NSC発行「Safety + Health」2002年6月号
ニュース
EPAオンブズマン、騒動のさなかで辞任 ワシントン − EPA(環境保護局)の有害廃棄物オンブズマン、ロバート・マーティン氏が辞任、EPAおよびクリスティ・ホイットマン長官を不利な立場に追いかねない調査の妨害を試みたとして、当局を告発した。
マーティン氏は、今年、抗議して辞任した二人目の上級EPA職員である。
マーティン氏は、監察官室職員に書類ファイルを押収され、自身の事務所のドアの鍵を変更されて、一週間も経たないうちに辞任した。これは、オンブズマン事務所を廃止し、マーティン氏の業務を、当局の内部監視部門であるEPA監察官室に組み入れるとした、ホイットマン長官の決定がもたらした結末である。
ホイットトマン長官は、この措置は、マーティン氏により独立性を持たせるべきだとした政府報告書に対応したものであると主張した。マーティン氏は、これは、EPA内の不正に対する自身の調査能力を押しつぶそうとしたものであると反論した。
前ブッシュ政権時に就任したマーティン氏は、EPA取引、ホイットマン長官の夫、ホイットマン氏の元勤務先であるニューヨーク市のシティグループ鰍ェ絡む、利害抵触疑惑を調査してきた。
シティグループは、デンバー市近郊にあるシャタック・ケミカル社のスーパファンド(有害廃棄物除去基金)用地の浄化に関し、EPAと契約を結んだ。シティグループは、用地の放射性廃棄物の浄化作業を支援するため、720万ドルを支払うと合意していたが、実際の費用は、1億ドル近くに及ぶとみられる。これは、ジョン・ホイットマン氏とシティグループのコネによる「談合」であるとの非難を浴びている。ホイットマン氏は、シティグループに15年間勤務し、今年1月現在で、同社の株式を25万ドル所有している。
ホイットマン氏は現在、シティグループが大々的に支援しているニュージャージー州プリンストン市のシカモア・ベンチャーで、業務執行社員を務める。
クリントン政権時代にシャタック社の調査を開始したマーティン氏は、EPAが、当初の浄化契約を破棄し、代わって同社により有利な契約を締結したことを突き止めた。昨年、オンブズマン事務所から移籍された上級EPA調査官、ブルース・カウフマン氏は、ホイットマン長官は、本件から身を引くべきであったと主張した。
1月、ホイットマン長官事務所は、シャタック社との契約に長官が関わったという「証拠は、全くない」と発表した。取引は、ホイットマン氏が長官に就任する前に成立しており、現在では、EPA地域事務所が担当している。
この件に関連して、今年初め、カウフマン氏は、9月11日以降の世界貿易センター跡地周辺の大気について、安全であるとの虚偽の発表をしたとして、ホイットマン長官を非難している。この手で、シティグループ所有の保険会社は、何百万ドルもの損失を免れたと、カウフマン氏は主張した。
民主、共和党議員とも、マーティン氏からオンブズマンとしての権限を剥奪したとして、ホイットマン長官の措置を非難した。