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NSC発行「Safety + Health」2001年4月号
ニュース
裁判所、EPAの大気浄化基準の設定権を支持
ワシントン― EPA(環境保護庁)による大気浄化基準の施行権限を肯定する機運のなか、米最高裁判所は、連邦政府の安全衛生規則の設定方法について、全員一致で支持票を投じた。
最高裁は、二大問題に取り組んだ。ひとつは、EPAが新たに大気浄化基準を定める際には、費用効果など経済要因を考慮すべきだとする産業界の主張で、これに反対した。もうひとつは、1997年に厳しいオゾン・ばい煙基準を設定した際、EPAは権限を逸脱しなかったと、最高裁は述べた。
この裁定は、大気浄化基準を越えた反響を呼んだ。バージニア州アレクサンドリアの全米トラック運送協会およびこの訴訟に加わった何十もの産業団体に対する裁定は、政府省庁の安全衛生規則に挑戦する道を開いたであろう。
「もし、最高裁が下級裁判所を支持していれば、労働者安全、環境、その他多数の問題に関し、規制手続きすべてを危機にさらしていたことだろう」と、ワシントンの大気浄化トラストのフランク・オドネル常務理事は主張した。
環境団体は、大気浄化の勝利だとして、最高裁の裁定を歓迎した。
「この歴史的な最高裁裁定は、スモッグ・ばい煙公害水準を制限する新しいEPA基準は、論理的に正しい科学、政策、法の解釈にのっとったものであるという、3年半前には明らかだったことを確認した」と、ニューヨークを拠点とするエンバイロメンタル・ディフェンスのビッキー・パットン上級弁護士は述べた。同氏は、訴訟により基準が延期されなければ、1万5千件の早すぎる死や35万件の喘息の悪化を防げたと主張した。
産業団体は、この裁定は、遵法費用を増し、経済成長を損ないうると主張。強い経済と環境保全は、密接に関連しており、EPAが新たに大気浄化基準を設ける際には、健康上のリスクだけでなく、費用を考慮するよう、同庁に強いるよう、議会を説得すると断言している。
「我々は、新政権のもと、議員らとともに、何十億ドルもかかるこのような裁定が、健康に有益だとの科学的証明もないまま、経済、ビジネス、職業に与える大打撃を警告し、闘い続ける」と、訴訟に加わった米商工会議所のトーマス・ダナウェイ会頭兼CEOは述べた。
しかし、産業団体は、新しいスモッグ基準の施行を延期するとした裁定の一部については、歓迎。最高裁は、重度汚染地域に対し、EPAは、議会が意図していたよりも短い時間を,与えたと言及。EPAは、最高裁が公正だと納得するような規則を作成せねばならない。
クリスティン・トッド・ウィットマンEPA長官は、この判決を「何百万人もの国民の健康を大気汚染から守ろうとするEPAの努力を、真に支持したものである」と述べた。
問題の基準
大気浄化法は、大気関連基準すべてを5年毎に見直すよう、EPAに義務づけている。1997年には、スモッグ関連基準を強化、直径2.5ミクロン以下の微粒子に関する基準を設定した。スモッグは、自動車、発電所、化学工場、精油所、その他さまざまな施設からの排出により生じる。微粒子には、ディーゼル・エンジン・トラックや発電所などからの浮遊ばい煙も含まれる。 |
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