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NSC発行「Safety + Health」2001年11月

ニュース



スカリア氏、労働省法務官就任に向け、第一関門を通過


 ワシントン― 上院衛生・教育・労働委員会は、11対10で、ユージーン・スカリア氏の労働省首席法務官指名を承認、組織労働者は敗北を喫した。各党の政治路線に沿った投票であったが、最高裁判事アントニン・スカリア氏の子息に対し、バーモント州の無所属、ジェイムズ・ジェフォーズ上院議員が支持票を投じたため、スカリア氏有利へと傾いた。
 共和党は、エルゴノミクス規制等、諸問題におけるスカリア氏の立場を擁護した。マサチューセッツ州のエドワード・ケネディ氏ら民主党上院議員は、スカリア氏は、労働者とは対峙する見解の持ち主だと述べた。
 エレイン・チャオ労働長官は、約5ヶ月間も未決状態となっていた指名につき、上院に迅速に対応するよう促した。「反対派には、本件を党派心のリトマス試験にしないよう要請する」と同長官。
確認聴聞会で、スカリア氏は、エルゴノミクス関連の傷害があるのは信じるが、エルゴノミクス基準でOSHAが規制しようとしていることは行き過ぎであると語った。
上院で多数の支持を得れば、スカリア氏は、労働法務官に就任し、約200もの労働法規の施行をつかさどる。



ワシントン州事業者団体、エルゴノミクスをめぐり州政府を提訴
 
 ワシントン州オリンピア― ワシントン州事業者団体は、新しい職場規制は、労働者保護の面では疑わしいにもかかわらず、事業者に過度な負担を強いるとして、州政府を訴えた。
 本訴訟は、産業団体と事業者の連合組織、「エルゴニミクス規制に関心のある在ワシントン事業者」と称する団体が起こした。訴訟は、同州労働産業省が起草した一連のエルゴノミクス規則は、実際の労働安全の改善には殆ど寄与しないにもかかわらず、事業者には法外な負担を強いると訴えている。
 問題の規則は、2002年 7月から6年間にわたり、段階的に実施される。同規則は、腰痛、反復動作ストレスや、その他、筋肉・関節に影響を及ぼす作業関連傷害を引き起こす可能性のある業務を特定するよう、事業者に義務付ける。
 まずは、製材所や建設業など、最多の傷害件数を記録している事業場が、リスク削減対策を講じるよう、義務付けられる。事業者には、新しい機材の購入、既存の機材への安全装置の増設、または機材の再配置や、傷害予防訓練の実施が求められる。
 「これは明らかに、州当局が権限を濫用し、政治的アジェンダに基づいて、規則を強引に押し付けるケースである」と、ワシントン建築産業協会のトム・マクケイブ会長は述べた。
 ワシントン州当局は、同規則は久しく待望されていたもので、年間何千件もの傷害を防止できると反駁した。ワシントン州労働産業省は、負傷労働者から年間5万件もの補償請求を受けており、これは、年間推計4億ドルの事業者負担となっている、と述べた。
 「これは、甚大な苦痛と生産性の喪失である」と、労働産業省のゲイリー・ムーア部長は語った。「我々は、エルゴノミクス規則が、職場の負傷を減らし、事業者のコストを軽減すると確信する」。
 ムーア部長は、同省は、エルゴ規制について改正または撤回する予定はないと付け加えた。


事実チェック

出所:全米安全評議会(NSC)、「Injury Facts」、2001年



労働統計局、9月11日対米テロ死亡者数の集計方法を検討中

 ワシントン― 労働統計局は、今年9月11日に発生した対米テロに関連し、職場で死亡した数千名の集計方法を間もなく検討する。
 世界貿易センターの2棟と国防省に対する航空機による攻撃で死亡した推計5千名の大半および航空機の乗組員やペンシルバニア州で墜落した航空機の乗組員は、業務遂行中に死亡しており、使用者は、労働統計局に死亡災害を報告することとなっている。また、その後、炭疽菌感染により死亡した郵便局員その他の労働者や、対米テロとは無関係の死亡者数を加えると、2001年度の業務上死亡者数は、昨年の死亡者数5,915人の倍にもなろう。
 労働統計局は、2001年度の死亡者数について、テロ関連分類を別立てするか、既存の分類に含めるのか、検討するだろう。労働統計局安全衛生労働条件担当のウィリアム・ウェバー副長官によると、既存の分類では、火災・爆発による死亡(当局は、火災・爆発の原因については不問)、または、殺人による死亡に分類しうる。
 「今、2001年度データを調べ始めているところであり」、ある年の統計が公表されるのは、当該年度末から通常6ヶ月以上あとであると、ウェバー副長官。しかし、テロとは無関係の業務上死亡者数の傾向を把握したいとするエコノミストその他の人々の要望に沿うような方法で、数字を類別するよう当局は努力すると、副長官は語った。



世界貿易センター崩壊現場、環境問題が深刻化

 ニューヨーク― 世界貿易センター崩壊現場で作業に従事した消防隊員、警察官その他の救助隊員、復旧作業者らに、呼吸障害の徴候が現れた。まさに環境呼吸障害であり、大気や地中に放出された有毒化学物質や金属の環境示度が上昇している。テロ攻撃から2ヶ月以上経過してなお、世界貿易センター崩壊現場では、火がくすぶり続けている。
 犠牲者や同僚消防隊員の捜索のため、ツイン・タワーに急いだ救助隊員、主に消防隊員には、「世界貿易センター咳」と医師が呼ぶ兆候が現われており、機械による換気が必要なほど深刻な呼吸急迫の症状を示している。大半の救助隊員は、鼻腔感染を伴う、あるいは、伴わない咳をしている。ニュ―ヨーク消防署の主席肺疾患医、ディビッド・プレザント医学博士は、患者の40%は呼吸障害の治療が必要であると語った。
 崩壊現場の作業者は、自給式呼吸器やマスク類その他の安全装置を着用していた。しかし、建物崩壊直後の数日間は、救助隊員の多くは、ほとんど個人用保護具を着用していなかった。救助隊員は、自分自身の安全よりも、犠牲者や生存者の発見に真剣だったからである。
 環境検査によると、ダイオキシン、PCB、鉛やクロムは、時にはEPA(環境保護局)基準を超える水準で存在していた。火災は、低レベルのベンゼンを放出しているが、これは、長期間暴露すると、白血病その他の疾病を引き起こす。EPA検査では、煙霧中のベンゼン水準は、OSHA(労働安全衛生庁)のガイドラインを超えている。
 EPAの報告書によると、ハドソン川とその沈殿物からも低水準の汚染物質が検出されている。



NIOSH報告書、業務上死亡を分析

ワシントン― NIOSH(国立労働安全衛生研究所)によれば、民間労働者10万人あたりの年平均死亡者数は、1980年の7.4人から、1995年の4.3人へと、42%減少した。同期間中、業務上の死亡者数は93,338人であった。新しい2つの報告書で、NIOSH調査チームは、死亡証明書を精査し、業務上死亡に関する膨大な量の統計を収集した。「米国における民間労働者の致命傷、1980〜1995年、DHHS(保健社会福祉省)」は、全米および州別データを提供。「米国における民間労働者の致命傷」は、全米データのみとなっている。同報告書は、性別、人種別、州別、産業別その他別に、死亡率と死亡者数の内訳を載せている。調査結果の一部を以下、紹介する。
・ 死亡原因の第一位は、性別により違う。女性では殺人(労働者10万人あたり0.3人)、男性では自動車衝突事故(労働者10万人あたり2.0人)である。
・ 男性の死亡率(労働者10万人あたり8.8人)は、女性の死亡率(労働者10万人あたり0.8人)の11倍と高い。
・ 産業別で死亡率でもっとも高かったのは、建設業(18%)、運輸・通信業、公益事業(17%)、製造業(15%)、農業、林業、漁業(12%)である。
・ 労働者10万人あたりの年平均死亡率がもっとも高かったのは、鉱業(30.4人)で、次いで農業、林業、漁業(19.6)人、 建設業(15.3人)、運輸・通信業、公益事業(12.6人)であった。

死亡原因

合計

男性

女性

人数

死亡率

人数

死亡率

人数

死亡率

自動車

殺人

機械

墜落、転落

感電

落下

航空機移動

自殺

自然、環境

爆発

飛来、はさまれ・まきこまれ

水上移動

窒息

火災

中毒

溺死

鉄道交通

その他

不明、断定できず

21,715

12,863

12,334

9,070

6,233

5,984

3,261

3,155

2,394

2,344

2,172

1,813

1,715

1,591

1,455

1,358

661

2,662

598

1.2

0.7

0.7

0.5

0.3

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20,175

10,302

12,053

8,760

6,190

5,917

3,043

2,907

2,280

2,254

2,130

1,779

1,674

1,449

1,389

1,292

650

2,461

549

2.0

1.0

1.2

0.9

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0.3

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1,539

2,560

281

308

43

67

218

248

114

90

42

34

41

142

66

66

11

159

49

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出所:国立労働安全衛生研究所(NIOSH) 2001




監視団体、連邦政府は不安全な職場だと主張

 ワシントン― 「政府の浪費に反対する市民」は、ブッシュ政権と議会に対し、連邦政府機関をより安全な職場にして、政府職員を保護するよう要求した。同団体は、政府は、税金を年間数十億ドル節約できるはずだと語った。
 「向こう数ヶ月の政府指導者の課題は、対テロ戦争を緩めることなく、また国家安全保障で妥協することなく、納税者の金を節約する方法を見つけることにある」と、同団体のトム・シャッツ会長は述べた。「労働安全の改善から始めるとよい」。
 連邦政府の事故・傷害率は、民間産業をはるかにしのぐと、シャッツ会長。連邦政府職員は、毎年、16万件の新規労働傷病を報告している。
「毎年、連邦政府は、連邦政府職員災害補償法に基づき、職員とその家族に対する労働死傷病の補償として、約20億ドルを費やしている。しかし、これは氷山の一角である」とシャッツ会長。
生産性の損失、職員の勤労意欲の減退、代替要員の新規訓練や採用、その他の間接コストを合算すると、連邦政府職員災害補償法による費用の10倍にもなる、とシャッツ会長は訴える。
「政府の浪費に反対する市民」は、政府の浪費、不正と濫用の撲滅を目指した超党、非営利組織である。



対米テロ、労働者の集中力を阻害

 ワシントン― 労働者の大半は、現在も、9月11日の対米テロに動揺し、炭疽菌の恐怖におびえている。実験心理学ジャーナル今月号(Journal of Experimental Psycology Vol. 56, No. 12)に発表された調査によると、脅迫的イメージは、非脅迫的イメージより長時間注意を引くため、人々は、通常の業務に傾注しにくくなっている。この傾向は、対米テロ以前から不安を感じていた人に、特に顕著にみられる。 
 英国エセックス大学の調査チームは、人間は、脅迫的なイメージに自然と集中すると述べた。脅迫的な刺激に集中することにより、動物や人間は、潜在的な脅威をよりよく分析できるのだろうと、調査チームは推測する。「この注意の偏りは、何世紀も前から、他の動物の攻撃から身を守ろうとして、発達してきたものに違いない」と主筆のエレイン・フォックス博士は語った。今日では、我々の身辺のいたるところにあるように思われる脅迫刺激は、人々の業務遂行能力の妨げとなっている。
 ワシントンを拠点とするアメリカ心理学協会によると、感情操作は、テロリストの目標の一つであると理解することが重要である。労働者には、不安軽減の一助として、次の方法を用いるよう支援または奨励するとよい。
・ できるだけ通常の生活をおくるよう努める。
・ ニュース・メディアへの暴露を制限する。ニュース報道を見すぎると不安が高まる。
・ 自分の気持ちを他人に話す。ストレスを分かち合う、また、散歩や読書のための時間を確保する。
・ 熟練感や自制心を得られるよう、得意なことをする。
・ 脅威について学ぶ。
・ 心身を鍛えて強くなり、ストレスを減らす。定期的に運動し、クロスワード・パズル、ボード(盤上)ゲームやジグソーパズルのような集中力を要する活動をする。くつろぎを増進するために、パンやケーキを焼いたり、執筆、素描や演奏のような創造的な活動に参加する。
・ 対処手段としてユーモアを用いる。テレビのコメディー番組を見る。コメディー・クラブに行く。ユーモラスな本を読む。
 労働者が、日常業務にも支障をきたす場合は、心療専門家の援助を仰ぐべきである。



テロの脅威で、個人用保護具は不足するか?

                        エリザベス・アンバル著
街の最新流行は美しくない。ガスマスクや有害物質防護服が記録的に売れている。これまで政府機関や大会社のみが購入していた個人用保護具が、空前の人気ぶりである。ニュージャージーの環境安全製品を供給するアラムスコ社は、化学防護服、飲用弁付きガスマスク、核生物化学フィルター(nuclear biological chemical filter)、ブチル手袋(butyl glove)、保護靴とダクトテープ(duct tape)がはいった一般市民用核生物化学保護キットを販売している。1セット、279ドルである。
アラムスコ社の共同所有者、デイブ・ネイラー氏は、一般市民に保護具を供給するのは喜ばしいことではないが、殺到する需要に対応していると述べた。同社が、世界貿易センターに支援物資を緊急輸送した時、トラックに書いてあった通話料無料電話番号が、テレビ・ラジオ局により伝えられた。
「ガスマスクを購入しようと、何千もの人々が群がってきた」とネイラー氏。
同社はガスマスクを販売しているが、「その購入を思いとどまらせようと努めている。生物的脅威のためにガスマスクを購入しても、金の無駄である」。
一方、地方自治体、大規模企業や有害物質を取り扱う企業は、不足量を補給しようと懸命である。引き続いて炭疽菌事件や他のテロ脅威の可能性もあり、購入ラッシュで日々有害物質対策チームを配置している政府組織や企業への供給量が制限される懸念がある。
「いくつかの品目については、品薄になるだろう」とネイラー氏。「レベルAスーツは、その最たるものである」。
アラムスコ社は、2万2千から2万3千個のガスマスクと3百万着の基本的化学防護服の在庫があるが、メーカーは、高価な高レベル化学防護服を棚卸ししないと、ネイラー氏。
「メーカーは、過去の販売実績に基づき棚卸ししがちである。月に300着売れると、400着を在庫として抱える」とネイラー氏は語る。「我々もそうだが、どのメーカーも今回のような機会は、これまで経験したことがない」。
ネイラー氏は、問題の一つは、有害物質対策チームの大半が、いかなる場合にも備えて、レベルAスーツを着用していることだと述べた。品不足が深刻化すれば、対策チームは、手順を変更せねばならなくなるのではないかと、ネイラー氏は述べた。
メーカーでは、在庫切れにならないか?「それは、実際の、または、知覚される脅威のレベルによる」と、ケンタッキー州を拠点とする個人用保護具メーカー、シンシアナ社傘下のブラード社、リック・ミラー社長兼CEO(最高経営責任者)は述べた。「テロ勃発後の数日間、おそらく2週間は、いくらか流通不足が生じたと確信している。防じんマスクは、入手が困難であった」。
世界貿易センターが攻撃を受けた24時間以内に、ブラード社は、熱画像装置(thermal
imager)、保安帽、救助隊用ヘルメット、空気清浄装置など、17万5千ドル相当の機材を寄贈した。多くのメーカーがこの例に従ったため、初期の寄贈で一時品不足を生じた。しかし、今では、多くのメーカーは在庫を豊富に抱えていると、ミラー社長。「私の知る限り、現在のところ、品不足はない。最初の数週間は山あり谷ありだったようだ。難を排し、万一のための在庫を大量にそろえている」。
一方、機材の大量注文で、地方自治体の財源はじり貧状態。ミラー、ネイラー両氏が同意するところでは、殆どの自治体は、対米テロ以前には、備えがなかった。
「緊急対応用品をグレードアップする、または、単に、個人用保護具を必要量購入すれば、救助の際に、危機に陥ることもないとの認識が出てくると思う」とミラー社長は付け加えた。「消防部は、昔から連邦予算獲得に有能ではなかった。今回の惨事の一つの結論として、政治家や緊急対策者は、垣間見た種類の危機によりよく準備しておく必要性について認識せねばならないということだろう」。
9月、議会は、対米テロ関連費用として400億ドルを承認したが、この大半は、軍用およびニューヨーク、バージニア、ペンシルバニア三州の復旧作業向けである。議会の予算要求のなかには、生物テロ対策のための資金を地方、州、連邦政府機関に配分するものもあるが、機材購入費の大半は、市の予算で賄う公算が高い。自治体職員は、難しい選択を迫られた格好となったが、炭疽菌騒動が引き続き、夜のトップ・ニュースである限り、市議会はできるだけ早く決着をつけねばならない選択肢である。



保健社会福祉省(Health and Human Services)、新任務と格闘

ワシントン− トミー・トンプソン保健社会福祉省長官は、悪夢のなかで、今日採択された役割を同省が履行するなどとは、夢にも思わなかったに違いない。
航空機が世界貿易センタービルに激突して、トンプソン長官は、国家非常事態を宣言した初の同省長官となった。長官は、現場に何トンもの医療品、何百人もの保健職員、葬儀屋を送り込んだ。だが、これはほんの始まりに過ぎなかった。
生物テロが発生して、保健社会福祉省は、疾病の検出、発生の調査、備蓄医薬品と応急物資の供給を一手に引き受けた。
9月11日の対米テロ以降、メリーランド州ロックビル市の緊急対応局は、24時間体制で任務についている。対米テロ発生直後に、トンプソン長官は、生物・化学的脅威への政府の対応を支援する、生物テロチームを編成した。
10月、炭疽菌により、ワシントンの郵便局職員2名が死亡して以来、トンプソン長官は、議会と報道機関に対し、同省の仕事ぶりの弁護を強いられている。長官は、CNNに対し、同省は、炭疽菌攻撃への対応のしかたを変え、「手紙の経路を、郵便局全てを通して追跡する。我々は任務に就き、すばやく調査する。支援の必要な人々や何らかの徴候のある人々には、炭疽菌に有効なCiproまたはその他の抗生物質を配給し始めている」と述べた。しかし、保健社会福祉省がこれ以上の死者を出さないようにするには、多額の資金が必要である。
ブッシュ大統領の200億ドルの緊急救済予算要求には、潜在的な生物テロ攻撃への対応・処置のための保健社会福祉省予算、15億ドルが含まれている、主要な内容は、次のとおり。
・ 全米医薬品備蓄の増量。本提案には、潜在的な炭疽菌暴露から1千2百万人もの国民を保護するに足る抗生物質の確保を目的とした6億4千3百万ドルが含まれる。
・ 新しい生物テロ・対策手段開発の迅速化。ワクチン、薬物療法、診断テスト、他の政府機関や民間産業との協議等、食品医薬品局の業務の促進に、3千4百6十万ドル。
・ 州、地方自治体の対策の強化。州、地方自治体の生物テロ対策関連活動に、1億7千5百万ドル。
・ 天然痘ワクチン供給の拡大。天然痘ワクチンの開発、入手の迅速化に5億9百万ドル。
「ここ数週間、我々は、潜在的な生物テロ事件の封じ込めに向け、迅速かつ効果的に対応できることを示したが、一方で、今後ともアメリカ国民をより良く保護するためには、これまでの進捗をもとに迅速に進まねばならないことを承知している」とトンプソン長官は述べた。「この緊急要求で、大規模な攻撃により必要となる医薬品その他の供給物資を増量する」。



連邦政府職員、世界安全会議に協力

 イリノイ州アイタスカ― 2005年のフロリダ州オーランド市での第17回世界安全会議開催に向け、連邦政府幹部2名が、全米安全評議会(NSC)と共に準備活動にあたることとなった。NSCは、同評議会の年次会議&展示会とともに開かれる世界安全会議の主催を務める。世界安全会議は、米国で初めて開催される。
 環境保護局(EPA)のジュリアス・ジメノ安全衛生環境管理部長と、労働安全衛生庁(OSHA)のマース・ケント安全基準部長の2氏は、NSCのワシントン事務所に、一時的に出向、安全会議に向け、プログラムや活動の開発を支援する。
 世界安全会議は、政労使三者による活動で、共にジュネーブを本部とする国際社会保障協会(ISSA)と国際労働機関(ILO)、および数カ国の政府のスポンサーで、3年毎に開催されている。
 ジメノ、ケント両氏は、EPA、OSHA、NSC、その他、安全衛生関連の米国および国際組織、政府団体間の関係強化に尽力する。



NSCオーランド支部にNIOSH助成金

フロリダ州オーランド− NIOSH(国立労働安全衛生研究所)は先日、全米安全評議会(NSC)オーランド支部の新規・若年労働者の労働安全衛生訓練ニーズ評価に対し、10万5千ドルの助成金を与えた。
「若年労働者の労働安全衛生カリキュラム技能基礎開発」と題したカリキュラムでは、次を検討する。
・ 言葉、文化、読み書き能力のニーズ。
・ 産業、労働、政府など主要関係者の見解。
・ 主要なカリキュラムの内容を報道機関へ配信・持続させる授業用テレビ戦略。



調査、欠勤改善への糸口をつかむ

 ロンドン― タバコ・コントロール(Tobacco Control Vol. 10, No. 3)の調査によると、喫煙者は、非喫煙者に比べ、病欠が多い。3ヶ月間に、航空機予約事務所の喫煙労働者は、平均4日間の病欠を取得したが、非喫煙者の病欠は、1.3日であった。以前喫煙していても、禁煙してからの年数が経っていればいるほど、欠勤率は著しく低下した。
 さらに、喫煙者は、生産性が低いのではないかとも調査チームは結論した。しかし、時間の経過に伴い、禁煙した人の生産性は、一度も喫煙したことのない人に匹敵するレベルにまで増えた。



調査、夜勤に潜む健康障害を指摘

 国立ガン研究所ジャーナル(The Journal of the National Cancer Institute Vol. 93, No. 20)に発表された2つの調査によると、長期間、夜勤に就く女性は、乳ガンになる危険性が高い。
 一つの調査では、乳ガンを患う女性、患わない女性を調査した結果、女性は、3年以上夜勤を続けると、乳ガンのリスクは60%増加することが判明した。第2の調査は、30年以上夜勤を続けた看護師は、乳ガンのリスクが36%増したと報じた。2つの調査とも、夜間の明るい照明への暴露で、メラトニンが減少し、エストロゲンが増加するため、ガンのリスクが高まると指摘した。
 労働環境医学(Occupational and Environmental Medicine Vol. 58, No. 10)の調査によれば、夜勤は、労働者の心臓を損傷する。調査チームは、夜勤労働者には、「心室性期外収縮棘波群」と称する、いわば心臓病による死亡リスクが増加する状態が発生しやすいことを明らかにした。以前の調査でも、夜勤者は、心臓病の危険が高まるとしていた。