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NSC発行「Safety + Health」2001年9月号

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作業ゾーンでの死亡最多、議会、対策を要請

 ワシントン―全米幹線道路交通安全局(National Highway Traffic Safety Administration)の報告した最新の年間統計によると、1999年には作業ゾーンで872人が死亡し、過去最悪の記録となった。これまでの最多記録は、1994年の828人で、1990年代後半は、年平均3万9千人が負傷している。
 死亡者の約85%は、他の車両または道路わきの建設機材に追突した車に乗車していたドライバーその他の人々であった。死亡者の15%は、道路建設労働者や通行人であった。
 事故率は、1997年の死亡者数693人から26%の急増。このため、議会が調査にのりだし、連邦幹線道路局(Federal Highway Administration)、州政府職員、安全専門家、労働団体が、下院幹線道路・路線小委員会で証言台にたった。
 「作業ゾーンを通過するドライバーや仕事を完成させようと昼夜働く労働者は皆、作業ゾーンの安全確保のために、できることは全てしなくてはならない」と、小委員会のトム・ペトゥリ委員長(共和党、ウィスコンシン州)は述べた。
 在ワシントン市の幹線道路建設労働者組合である国際作業技師組合(International Union of Operating Engineers)を代表して、ラリー・エディントン氏は、建設ゾーンの労働者保護は充分でなく、また、幹線道路建設・復旧の効率改善イニシアチブが、労働者の安全にマイナス影響を及ぼしている可能性があると語った。
エディントン氏は、懸念として、安全の重要性を軽視した競争的な入札プロセス、過密な作業スケジュール、労働者を狭い空間へと追いやる通行権の縮小(reduced right-of-way)、労働者の視力が劣り、疲労もたまりやすい夜業の増加を挙げた。
 建設工事や交通量の増加は、問題を悪化させている。現在、幹線道路作業ゾーンは、バージニア州では、600以上、ニューヨーク、カンザス両州では500ゾーン、イリノイ州では400ゾーンあると、カンザス州のE・ディーン・カールソン運輸長官は述べた。カリフォルニア州では、向こう5年間で5マイルあたり1マイルの作業が予定されているとも述べた。
 聴聞会では、証人らは、現状打開の可能性を幾つかあげた。
  • 入札過程に安全プログラム費用は含まないこととし、安全関連費用が削られないようにする。また、建設会社はすべて、必要な予防措置を採る。
  • 作業ゾーンの労働者により十分な保護を確保する。
  • いくつかの道路プロジェクトでは、全体を通行止めとし、効率と労働安全の最大化を図る。
  • 作業ゾーン問題、関連法規を施行し強化する。
  • 作業ゾーン問題、関連法規について、一般公衆を教育する。
  • 作業員、関連法規施行担当職員らの研修を改善する。
 事故の最大の原因は、スピードの出し過ぎ、不注意、通行権の奪い合いである。