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NSC発行「Safety + Health」2002年6月号

ニュース

酸性雨オークション:緊急問題

 ワシントン - 一見、EPA(環境保護局)が、酸性雨を競売にかけているように見える。実際のところ、酸性雨オークションは、事業主、ブローカーや発電所に対し、二酸化硫黄の排出権を購入する機会を提供するもので、全米規模で二酸化硫黄の排出を削減し、酸性雨を減らそうとするEPAプログラムの一部をなす。
 毎年、EPAは、発電所その他の熱源に対し、二酸化硫黄の排出量を割り当てる。この排出権の一部を使わずに、競売にかける。民間人も、排出権を売却することができる。
 他の発電所に比べ、汚染の度合いが少ない発電所は、排出権を売ることで、削減努力から利益を生むことができる。この自由市場システムにより、電力産業の二酸化硫黄排出を半減して、酸性雨を減らしていこうという発想である。排出権を購入する発電所は、二酸化硫黄の排出レベルにつき、国または州の衛生保護基準を遵守せねばならない。
 EPAによれば、二酸化硫黄の排出量は、すでに1990年のレベルより5百万トン以上減っており、また、米国東部における酸の堆積は、30%も減っている。
 ブッシュ政権は、酸性雨オークションについては、新しい大気保全イニシアチブのひな型になったと、満足を示している。このイニシアチブには、全米規模での窒素酸化物、二酸化硫黄、水銀の排出削減に向けた、強制的な上限・取引プログラムが含まれている。
 反対派は、結局は発電所にEPAの制限枠を越えさせるものだと指摘し、この種の上限・取引プログラムには懐疑的である。