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NSC発行「Safety + Health」2001年4月号

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議会によるエルゴノミクス基準の無効化、労組は違反だと抗議

ワシントン − パットン将軍を喜ばせるような全面攻撃で、産業団体は、OSHA(労働安全衛生庁)のエルゴノミクス基準の議会両院での撤回に成功した。基準撤回に投じられた票は、大半が共和党員からであったが、両院の民主党員数名も、撤回に投じた。
 上院56票対44票、下院223票対206票で、賛否両派とも、エルゴノミクスに関し、各々の見解を熱心に討論した。産業団体、労組は、熱心なロビー活動を展開した。
 現時点で、同基準を無効とする議会の決議は、当然ながら、大統領の署名を要する。
 予想されたとおり、米国商工会議所はこの動きに喝采、一方、労働組合は激怒した。「商工会議所ならびにその会員企業にとって、エルゴノミクス基準の撤回は、最優先課題であった」と、米国商工会議所のランディ・ジョンソン労働政策担当副会頭は述べた。
 AFL-CIOのジョン・スウィーニー会長は、「負傷労働者に対し、反対票を投じた上院の行為は、不誠実とか不名誉といったことばでは表しきれない」と反論。「労働者の安全に対する攻撃を援護した民主党員の票は、とくに卑劣である」と続けた。
 上院、下院議員らは、議会での討論で、各々の立場を主張した。アン・ノースラップ下院議員(共和党、ケンタッキー州)は、「我々の職場に多大な危険をもたらす新規則が公表された」と述べた。
 これに反論して、下院少数派代表のディック・ゲッパート議員(民主党、ミズーリ州)は、「民間企業が、自分たちの収益のために正当だと考えているからというだけで、我々は、発展に背を向けてはならない」と語った。
 エルゴ基準を支持する団体は、同基準は、産業界におよそ45億ドルの負担であると述べているが、産業団体は、1千億ドル以上の負担を強いられると主張している。
 同基準の撤回については、本誌5月号で詳細を伝える。