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NSC発行「Safety + Health」2002年7月号
OSHAの最新情報
ブッシュ大統領、小企業局の権限強化を目指す
ブッシュ大統領と議会は、OSHA(労働安全衛生庁)その他の連邦規制当局の発布する規制に影響力を行使するよう、小企業局の立場をより有利にする処置を講じた。
ブッシュ大統領は、連邦各局が、新しい規制の影響に関する調査を怠った場合、その理由を書面で説明させる権限を、小企業局擁護室に与える大統領令を発令するつもりであると述べた。説明書は、公表する。
擁護室とホワイトハウス情報・法制問題局は、法規起草プロセスのできるだけ早い時点から小企業問題の検討を確実にするよう、互いに協力するとの覚書にすでに署名している。
連邦議会では、先日、下院が、小企業を「不要な」規制から保護するよう、擁護室の能力を強化する法案を可決した。
同法案は、職員増員のための予算を増やし、規制・経済調査担当の副顧問2席を新設し、ある規制が小企業に与えるインパクトについて、擁護室と意見調整を図るよう、小企業局のオンブズマン(行政監察官)に奨励するものである。
上院は、昨年、類似の法案を通過させており、下院投票後の数週間以内に、下院法案を取り上げるものとみられている。
食品・食肉労働者のための新エルゴ・ガイドライン
ヘンショーOSHA長官は、先日、食品・食肉産業向けの新しいエルゴノミクス任意ガイドラインを開発すると発表した。
ナッシュビル市で開かれた米安全技術者協会の年次総会で、ヘンショー長官は、ガイドライン素案は、今年中に、国民の意見を求めて公開すると語った。
食品流通研究所、全米食料雑貨商協会、全米鳥肉協議会および全米七面鳥連合は、ガイドラインの開発にあたり、OSHAと協力したい意向を示した。
OSHA長官は、以前にも言及したテーマである、職場におけるエルゴノミクス問題の改善に向け、安全衛生諸団体の支援を期待すると述べた。労働条件の改善にあたり、安全衛生界は、OSHAのパートナーであるべきであると確信していると、長官は語った。
「われわれは、座して妙案(エルゴノミクス基準)を待つわけにはいかない」と、ヘンショー長官は述べた。「いかなる討論においても、推進力として安全衛生を利用すべきだとは、私は思わない。安全専門家や労働者は、日々、安全衛生問題に直面している。私は、当局を尊敬に値するようにしたい。また、いくつかの障害や政争の具を排除していきたい」。
エルゴノミクス対策のほか、当局が直面する2大課題は、OSHA職員の能力向上と、結果に基づく成果測定法の開発による有効性の立証であると、ヘンショー長官は語った。
OSHAの解釈書簡、復活
OSHA規制の意味するところを解釈した書簡は、OSHAによる在宅勤務の規制をめぐる激烈な論争で、一時、勢いをそがれたが、復活した。
テレコミューティングや企業の従業員が自宅で労働する在宅勤務については、OSHA規制が適用されると言及した解釈書簡は、自宅オフィスの監督業務の実施について意向を示したものではなかったが、これをめぐって、一騒動が起き、当時のアレクシス・ハーマン労働長官は、その書簡の撤回を命じた。当時のチャールズ・ジェフレスOSHA長官は、このような解釈書簡の発信手続きを検討し始めた。
OSHAスポークスパーソンによれば、解釈請求が、遵法または法律解釈プログラム局、または統計室で受理された場合には、迅速に処理される。担当の専門官が、回答を起草し、これを、担当部局全体で、労働法務官室や担当局長が、吟味する。それから投函される。
書簡発行手続きの検討を済ませた現在、OSHAは、大量の解釈書簡を発行している。しかし、解釈は、質問のあった条件のみを対象にしており、質問で言及された以外の状況に適用されるものではないと、当局は強調した。
OSHA監督官、特定事業場の集中監督(Site-specific inspection)を開始
OSHA監督官は、特定事業場を対象とした集中監督プログラムのもと、一般産業の3千の事業場を徹底的に臨検し始めた。これには、2000年度に記録され、2001年度にOSHAに報告のあった傷病データを反映させる。
監督に関する新しい指令では、当局は、負傷後、就業制限つきで職場に復帰した労働者、または他の職務に配転した労働者をカバーする、新しい手法を用いるとしている。
休業(Days Away)、就業制限(Restricted)、または配置転換(Transferred)をカバーする、いわゆるDART方式は、最初は、企業または事業場の所有者が交替した場合に適用される。やがては、これが、労働損失日数アプローチに取って代わる。
介護、養護施設は、こうした監督対象から外す。その代わりに、患者を抱き上げるなどによる腰痛その他の負傷を含む、反復動作の影響に焦点を合わせた、新しい全米集中プログラムでカバーする。
OSHA長官、組織再編を計画
ヘンショーOSHA長官は、主として、連邦‐州事業、政策、衛生基準と安全基準の4局に影響を及ぼす組織再編を提案した。
ヘンショー長官は、本提案を実施する前に、エレイン・チャオ労働長官および労働省の承認を求めると述べた。この再編は、労働大臣の掲げる目標およびOSHAの最優先プログラムを実施できるよう、企図されたものである。すなわち、強力、公正かつ効果的な法規施行、遵法支援の拡大、パートナーシップの拡大と、全米での安全衛生をめぐる対話における先導的役割である。
計画によると、連邦‐州事業局は、新しく、小企業支援室、パートナーシップ・表彰・アウトリーチサ―ビス・協力室や、既存の州プログラム室を包含する、協同・州プログラム局となる。
政策局は、新しく評価・分析局となり、統計室、法規分析室が加わる。
本計画はまた、基準・ガイダンス局を新設し、安全衛生の基準作成機能と、非規制アプローチの計画、開発、管理を結合する。
最後に、変更の少ないところでは、遵法プログラム室(法規施行室から改称された)などをはじめとする事務室の移動や、アル・ゴア前副大統領の行政再開発計画のもと、創設された行政再開発室の廃止が挙げられる。
新しい建設災害データの収集を発表
ジョン・ヘンショーOSHA担当労働副長官は、新しい二つの建設安全データ収集イニシアチブを発表した。
一つは、1万3千の建設会社から傷病データ収集を始めるもので、これは、アウトリーチ活動や遵法支援活動の基礎として、また、当局が一般産業で実施している集中監督プログラムと同様の、高危険度の事業場を対象とした集中監督の基礎として、活用する。
データは、「建設業界で何が起こっているか、よりはっきりと現状を映し出してくれるだろう」と、労働副長官は、5月の労働者記念日式典で語った。
当局はまた、人口統計学的データ収集を実施し、ヒスパニック系その他の移民労働者が死亡災害や重大災害に巻き込まれるのは、どのような場合か、また、言語の壁などの問題が事故に関わっているかどうか、正確に把握するよう努めると、ヘンショー副長官は述べた。
出張者向け海外危険回避ガイド
OSHAの新しい広報は、海外出張者向けの安全衛生情報を提供、さらに、健康リスクを低減させる有益な方法に関するガイドラインについて、その入手先を列挙している。
「海外出張時の安全衛生」と題した広報は、2000年度の海外旅行者の35%は、出張者であると指摘。海外滞在中、さまざまな伝染病に感染する危険性は、業務上の危害であると、OSHAは主張する。
本ガイドは、予防医療、こまめな手洗い、防御的な歩行・運転、よく調理された食物の摂取などを、予防措置として勧告する。発展途上地域では、旅行者は、ボトル入りの水を飲み、はだしで歩かない、伝染病にかかっている恐れのある猿や猫、犬などの動物に接触しないよう、OSHAは忠告する。
広報は、www.osha.govオンラインで閲覧できる。
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