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NSC発行「Safety + Health」2001年6月号

OSHAの最新情報


エルゴノミクス、今後とも議論の的

OSHAのエルゴノミクス基準に関連した議会の先日の行動をうけ、ワシントンの議員や他の利害関係者らは、蓄積外傷性障害をめぐる進展に影響を及ぼそうと動いている。
 上院小規模事業委員会委員長を務めるキット・ボンド上院議員(共和党、モンタナ州)は、OSHAが筋骨格系障害にどう対処すべきか検討するため、委員会を召集するよう、エレイン・チャオ労働長官に要請した。労働・衛生・人的サービスに関する上院歳出小委員会委員長のアーレン・スペクター上院議員(共和党、ペンシルバニア州)は、エルゴノミクスに関し、議員はどこをめざすべきかを検討するため、聴聞会を開いた。ジョン・ブロウズ上院議員(民主党、ルイジアナ州)は、2年以内にOSHAに改正基準を作成させる法案を押し進めている。
 さらに、民主党出身の上・下院議員数名と多数の労組リーダーは、4月25日、記者会見を開き、ブッシュ政権に対し、反復的負荷傷害に適用する新しい労働安全基準を早期に公布するよう、要求した。この会見で、トム・ハーキン上院議員(民主党、アイオワ州)は、新エルゴノミクス基準の開発を労働省に要請しようと、労働組合、人権団体、女性団体が署名した請願書を発表した。
 しかし、先日廃棄されたOSHA基準を支持していた民主党員数名は、当該法規の破棄に用いられた1996年の議会再検討法は、議会が棄却した法案を代替する、いかなる「実質的に類似した」基準も禁じていると指摘。もとOSHAのエルゴノミクス顧問のデイビッド・カクラン氏は、新基準の登場には、少なくとも4年を要すると予測している。
 一方、労働省は、OSHA 基準を覆すよう求めている30件の訴訟を、同基準が存在しない以上は却下するよう、連邦控訴院に申請中である。



下院、会計検査院、小規模事業支援に動く

 OSHAなど連邦規制当局と連携している小規模事業主は、ワシントンでの最近の2つの進展から恩恵を受けることとなろう。
 下院では、418票対0票で、小規模企業の報告書作成義務の合理化に向け、その方法を模索する対策チームを創設する法案が承認された。これで、政府機関毎に報告を単一の様式にまとめるか、一つの電子報告システムを使用するよう、各当局に義務付ける可能性もでてきた。
 この小規模事業報告義務軽減法はまた、行政予算管理局に対し、毎年、小規模企業の政府機関別報告義務を特定するよう義務付け、各当局には、小規模企業担当の連絡窓口をひとつ設定するよう義務付ける。
 本法は、先の2回の議会で、下院が通過させた法案に似ている。しかし、これらの2法案と異なり、報告義務軽減法は、小規模企業による報告義務規則の初犯に対して、制裁規定を免除していない。
 同法案は、上院の審理に回された。
一方、議会会計検査院は、OSHA、鉱山安全衛生庁、移民帰化局やEPAなど、規制当局所管の法規に違反した小規模企業に対する罰金減免の程度や範囲は、さまざまであると述べた。
 しかし、施行における罰金減免措置の多様性は、小規模事業法規施行適正法や各当局の制定した特定の法律で許容されている。
 会計検査院は、他の企業より大幅な罰金減免を小規模企業に一様に与える政府機関の政策が、小規模企業の関わるすべての法施行を網羅するよう、議会に対し、報告義務軽減法の修正を勧告している。
会計検査院はまた、小規模企業罰金減免構想をより明確にするよう、各当局の施行する小規模企業関連の法規数や、どの法律の施行で罰金を軽減したか、その金額も含め、具体的なデータの記録を各当局に義務付けるよう。議会に要請している。





OSHA、一部の使用者に危険リストの公表を指示


OSHAは、先日、州営の労働安全衛生相談プログラムを利用している使用者は、重大危険リストとそれらの改善策の公表を含め、新しい暫定ガイドラインに従わねばならないと発言した。
 OSHAは、6 月30日に失効する新暫定遵守指令は、使用者は、危険リストを関係労働者全員が見える位置に3日間、是正に必要な場合はもっと長く、掲示しなければならないと述べた。
 また、同相談プログラムに参加している使用者については、名前や臨検結果を秘密扱いとし、州または連邦政府職員がアクセスしないようにする.同プログラムは、州安全衛生署で運営されているが、連邦政府機関であるOSHAの予算が拠出されている。
 しかし、深刻な、または、急迫した危険が、当局と使用者との間で結ばれた契約のとおり是正されない場合、または、小規模事業主が表彰・免除プログラムにより監督猶予を与えられた場合には、秘密性は確保されない。
 このプログラムの参加資格を得るには、全社で500人未満の従業員、事業所単位で 250人未満の従業員を抱える小規模企業は、労働損失日数を伴う傷病発生率や記録すべき災害率を産業平均未満に下げなければならない。また、一連の使用者義務や労働者の権利を守るよう、同意しなければならない。
 1年後、プログラム参加者は、州の安全衛生監督計画を2年間、免除される。