NSC発行「Safety + Health」2002年5月号
ニュース
救急隊員、保護具の効力を疑問視
ワシントン − 国立労働安全衛生研究所(NIOSH)の新しい報告によると、救急隊員の多くは、世界貿易センターの大惨事のような大災害に対し、十分対応できるだけの備えがあるとは考えていない。これらの調査結果は、職場での個人用保護具の利用についても、幅広い意味を包含していよう。
NIOSHは、2001年12月に開催した2日間の会議から、知見を拾い集めた。会議では、テロ行為に対応した際の個人用保護具の適切性について、救急隊員の体験談が記録された。
参加者は、消防隊員、消防特別作戦本部、緊急医療サービス、警察、建設その他の業界、安全専門家などであった。会議では、昨年9月11日の世界貿易センターおよび国防省攻撃、1995年のオクラホマ市の爆発事件、昨秋の炭疽菌騒動への対応を検討した。
出席者らは、保護具に「重大な欠点」があったと指摘した。頭部保護および高可視ベスト*は、よく機能したものの、保護衣や呼吸用保護具には、欠点があった。たとえば、支給された保護衣は、生物学的危険、感染症の危険や、火災の熱、不安定ながれきといった物理的環境から、十分防護するものではなかった。また、狭隘空間に入るに足る軽量性と柔軟性に欠けていた。救急隊員らはまた、支給された保護めがねでは、世界貿易センター跡地の絶え間ない粉じんを免れることはできなかったと指摘した。
呼吸用保護具は、会議参加者らの注目をもっとも集めた。参加者らは、これらの保護具は、労働者が作業できるためには、「保護の度合いと、軽量性や実用性、着用性の度合い」との間で、しばしば折り合いをつけねばならない点を指摘した。参加者によると、作業員らはしばしば、不快感から、呼吸用保護具を外した。
会議出席者らは、救急隊員の保護に向け、総合的な個人用保護技術を概括した調査事項や、救急隊員の安全衛生に関する連邦レベルでの教育・訓練プログラムの改善の必要性を挙げた。
「救急隊員の保護:対米テロからの教訓」と題した報告書は、NIOSHの監督下、ワシントンのRAND科学技術政策研究所が作成した。
報告書の全容は、NIOSHの
www.cdc.gov/niosh/npptlもしくはRANDの
www.rand.org/publications/CF/CF176/CF176.pdfで閲覧できる。
* 高可視ベスト―――高輝度反射材付ベスト