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NSC発行「Safety + Health」2002年2月号
OSHAの最新情報
OSHA、世界貿易センター跡地の労働者保護に向け、パートナーシップを発足
OSHA(労働安全衛生庁)は、ニューヨーク市の世界貿易センター復旧作業に従事する労働者や、スタテンアイランドのごみ埋立地で働く労働者を保護するため、連邦政府機関、州政府機関、市政機関、建設業者、組合その他とパートナーシップを形成した。世界貿易センターの残がいの大半は、スタテンアイランドへ運ばれる。
世界貿易センター跡地は、「合衆国でもっとも危険な職場である可能性がある」とジョン・ヘンショーOSHA担当労働副長官。死亡や重篤な傷病を防止するには、「協力的かつ高度に協調した活動」が必要であると、副長官は付け加えた。
パートナーシップのひとつは、ニューヨーク市設計・建設局、ニューヨーク消防局、建設業組合、事業者団体、2建設業者団体および世界貿易センター跡地の主要4建設業者との間で締結された。同パートナーシップについて、エレイン・チャオ労働長官は、「グラウンド・ゼロ(ゼロ地点)で働き、毎日、献身的にわが身を深刻な危険にさらしている人々。彼ら英雄の安全をできる限り確保するための、特筆すべきパートナーシップである。われわれは、テロリストにアメリカ国民の生命をこれ以上奪わせてはならない」。
もうひとつの協定は、世界貿易センター、スタテンアイランドごみ埋立地復旧作業に従事する団体に、作業に従事するすべての労働者の死亡災害や重篤な傷病の予防に向け、リーダーシップを発揮するよう求めるものである。パートナーには、合衆国陸軍工兵部隊、EPA(環境保護局)、ニューヨーク州環境保全局および健康・公衆衛生局、救難、環境その他の企業、国際営業技師組合とその支部が含まれている。
パートナーは、協力的に以下の活動に取り組むことを合意した。
- 世界貿易センター、スタテンアイランド復旧作業緊急プロジェクト環境安全衛生計画を確実に実施し、遵守する。
- すべての重大な危険をただちに除去する。
- 安全に関する危険要因、暴露モニタリング・データを共有する。
本パートナーシップ協定は、安全な労働環境の確保を目的とした協同活動の概略を示したものである。安全衛生イニシアチブはすでに始まっており、安全会議、合同安全モニタリング視察、呼吸用保護具の密着性テスト、大気サンプリング、労働者教育などが実施されている。
「われわれの課題は、9月11日の対米テロが、これ以上の死者や重篤な傷病者を出さないようにすることである」とヘンショー副長官。「それには、すべての関係団体の協力的、協調的な活動が必要であり、本パートナーシップは、こうした活動の枠組みを提供するものである」。
OSHA、2002年度規制アジェンダを公表
OSHAの最新の今年度下半期規制アジェンダは、今年度の目標を列挙、いくつかの折衝型規則作成案件を盛り込む一方で、他の案件を撤回している。
本アジェンダは、建設用クレーンや起重機装置の安全に関する折衝型規則作成や、シリカの有害性からの労働者保護に向けた同様のアプローチを挙げている。
関係者全員が協力して新しい基準をつくる折衝型規則作成については、同庁には苦い経験がある。鉄骨組み立てに関する新基準は、この方法で作成されたが、いまだに建設会社や組合から批判が絶えない。
本アジェンダで、OSHAは、2002年末までに、港湾安全の最終規則や、1981年に公表した電気規則の初の改訂版を公表する意向である。同アジェンダは、建設業における狭隘な空間の安全や、すべり、つまずき、墜落・転落に関する新基準、一般的な傷病予防規則の提案も計画している。
OSHAはまた、ベリリウムや六価クロムの使用・製造、建設業における聴力損失、建設業における墜落・転落、保健医療従事者の結核からの保護を管理する新規則の作成を視野に入れた、情報の収集・評価も行う。
しかし、OSHAは、資源不足を理由に、多数の規則作成活動を撤回した。撤回されたなかには、建設業の安全衛生プログラムおよびエルゴノミクスが含まれており、一般産業における同様の問題に関するあらゆる計画も、宙に浮いた。また、広範囲にわたる有毒化学物質の許容暴露限界を強化する規則作成の芽も摘まれた。また、引火性または可燃性の液体に関する規則の改訂、動力伝動装置、建設業の足場、ロックアウト/タグアウト、ガス油田掘削、スプレー塗付、テトラクロルエチレン暴露、建設業の衛生なども撤回された。
2001年12月に公表されたこのアジェンダは、ブッシュ政権下で刊行された2つめのアジェンダであるが、総合的なものとしては初の規制アジェンダである。
産業団体、労働安全衛生再調査委員会の空席補充を要請
産業団体は、産業界が、対米テロにより生じた諸問題に対処できるよう、労働安全衛生再調査委員会その他の労働関連ポストの空席を補充するよう、ブッシュ大統領に要請している。
3名の委員からなる再調査委員会は、近年、しばしば欠員があり、定足数を満たさず、一時期は委員が一人もいないこともあった。定足数不足で同委員会が危機に陥ったのは、最近では、議会休会により任命されたロス・アイゼンブライ氏が、2001年末の引退を控えていた時であった。これにより、委員会は、トマシナ・ロジャーズ委員長ひとりとなった。
全米製造業者協会、米商工会議所、LPA(大規模使用者団体)、人的資源管理協会が最近提出したブッシュ大統領宛の書簡には、再調査委員会の空席や、論議の絶えない労働省法務官のポストを補充し、これらのポストが、「意図されたとおりに機能するよう」にせねばならないと申し立てた。
事業者らは、労働安全衛生再調査委員会に対し、OSHAの安全衛生基準違反召喚を抗議する。
一般計画監督を3月19日に延期
OSHAは、新しい鉄骨組み立て基準に基づく一般計画監督を60日間、または3月19日まで実施しないと語った。この間、当局は、新しい要件に関し労働者を訓練するよう、業界を支援するアウトリーチ、教育に力点を置く。
「新しい鉄骨組み立て基準の要件について、OSHA地方職員、事業者、労働者が熟知する機会を提供するのは、非常に重要なことである」とジョン・ヘンショーOSHA長官。「このため、われわれは、最初の60日間でアウトリーチ、教育活動に注力する」。
このアウトリーチ、教育イニシアチブのひとつとして、シカゴでは、1月に3日間の訓練講座が設けられ、全米各地でも同様の訓練活動が行われた。シカゴのセミナーには、鉄骨組み立て産業関係者、OSHAの各地域、地方事務所の遵法支援担当官や相談員、州プランの州政府代表など、300名を超える参加者が集まった。OSHAはまた、各種教材を開発した。
OSHAは、一般計画監督は実施しないものの、死亡事故、苦情については監督すると述べた。
新しい鉄骨組み立て基準は、鉄骨組み立て産業の死傷事故の主要な原因と特定された危険要因を扱う。これには、つり荷の下での労働、用材のつり上げ・着地・配置、支柱の安定性、2重接合部、鉄骨梁の着地・配置、低所への墜落・転落に関連する危険が含まれる。
OSHA、小企業支援協定に調印
OSHAは、バージニア州バーク市の小企業開発センター協会、労働省小企業プログラム室とパートナーシップ協定を締結、小企業の安全衛生成績の改善を支援する。
本パートナーシップは、アウトリーチ、教育サービスを受けている小企業の安全衛生成績の改善に向け、総合的な取り組みを確立する。また、OSHAの技術支援や協同プログラムへの小企業の参加を促進する。
「本パートナーシップは、わが国の小企業に特有の安全衛生問題に取り組むための新しい関係を推進する」とジョン・ヘンショーOSHA長官。「われわれは共に、小企業の安全衛生プログラムの改善に向け、訓練を提供し、小企業のニーズに手を差し伸べ、成果を挙げる」。
パートナーは、安全衛生についてよりよく学ぶ意思のある小企業、プログラム開発の支援を要する小企業、もしくは、OSHAの「自主的保護プログラム」または無料の安全衛生相談を受ける小企業向けに設計された「安全衛生達成表彰プログラム」での顕彰を希望する小企業を特定する。
本パートナーシップは、認識、相談窓口紹介と支援、訓練、成績改善の4目標達成を目指す。
労働省、バイオハザード訓練で労組と提携
労働省は先日、炭疽菌その他のバイオハザード(生物危害)への対処につき労働者を支援する、訓練カリキュラム開発をめざし、ワシントンの国際労働者組合とパートナーシップを締結したと発表した。
同組合は、労働省雇用・訓練庁の助成金208,650ドルを用い、OSHAその他の政府機関の支援を得て、教材を開発、テストする。
「(生物テロの)脅威に安全に対応できるよう養成された労働者がいるというのは、重要なことである」とジョン・ヘンショーOSHA長官。
労働省によると、有害廃棄物を取り扱う資格を有する国際労働者組合の組合員は、技能向上および訓練過程の微調整に、新しいカリキュラムを用いる。新カリキュラムは、試験的な実施を経て、OSHAの12の訓練大学教育センターや、州、地方の「ワン・ストップ(オールラウンドの)」センターその他の機関で、生物化学物質の除去に関する労働者訓練に用いられると、同省は説明した。
OSHA、2つの満足度調査で高得点取得
最近のギャラップ調査およびアナーバー市のミシガン大学の調査によると、OSHAの業績に対する満足度は、2001年に上昇した。
ギャラップ研究所は、過日、OSHAと直接関係のあった労働者、事業者、同庁関係者約2,500人を対象に、職場での同庁との関係に対する満足度を調査した。
このOSHA顧客調査の結果、以下が明らかになった。
- 監督に関わった労働者の94%、事業者の84%は、OSHA職員の専門性に大変満足している、または満足している。
- 無料相談を受けた事業者の95%以上は、支援内容に満足している。
- OSHAとのパートナーシップを提携した事業者の98%は、同庁職員のOSHA法規への精通ぶりを認めている。
調査結果に基づき、OSHAは、改善すべき分野を特定した。OSHAが、事業者に対し、電話で苦情を報告し、事業者からファックスで回答を得る、電話/ファックス調査について、労働者は満足していなかった。回答が満足のいくものであれば、OSHAは、それ以上の対策を講じない。労働者はむしろ、現場の監督や追跡視察の増進、より迅速な対応を望んでいる。
事業者、労働者とも、監督官に対し、特定産業についてもっと精通してほしいと考えている。小企業は、相談要請に対し、より迅速な対応を望んでおり、むしろ年次協議を希望している。調査対象者からのその他のリクエストには、関係者の関与の増大、パートナーシップの拡大、情報、教育、訓練の拡充が含まれている。
「OSHAは、多くの点で正しいやり方をしているとの調査結果が出たものの、全般的な顧客の満足度を高めるには、まだまだ多くの課題と機会が待ち受けている」とヘンショーOSHA長官。
ギャラップ調査結果の全容は、www.osha.govで閲覧可。
ミシガン大学ビジネス・スクール全米品質調査センターの作成した、最新の米国顧客満足度指数でも、2001年にはOSHAに対する満足度が上昇した。
本指数は、米消費者の入手しうる財・サービスの質への顧客満足度についての全米レベルの経済指標である。1999年には、OSHAなど、希望する連邦政府機関についても調査を開始した。
全般的に、規制当局は、50点〜60点を取得した(指数は、100点システムを採用)。OSHAは、同庁の監督を経験した労働者の感想に基づき、70点の評価を得る。これは、前年の獲得点数を大幅に上回る。2000年には、OSHAは54点と、連邦政府機関としては2番目に低い評価であった。
「(規制)当局は、法規の施行とサービスという任務の両方を兼ねており、より複雑な課題に直面している」と、経営学教授で全米品質調査センター所長でもあるクレス・フォーネル氏。「法規の施行は、もっと複雑で、個人の満足度とは別次元に由来するものである」。
本指数および他の政府機関の調査結果について、詳細は、同大学のウェブサイト、www.bus.umich.edu/researh/nqrc/acsi参照のこと。
OSHA、目標,を凌駕
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ギャラップ調査で、OSHAは、2000会計年度の顧客満足度に関する暫定4目標を上回る評価を得た。 |
目 標 |
2000年度
目標 |
2000年度
実績 |
2002年度
最終目標 |
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労働者、事業者が、遵法支援は有益だと評価する。 |
65% |
93% |
90% |
現場の労働者が、OSHAの現場監督における自身の参加に満足する。 |
65% |
86% |
90% |
労働者、事業者が、OSHA職員の専門性、能力、知識に満足を示す。 |
60% |
87% |
85% |
OSHA関係者、パートナーが、関係者/パートナーシップ・プロセスにおける自身の関与について、プラスと評価する。 |
75% |
88% |
95% |
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出所:OSHA/ギャラップ、2001年
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