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NSC発行「Safety + Health」2002年4月号

OSHAの最新情報


新法、労働長官に委員会委員の交替権を付与
 労働安全衛生庁(OSHA)は、このたび、諮問委員会委員規則を変更して、同庁諮問委員会の委員更迭・交替権限を労働長官が有する旨、明らかにした。
 これにより、労働長官は、全米安全衛生諮問委員会の委員を交替させる権限を得た。この権限は、長官が既に有する建設、海事安全諮問グループの委員交替権と、同種のものであると、OSHAは言及した。
 OSHAは、特定の委員の交替計画を示唆したわけではないが、同庁消息筋は、チャオ長官は、全米安全衛生諮問委員会の労組代表委員2名を交替させたいのではないかと憶測する。
「誰を交替させるなどといった計画については、私は承知していない」と、OSHAスポークスパーソンは述べた。
 公式のOSHA規則変更通知は、諮問委員会は、「安全で健康な職場」の確保に向け、労使、職場や安全衛生専門家といった多様な立場から、労働長官やOSHA長官に対する勧告を行うという点で、重要なものであるが、長官は、「信頼の置けない委員の更迭や交替の権限を有していなければならない」と記している。


OSHA、高傷病率の事業場を絞り込む

 OSHAは、全米で最も高い休業を伴う傷病率を記録した、およそ1万3千の事業者を特定し、これらの事業場に対し、安全衛生の危険を是正するために、支援活動を利用できる旨、通知した。
 これらの事業場では、休業または就業制限を伴う傷病者が、常勤労働者100人あたり8件以上であった。全米平均は、労働者100人あたり3件である。この結果は、OSHAが、8万の事業場を対象に行った2001年度の調査で、事業者から報告を受けたデータに基づくものである。
 「この事業場特定プロセスは、特定した事業場に対し、傷病率の高さを認識させることを目的とした手段である」と、ジョン・ヘンショーOSHA長官は述べた。
 ヘンショー長官は、1万3千の事業者に対し、職場の危険を除去するよう要請した書簡を発信した。書簡では、事業者に、OSHAの相談プログラムを活用するよう奨励。このほか、外部の安全衛生コンサルタント、保険会社や州労働者災害補償局に相談することも勧告している。
 OSHAのスポークスパーソンは、OSHAは、従来どおり、この危険度の高い職場リストを活用して、対象を絞り込んだ監督を実施すると述べた。このリストは、今年中にいずれ発表される予定である。
 1万3千の事業場は、州別、アルファベット順に、OSHAのウェブサイト、www.osha.gov/as/opa/foia/hot.8.html上に列挙されている。


裁判所、OSHAの船への立入検査を支持

 連邦控訴院は、OSHAは、船舶のデッキで作業する造船所の従業員の安全を監督するため、船舶に乗り込む権利を有すると裁定した。
 米国連邦第5巡回控訴院は、ヒューストン市に本社を置くトランスオーシャン・オフショア鰍ノ対し、労働省が提起した訴訟事件に対する、ミシシッピー州地方裁判所の裁定を支持した。1999年3月、OSHA監督官は、船上で修理作業を行っているインガルズ造船鰹]業員の作業現場を監督しようと、トランスオーシャン社所有の船舶、ディスカバー・エンタープライズ号に乗り込もうとした。OSHAの令状を船舶所有者は拒否したため、同庁は、所有者を行政侮辱罪で告発した。
 これまでの連邦裁判所の判例では、OSHAは、船上で雇われている船員の安全衛生を規制する権限を持たないとし、この目的で船舶の労働環境を監督できるのは、沿岸警備隊のみであると裁定していた。しかし、この裁定は、作業のため船舶に乗り込む造船所の従業員には適用されないと、連邦控訴院は述べた。


OSHA、塩化メチレン規則の遵守を支援

 OSHAは、1998年9月に改正された塩化メチレン基準の施行政策について詳細に説明し、あわせて監督ガイドラインや、当該基準の説明や解釈を盛り込んだ遵守指示書を発表した。
 指示書では、たとえば危険作業からの一時的な退去による医学的保護を盛り込んだ、医学的監視条項の改定などといった、1998年度の基準改正を要約している。もう一つの改正事項は、塩化メチレンへの最大暴露時間8時間の達成に向けて、工学的管理や呼吸器保護を採用するにあたり、猶予期間を与えられた事業者については、長期的対策が実施されるまでは、3ヶ月毎に、短時間(15分間)の暴露限界を監視するよう、義務付けられた点である。
 遵守指示書は、基準で定められた遵守期日を要約した表を掲載、また、塩化メチレン蒸気の暴露とは断定しかねる場面に遭遇した際の、OSHA監督官向けガイダンスの内容の改善を試みており、こういう場面での暴露を調べる際に役立つ器材の情報を盛り込んでいる。
 25ページに及ぶ指示書CPL2-2.70は、サイトwww.osha.govで閲覧可。


OSHAとワイオミング復員軍人病院、パートナーシップ協定に調印

 OSHAとワイオミング州シャイアン市にある復員軍人医療センターは、このほど、同センター付属ナーシングホームの従業員の傷病低減を目的とした、パートナーシップ協定に調印した。
 同協定により、コロラド、ワイオミング、ユタの3州で復員軍人省が運営する他のナーシングホームについても、本パートナーシップで得た教訓を活用する。本協定は、ナーシングホームの従業員が曝されやすい2大危険を扱う。入居者を持ち上げる行為によるエルゴノミクス的外傷と、入居者の暴力による傷害である。
 この2大危険は、シャイアン医療センター付属ナーシングホームの傷病率のおよそ85%を占め、2000年度の休業を伴う傷病率は、従業員100人あたり7.4件であったのに対し、医療センター全体では、1.7件に過ぎなかった。
 OSHAデンバー事務所は、従業員に対する訓練の提供に合意。一方、医療センターは、OSHAが民間部門に義務付けている傷病記録保持システムの活用や、包括的なエルゴノミクス・プログラムの実施、職務危険分析の実施など、その他の条項も含めて合意した。
 協定には、米連邦政府職員連盟地域1014支部および国際電気労働者同盟地域415支部も調印した。