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NSC発行「Safety + Health」2002年4月号

ニュース

大統領の公害対策に賛否両論

 ワシントン − 気候変動に関する京都議定書や、その他環境保護に向けた一連の展開に対するブッシュ政権の取り組みは、環境団体の攻勢にさらされている。先日、同政権が発表した京都議定書に代わる代案やEPA予算は、賛否両論で迎えられた。
 欧州の数カ国は、地球温暖化対策に関し、ブッシュ大統領がともかくなにか提案したというだけで、歓迎した。欧州連合(EU)のスポークスパーソンは、「ブッシュ大統領が、気候変動に対し、なにかせねばならないということを認識していることは明らかであるが、われわれには、このとてつもない変動に対しては、京都多国間アプローチこそが最善策だと思われる」と発言した。
 日本の大木浩環境大臣は、より手厳しい。大臣は、「この計画では、米国が京都で合意した(京都議定書で義務付けられている、先進各国における二酸化炭素排出の)7%削減目標を達成できない」と述べた。
 京都での合意にもかかわらず、議定書を批准すべき米上院は、いまだに批准していない。今日現在、議定書に調印した国はわずかで、いわゆる先進国で調印した国は、一握りである。
 ブッシュ大統領の計画は、温暖化ガス排出削減を、主に産業界の自主努力にまかせ、排出削減を経済水準と連動させようとするものである。
 世界野生生物基金、全米野生生物連盟などの環境団体は、ブッシュ政権の提案では、「地球温暖化や有毒水銀排出から人類、野生動物を保護することは、まったくできない」と語る。
 大統領のEPA予算案は、もう少し好意的に迎えられた。大統領の2003年度予算案は、昨年度の予算要求を2億ドル上回り、これには、ブラウンフィールド向け予算(未活用の産業用地の再生をめざす)の100%を超える増加や、流域保護予算の増加などが含まれる。EPAは、先日、2001年度には、同局の法規施行や遵守活動により、公害管理、環境保全活動の違反者は、43億ドルにのぼる負担を強いられたと述べた。
 「われわれが提出した予算案は、われわれの就任時より一段と大気や水をきれいにし、土地をよりよく保護しようというブッシュ大統領の強いコミットメントを反映したものである」と、クリスティ・ホイットマンEPA長官は述べた。
 全米資源防衛会議は、意見を異にする。同会議は、ハドソン川のPCB一掃、有機汚染物質に関する国連条約の調印には賛成する一方、公害、地球温暖化、湿地帯に関する政策は「凶報」と形容した。