーマン労働長官。

 「製造者の努力で、業務上の死傷と疾病の発生率は減少しつづけている。OSHAの過剰規制やミクロ管理によるものではない」と、全国製造者協会(NAM)のパトリック・クリアリ人的資源政策担当副会長は言った。

 同協会のジェニー・クレス雇用政策部長は、労使が、安全衛生プログラムの金銭面、健康面での利益を知るにつれ、その発生率は下がり続けると述べた。

 「これは、企業が正しいことを行っており、効果を出そうと、企業が労働者と協力していることを示している」と、クレス部長は言った。
労働者100人あたりの業務上の死傷発生率率

食肉加工工場

製造業

建設業

運輸・公益事業

農業

26.7%

9.2%

8.6%

7.3%

7.3%

 食肉加工工場の100人あたりの負傷率(死亡を除く)は、昨年は、26.7%で、産業別では最も高い値である。製造業は9.2%、つづいて建設業の8.6%、農林漁業、運輸・公益事業は、ともに7.3%である。



企業は、OSHAの改正記録保持基準を待望

 現時点で、OSHAは、開発に時間を要した、事業者の業務上の死傷と疾病の発生立率記録方法に関する改正規則を、2001年1月に公表する予定である。

 新規則は、2002年1月1日までは発効しないため、それまでの丸1年間は、事業者は、業務上死傷と疾病の記録の際、指針として参照できる。OSHAは、新しい記録保存義務を、新エルゴノミクス基準下の業務上死傷と疾病記録に関する配慮と調和させようとの試みを、明らかに断念した。

 また、北米自由貿易協定のもと、新産業分類コードが2003年1月1日より発効するため、OSHAの新記録保存基準で、労働統計局が、産業分類別、下位分類別死傷と疾病率を報告するのは、わずか1年に過ぎない。これは、産業別数値がもう一度変更する前となる。

 OSHAの記録保存改正は、政労使の合意に基き、1996年2月に提案された。改正は、使用者のOSHA2000記録保存のしかたに、より合理性をもたせるよう、大半は、職場の管理職の義務により一貫性を持たせ、混乱のないよう、企図されたものである。

 しかし、改正が提案されてからの5年間で、ずいぶんと時間がたち、OSHAが、提案していた変更箇所の多数を撤回したと解され、新基準をめぐる使用者団体の熱意は、かなり冷めた。チャールズ・ジェフレスOSHA長官によると、最終規則は、1996年当初の提案よりは、現行規則に近い内容となる。

 「変更箇所は、あまり重要性がないのではないかと、我々は懸念している」。元OSHA統計室長で、現在、大企業調査団体のオーガニゼーション・リサーチ・カウンセラーズのコンサルタントを務めるステファン・ネウェル氏は、こう述べた。

 論点のなかには、例えば、労働者の腰痛に関し、職場の寄与度が「いくぶんでも」あれば、事業者はこれを記録せねばならないかどうか(OSHAのエルゴノミクス基準の序章では、より本質的な職場の役割が要求される)、業務関連疾病をどう記録するか、などがある。これらは、通常、症状があらわれるのが遅く、労働条件によって生じたと証明するのが難しい。



OSHA、違反続行で企業を召喚


 OSHAは、テキサス州タイラーの鋳鉄工場、タイラー・パイプ社で、2000年6月29日、整備工1名が死亡した事故を調査、6件の故意の違反を含む17件の安全衛生違反で召喚、100万ドル強の罰金を要求した。

 OSHAによると、整備工は、ベルト、プーリー(滑車)、コンベヤーが動いている時に、機械のピットに1人ではいり、いつもどおり整備にあたっていた。また、整備工は、閉鎖的な空間で働く際に必要な許可も得ず、働いていた。

 事故に先立つ1年弱前、OSHAは、タイラー・パイプ社を、閉鎖的空間、ロックアウト・タグアウト基準の違反で召喚した。OSHAによると、同社は、5回の事故調査を含め、32回の労働監督を受けていたが、整備工の60%以上が業務中に負傷。このなかには、2件の死亡事故、「数多くの」切断事故が含まれている。

 OSHAはまた、メイン州ターナーの旧ディコスター・エッグ・ファームの後継4社に対し、種々の安全衛生違反で、計125,600ドルの罰金を要求した。ディコスター社は、A・J・「ジャック」・ディコスターが、元従業員の所有する卵生産・売買会社4社と契約を結んだ後、1997年に、労働安全衛生法違反による200万ドルの罰金の支払いに合意。OSHAは、1999年、この4社に対し、224,625ドルの罰金を追徴した。

 4社は、いずれもターナーに所在するメイン・アグ・LLC、メイン・コントラクト・ファーミングLLC、PFSローディング・サービスおよびターナー・メインテナンス&サービス社。

 タイラー・パイプ社の職員および4社の弁護士は、コメントに応じなかった。



OSHA、安全違反で企業を召喚


 OSHAは、おとり照明弾その他の軍用発光弾を製造する、フロリダ州ペリーのMEIホールディング社を、10件の故意の違反を含む60件の安全衛生違反で召喚、832,000ドルの罰金を要求した。これは、2000年5月1日、1名が死亡、1名が重傷した爆発事故を受けたものである。

 OSHA担当のチャールズ・ジェフレス労働副長官によると、同社は、11回の労働監督を受けて、安全衛生基準については「よく認識していた」にもかかわらず、5月1日と同様の製造工程で、同様の爆発事故を数ヶ月前に起こしていた。同社のデイビッド・コール社長は、コメントを断った。

 OSHAはまた、労働者を危険な掘削作業に従事させ、重傷を負わせたとして、6件の故意の違反を含む9件の違反で、オハイオ州ポーツマスのブーン・コールマン・コンストラクション社を召喚、348,600ドルの罰金を要求した。OSHAによると、ポーツマス担当職員は、この掘削業者に対し、従業員2名がからくも負傷を免れた落盤後も、安全な掘削慣行を守るよう、説得を試みていた。

 同社の所有者、ブーン・コールマン氏は、コメントに応じなかった。