このページは国際安全衛生センターの2008/03/31以前のページです。
NSC発行「Safety + Health」2001年12月号

ニュース

世界貿易センター崩壊現場、環境問題が深刻化

 ニューヨーク − 世界貿易センター崩壊現場で作業に従事した消防隊員、警察官その他の救助隊員、復旧作業者らに、呼吸障害の徴候が現れた。まさに環境呼吸障害であり、大気や地中に放出された有毒化学物質や金属の環境示度が上昇している。テロ攻撃から2ヶ月以上経過してなお、世界貿易センター崩壊現場では、火がくすぶり続けている。
 犠牲者や同僚消防隊員の捜索のため、ツイン・タワーに急いだ救助隊員、主に消防隊員には、「世界貿易センター咳」と医師が呼ぶ兆候が現われており、機械による換気が必要なほど深刻な呼吸急迫の症状を示している。大半の救助隊員は、鼻腔感染を伴う、あるいは、伴わない咳をしている。ニュ―ヨーク消防署の主席肺疾患医、ディビッド・プレザント医学博士は、患者の40%は呼吸障害の治療が必要であると語った。
 崩壊現場の作業者は、自給式呼吸器やマスク類その他の安全装置を着用していた。しかし、建物崩壊直後の数日間は、救助隊員の多くは、ほとんど個人用保護具を着用していなかった。救助隊員は、自分自身の安全よりも、犠牲者や生存者の発見に真剣だったからである。
 環境検査によると、ダイオキシン、PCB、鉛やクロムは、時にはEPA(環境保護局)基準を超える水準で存在していた。火災は、低レベルのベンゼンを放出しているが、これは、長期間暴露すると、白血病その他の疾病を引き起こす。EPA検査では、煙霧中のベンゼン水準は、OSHA(労働安全衛生庁)のガイドラインを超えている。
 EPAの報告書によると、ハドソン川とその沈殿物からも低水準の汚染物質が検出されている。