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NSC発行「Safety + Health」2001年9月号

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新聞社の調査で、べリリウム問題の拡大が判明

 シカゴ − シカゴ・トリビューン紙の調査で、職種もさまざまな労働者数千人が、適切な保護具や警告がないままべリリウムに暴露、死に至る事もある慢性肺疾患を患う可能性があることが判明。労働者は、エレクトロニクス、リサイクル、機械、歯科にわたり、人肺を徐々に損なう危険性の高い有毒金属粉に曝されたという。
トリビューン紙は、OSHA規則や指針を遵守した企業はほとんどなく、政府もこれらの法規を施行していなかったと主張。OSHAは、べリリウムについて、職場で警告表示するよう義務つけており、べリリウム粉じんの暴露限界も設けている。OSHAは、べリリウムを扱う企業については、職場の空気中のべリリウム粉じんの監視、労働者への作業着とシャワーの提供、暴露の恐れのある労働者に対する健康診断を勧告した、自主的ガイドラインを設けている。
トリビューン紙の調査は、裁判、業界、政府の膨大な資料と、衛生当局者や事業主へのインタビューに基づいたもので、以下、調査結果を一部紹介する。
  • べリリウム製造、販売業者の警告は、しばしば不正確で誤解しやすく、不完全である。トリビューン紙は、10のべリリウム警告表記を調査、うち9点は、OSHA規則を守っていなかった。4点については、べリリウム疾患について記載していなかった。
  • OSHAは、べリリウムを扱う企業の監督をほとんど行っていなかった。同紙は、OSHAは、シカゴ地域でべリリウムを扱っている企業数社を10年間監督していなかったと報じた。
  • べリリウムを扱う企業のごく一部のみ、労働者の健康障害を探るため、血液検査を行っていた。
しかし、エネルギー省(Department of Energy)でさえ、過去25年間、兵器施設の労働者保護に何百万ドルも投じて、べリリウムに対処。トリビューン紙は、べリリウムからの労働者保護に、小企業が充分対処できる能力があるとは思えないとの、エネルギー省の元高官デビット・マイケルズ氏の話を引用。マイケルズ氏は、国家の安全保障目的以外でのべリリウムの禁止こそ、唯一の解決策だと述べた。