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NSC発行「Safety + Health」2002年5月号
OSHAの最新情報
ヘンショー副長官、OSHA監督官の認定書取得を奨励
ジョン・ヘンショーOSHA(労働安全衛生庁)担当労働副長官は、事業者の高い評価を得られるよう、同庁の監督官に対し、認定書の取得を熱心に奨励している。
ヘンショー労働副長官は、監督官に認定書取得を義務付けるわけではないが、「われわれが認定を尊重するということを示し、認定書を容易に取得できるようにしたい」と述べた。これは、2002年度予算として議会が承認した、認定書取得予算の活用も視野に入れたものであろう。作業チームが、この目的をどう達成していくか、監督官の新しい資格審査プロセスも含め、案を練っているところである。
現在、監督官2千余名のうち、わずかに約150人が、公認安全専門家または公認産業衛生士である。
米国産業衛生協会(AIHA)のアーロン・トリップラー政府問題担当部長は、OSHAの問題の一つに、召喚状を作成する監督官が、しばしば召喚される企業の担当者に比べ、安全違反のあった問題についての理解が乏しいことが挙げられると語った。トリップラー氏は、これではOSHAの「信用問題」を生起するとのヘンショー労働副長官の主張に、同意すると述べた。
OSHA、米造幣所の劣悪な労働環境を摘発
フィラデルフィア市の米国造幣所は、連邦監督官により、47件の重大安全衛生違反で摘発され、この世界最大の硬貨鋳造工場は、安全問題に取り組むため、1ヵ月間、硬貨の鋳造を中止すると発表した。
広範囲にわたる立ち入り検査で、危険な硬貨の積み上げや、機械の防護装置の欠如、避難手順の欠陥にいたる139件の違反が見つかった。
政府統計は、フィラデルフィア市およびデンバー市の造幣所は、連邦政府機関のなかでも最も危険な職場であることを示している。
安全問題のため、フィラデルフィア市の造幣所は、従業員教育と労働条件の改善を目指して、造幣を中止した。
「造幣所の従業員の安全と福祉は、もっとも重要である」と、ヘンリエッタ・ホルズマン・フォー造幣所長は述べた。
フィラデルフィア市のOSHA第3地域事務所のスポークスウーマン、ケイト・ドゥーガン氏は、同庁は、造幣所の対応に満足していると述べた。
「かれらは、問題に取り組む意向である」とドゥーガン氏。「OSHAは、できる限りの支援を申し出た」。
OSHA第4地域事務所、墜落・転落防止プログラムを作成
OSHA 第4地域事務所は、とくに建設産業における墜落・転落防止に的を絞った、新しい特別強調プログラムを実施している。
OSHA統計によると、アラバマ、フロリダ、ジョージア、ミシシッピー4州における昨年の死亡災害の33%は、墜落・転落によるものであり、この70%は、建設現場で発生した。同期間中、第4地域事務所支部は、墜落・転落による死亡事故83件を調査したが、うち58件は、建設産業であった。
OSHAは、管轄地域での墜落・転落事故の減少に向け、教育講習(訓練用CDを含む)と立ち入り検査との組み合わせを活用すると述べている。
OSHAの労働監督活動から独立して活動する9名の遵法支援専門官は、求めに応じ、事業者、労働者の危険認識・予防を支援する。
「墜落・転落防止手段が講じられていたならば、死亡者の多くは助かっていたであろう」と、アトランタ市のOSHA第4地域事務所のシンディ・コウ所長は語った。
鉄骨組み立て基準の施行に向け、遵守指令を公表
OSHAは、1月18日付けで発効した新しい鉄骨組み立て基準の施行に向け、遵守指令を公表した。
遵守指令は、新基準の施行にあたる遵守担当官を支援するものである。遵守担当官向けに、監督にあたっての助言、写真付きの説明や、新基準の特定の条項を明快にわかるようにした質疑応答形式の章からなっている。
遵守指令は、新基準の主要な条項や、構成要件の「段階的な実施」について説明している。OSHAによると、新基準の構成要件は、2001年1月 18日以前に建築許可を得たプロジェクト、または2001年9月16日ないしそれ以前に鉄骨組み立て作業が開始されたプロジェクトには適用されない。その他の要件はすべて、適用される。
「鉄骨組み立て産業での死傷事故の主要原因と特定されている危険に、直接取り組むことで、人命を救い、鉄骨組み立て労働者をよりよく保護したい」と、ジョン・ヘンショーOSHA長官は語った。
OSHA鉄骨組み立て基準をめぐる政策、手続きに関する遵守指令は、同庁のウェブサイト、www.osha.gov.の「遵法指示書」の欄を閲覧されたい。
ヘンショーOSHA長官、庁内に最高幹部会を創設
先日、ジョン・ヘンショーOSHA長官は、自身に対し、政策やプログラムについて勧告し、新しい方向を提案する最高幹部会を庁内に創設した。
幹部会は、副長官、OSHAの各局長、地域事務所長や公共問題、再開発、雇用機会均等、訓練・教育等担当部長、労働安全衛生州別計画協会の代表者など、OSHAの上級管理職から構成される。幹部会は、毎月1回の定例会議のほか、議長であるOSHA長官が招集する特別会議も開催される。
幹部会を創設するにあたり、「OSHAの政策、事業、管理、手続き、基準または法令などの重要事項につき、意思決定を下す前に、まず幹部が、適切で時宜を得た検討を行い、OSHA担当労働副長官に助言する目的で、設立した。ただし詳細に及ぶ技術的、科学的性格のものは含まない。」と、ヘンショー長官は語った。
幹線道路作業ゾーンの安全確保に向け、召喚増加
OSHAは、幹線道路の作業ゾーンでの安全違反にいっそうの注意を払ったところ、監督件数および罰金総額が増加した。
イリノイ、ウィスコンシン、オハイオ3州で、集中施行プログラムを行ったところ、2001年度には、作業ゾーンの監督349件のうち、召喚は252件に及び、罰金総額は88万5千ドルにのぼった。集中施行プログラムは、6ヵ年計画の21世紀運輸資本法の下、幹線道路建設が急増したのを受けて、発足した。溝堀り作業をめぐる諸問題、信号手の保護の欠如が、2大違反であった。
全米規模では、幹線道路および大規模建設事業場の監督件数は、1996年の459件から2001年には641件へと増加した。罰金総額は、73万6千ドルから180万ドルへと増加した。
OSHAは、3州集中プログラムを2年前に開始したが、その前の5年間に、中西部の道路建設区域では54件の死亡事故が報告されている。プログラム開始時、OSHAは、全米安全評議会(NSC)と共に、OSHA監督官を対象とした合同訓練を提供するとした、パートナーシップ協定に調印した。同庁はまた、幹線道路建設作業の危険性について、理解を深めるため、道路建設業、労働組合、州警察、州運輸局とも協力した。
OSHA法規、事業者の懐を痛打
新しい調査によると、労働安全衛生規則の遵守は、連邦諸法規のなかで最も費用がかさむ。
調査の回答者は、職場を規制する諸法規の遵守費用の1/3は、OSHA法規が占めると述べている。企業規模別にみると、小企業の場合、労働安全規則の遵守は、連邦諸法規の遵守の42%にあたる。
他の法規分類には、従業員手当、公民権規則、労働基準、労使関係法と採用決定法などがある。
連邦法規すべてを遵守するため、事業者は、従業員1人あたり平均1,070ドルを負担しており、労働安全衛生法規では、従業員1人あたりの負担は、567ドルとなっている。小規模事業者の場合、OSHA法規の遵守費用は、従業員1人あたり1,070ドルで、連邦法規すべての遵守費用は、2,573ドルであった。
本調査報告は、マーカタス・センターが、ワシントンにある全米製造者協会が実施した調査をまとめたものである。マーカタス・センターは、バージニア州アーリントン市にあるジョージ・メイソン大学の連邦法規監視団体である。
法令遵守は安くない
1,070ドル
従業員1人あたりの全法規の遵守費用
567ドル
従業員1人あたりの労働安全衛生法規遵守費用
出所:マーカタス・センター、2002年 |
環境団体、世界貿易センターでのOSHAの活動を批判
天然資源防衛会議は、昨年9月11日の世界貿易センター攻撃の環境への影響に関する報告書のなかで、救助・復旧作業中のOSHAの仕事ぶりは「とりわけ失望的」であったと厳しく批判した。
このニューヨークを本拠地とする環境保護団体は、対米テロへの政府の対応は、多くの点で「賞賛に値する」と評価する一方、OSHAとニューヨーク市環境保全部は、安全衛生関連任務を十分遂行しなかったと批判した。
「重要な環境労働安全基準は、世界貿易センター倒壊後の数週間、数ヵ月間は、ずさんに適用されるにとどまった」と、同団体は非難した。
他の事業場とは対照的に、グラウンド・ゼロ(爆心地)でのOSHAの活動は、「いくぶん効果のない相談役にとどまり、法規施行の機能を果たさなかった」と、報告書は主張している。
報告書によると、OSHA監督官は、9月下旬から10月上旬にかけて、とくに呼吸用保護具に関連して、何十件もの労働安全違反を確認していた。しかし、OSHAは、消防隊員その他、救急援助隊員や建設労働者の呼吸用保護具の着用の徹底を怠った。
これらの保護具は、グラウンド・ゼロのような火災、噴煙下では、標準的な労働安全要件であると、同団体は指摘した。
ガスメーター清掃で、健康障害発生
最近発行されたOSHAの危険情報速報によると、ガスメーターを修理・クリーニングする事業者、従業員は、重大な健康障害をもたらすおそれのあるカドミウム粉じんを放出している可能性がある。
カドミウムは金属で、流感様の疾病、腎不全や、肺がん、前立腺がんの危険を増すなど、深刻な健康障害を引き起こす。カドミウムは、粉じんとして吸い込む、あるいは、カドミウム粉じんを含有する環境で、とくに手洗いをせずに喫煙や食事をすると、摂取され、体内に取り込まれる。
1980年代、多くのメーカーは、「フェルール」、「スパッド」と呼ばれる、雄ねじを切ったガス出入り口の取り付け部品を、カドミウムでめっきした。ガスメーターの外付け部分を腐食から保護するためである。
OSHAによると、ガスメーターの部品を高速回転するワイヤーブラシで磨くと、カドミウム粉じんが発生する可能性がある。最近の監督官の立ち入り検査では、ガス会社のガスメーター修理工場で、許容濃度をかなり上回るカドミウムが検出された。OSHA速報は、ガスメーター修理工場の事業者に対し、メーターの部品がカドミウムでめっきされているかどうか、また、従業員が、カドミウム粉じんに過度にさらされていないかどうかを見極めるよう、勧告している。
万一そのような場合には、OSHAは、修理工場の所有者に、以下の手法で、カドミウム粒子の浮遊を防ぐよう勧めている。
- 重度有害物質加工用フードや排気装置付き密閉容器を設置する。
- 清掃する前に、部品を湿らす、水中に浸すなど、作業慣行を統制する。
- 高速回転ワイヤーブラシの使用をやめる。
- ほこりにまみれた表面を掃くのではなく、掃除機で吸引するなど、清掃手法を採用する。
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