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NSC発行「Safety + Health」2002年4月号

ニュース

世界貿易センター地区を対象に綿密な調査

 ワシントン − 上院は、先日、昨年9月11日以来作業してきた消防隊員や救助隊員に対する、世界貿易センター大殺戮の影響に関し、聴聞会を開催した。調査員らも、現場で働く消防隊員や鉄鋼労働者の健康や、対米テロ当事、妊娠中であった女性への影響、グランド・ゼロ(ゼロ地点)で活動した救助犬に対する影響すら、作図している。 
 民主党コネチカット州選出のジョセフ・リーバーマン上院議員とニューヨーク州のヒラリー・ロダム・クリントン上院議員は、特に、EPA(環境保護局)の世界貿易センター跡地への対応や、有害性が疑われる汚染物質の試験に対し、批判的であった。
 「空前の出来事とはいえ、現場での緊急対策や捜索・救助活動と環境対策は、うまく調整できていなかったようにみえた」と、リーバーマン議員は述べた。 
 セント・ルイス・ポストディスッパチ紙は、崩壊した建物から放出された粉塵は、排水管クリーナーと同レベルのアルカリ度であると発表したUSジオロジカルの調査結果を、EPAは無視したと報道した。EPAのジェイン・ケニー第2地域行政官は、「無防備な人々に対するリスクを矮小化したことはない」と述べ、当局が、故意に人を欺くようなことはしていないと語った。
 専門家らは、世界貿易センターの倒壊時、付近に居合わせた子供たちについても、調査が必要であるとも言う。
 「子供たちの発育システムは、成人のそれに比べ、有毒物質に侵されやすい」と、イリノイ州エルクグローブ市を拠点とする米国小児科学会の会長で、ニューヨーク市のコロンビア大学小児科学教授でもあるルイス・ク−パー氏は語った。
 喘息やその他の呼吸器疾患のリスクが、特に懸念されている。小児が、体重1ポンドあたり吸い込む粉塵や取り込む空気の量は、成人より多いのに対し、肺や他の臓器は、成人に比べ、傷つきやすい。
 ニューヨーク眼耳診療所の小児耳鼻咽喉科の専門医である、ジェイ・ドリツキー医学博士は、9月11日以来、小児の上気道感染が増加しているが、これらの感染例を世界貿易センター跡地と直接結び付ける科学的データは、まだないと語った。