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NSC発行「Safety + Health」2001年10月号

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アスベスト関連支払い請求が急増 − 保険団体の報告

 ニューヨーク − アスベスト関連求償が300件と最低値を記録した1980年代以降、保険金支払い請求が急増、ここ数年間は何千件にも達している。ニューヨークにある保険情報研究所によれば、最近の支払い請求は、アスベスト製造業者よりも、アスベストを利用する企業から申請されている。これまでは、責任保険請求の大半は、企業の商業責任保険証券の製品部分について、申請がなされた。この場合、保険会社の責任は有限である。現在、企業は、原則的に総額限度のない、保険証券の土地・家屋、操業部分に補償を求めている。
 また、同研究所によれば、弁護士や労働組合は、暴露の兆候はあるものの発病していない労働者に対し、請求を申請するよう奨励している。後日発病しても、責任を問うべき企業は、アスベスト補償で破産しているかもしれないという懸念からである。しかし、アスベストに暴露したもの全てが障害者になるわけではないと、同研究所は述べている。発病前に請求するのも利点はあろうが、後日発病した場合、追加補償を受ける資格はないかもしれないと警告している。また、ロンドンの保険会社は、アスベスト補償を支払う前に、疾病の医学的根拠を求める。
インシュアランス・サービス・オフィス社によれば、保険会社は、主に1986年以前に作成された保険証券の環境、アスベスト関連支払い請求で、1991〜1999年には、損害、損害査定費用430億ドルを計上した。同期間中の保険金支払額は、計267億ドルであった。ワシントンにある同社のデータから、保険業界は、最終責任を考慮して、請求を加速的に処理していると推察できる。1999年、保険業界は、環境、アスベスト関連補償に54億ドルを支払った。これは、年間支払い総額としては過去最高で、同年に新たに支払い請求のあった29億ドルを25億ドル上回った。