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NSC発行「Safety + Health」2001年11月号

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NIOSH、アラスカ領空の安全をめざす

 アラスカ州アンカレジ − NIOSH(国立労働安全衛生研究所)は、アラスカ州での航空タクシー(近距離営業の不定期小型機)、コミューター便(近距離間の定期旅客輸送機)のパイロット、運営者に対し、衝突事故による労働死亡災害の防止に有益な情報を提供するよう、協力を求める任意調査を実施している。アラスカ州は、州別労働死亡率がもっとも高く、職業別では、パイロットの死亡率がもっとも高い。パイロットの死亡率は、アラスカ州の商業漁労民より高く、漁労民の死亡率10万人あたり150人に比し、パイロットは、10万人あたり400人となっている。
 アンカレジにあるNIOSH安全調査部のダイアナ・ベンジル疫学博士は、アラスカの地域の大半は遠隔地で、人は、移動するのに航空便に頼らざるを得ないと語った。
 「飛行機だと10分程度でも、地域によっては道路システムが確立していない。ほかの手段での移動は無理である」とベンジル博士。危険をはらむ地形や冬の暗さ、春秋の霧、着氷が、飛行条件を困難にしている。
 NIOSHの本調査は、立法化を目指すものではないとベンジル博士は強調した。
 「管理者、保険代理人、地域社会、パイロット間の協力に向けた気運がある。これは、協調行動である」と博士。「我々は、自主的改革をめざす。今以上の規制は望まない」。
 調査結果は、アラスカの労働死亡率の低下をめざすのみならず、全米の小型飛行機の安全改善に向けた勧告にもなりうるとベンジル博士は述べた。本調査の暫定結果は、11月に発表される。