NSC発行「Safety + Health」2002年2月号
ニュース
上院、炭疽菌汚染除去に関し、EPA長官を詰問
ワシントン − EPA(環境保護局)によるハート上院議員事務所ビルの汚染除去活動は、多くの上院議員の信頼を得損なった。ハート議員事務所ビルには、炭疽菌で汚染された手紙の受取人の一人、トム・ダシュル上院議員(民主党、サウス・ダコダ州)の事務所がある。
「環境保護局は、十分な専門知識を備えていない」と、汚染除去に関する公聴会で、ピート・ドメニキ上院議員(共和党、ニューメキシコ州)は述べた。「EPAは、専門家が必要である」。
公聴会で議長を務めたバーバラ・ミクルスキ上院議員(民主党、メリーランド州)は、クリスティ・ホイットマンEPA長官に対し、当局は、当該建物その他の上院議員事務所の炭疽菌除去の日程を決める、明確な基準を設定すべきであると述べた。ミクルスキ上院議員はまた、炭疽菌の脅威に対する政府の対応を監督・調整する、中央の連邦司令部がないために、困惑していると発言した。
ハート上院議員事務所ビルの汚染除去は、11月30日夜に始まり、終了するまで約1ヶ月を要した。第1回目の清掃後、微量の炭疽菌が検出され、建物の再度の清掃が必要となった。EPAは、炭疽菌を除去するため、二酸化塩素ガスや他の汚染除去剤を使用した。
上院議員らは、まだ不安であった。「誰も書物を探らず、書類も探らず、引き出しも探らない。炭疽菌がないと、どうして分かるのか?」と、テッド・スティーブンス上院議員(共和党、アラスカ州)が、ホイットマン長官を問いただした。
ホイットマン長官は、炭疽菌の汚染除去は、未知の分野であると述べた。「これは、当局がこれまでに直面したなかで、最大の難題である」と長官。「われわれは、進めながら、書物にしている。必要だと思われる限り、手広くやっている」。
また、汚染除去過程の建物周辺の大気について、懸念があった。ハート議員事務所から3区画離れたところにタウンハウスを所有するNASA(アメリカ航空宇宙局)の物理学者、ジェラルド・ピタロ氏は、ダクトを経由して件の建物から放出される空気を心配した。EPAは、状況をモニターするため、大気監視装置とコンピュータを特別に搭載したワゴン車を、建物のそばに駐車した。
EPAとワシントン警察官は、住民に対し、汚染除去作業は有害ではなく、炭疽菌が建物から出ないよう、対策を講じていると説明した。