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NSC発行「Safety + Health」2002年10月号

ニュース

AIHA、有毒カビ法案へのOSHA、NIOSHの関与を主張

 バージニア州フェアファックス市にある米国産業衛生協会(AIHA)は、8月13日付の書簡で、有毒カビ法案には、労働安全衛生庁(OSHA)、国立労働安全衛生研究所(NIOSH)のより大きな役割を盛り込むべきであると、議会に伝えた。
 問題のH.R.(下院)5040法案では、主として住宅の所有者を有毒カビから保護することを目的としているため、この監督権はすべて、環境保護局(EPA)の手に委ねられており、労働保護当局は含まれていない。
「米国産業衛生協会(AIHA)は、カビの繁殖は、居住用建物のみならず、大勢の労働者が働く多くの職場にもみられると確信する」と、書簡で述べる。「さらには、監督や修復に携わる労働者についても、懸念される」。
 書簡は、下院に同法案を提出した、ジョン・コンヤ−ズ・ジュニア下院議員(民主党、ミシガン州)宛て送付された。同法案は、EPA、疾病対策予防センターと国立衛生研究所(NIH)に対し、屋内でのカビの繁殖の健康への影響を、連携して調査するよう指示し、EPAに対し、カビの繁殖の予防、検出と修復についての基準を公布するよう指示するものである。
米国産業衛生協会(AIHA)の主な関心は、法案の検査・修復の部分である。こうした活動には、公認インダストリアルハイジニストのような「労働環境危害について、適切な教育と訓練を受けた」個人があたるよう望んでいる。また、議会に対し、カビ試料の分析は、公認された試験所にのみ認可するよう、奨励している。
米国産業衛生協会(AIHA)は、米国有毒カビ安全・保護法は、有毒カビの許容暴露限界の定義や設定といった難題にも取り組むべきだと、考えている。協会によれば、有毒カビという用語は、ほとんど科学的な意味を持たない。
同協会は、コンヤ−ズ議員の「微生物の繁殖が、暴露した人の健康に及ぼす潜在的有害性についての懸念」を共有するものの、「どれが有害な微生物の繁殖で、どれがそうでないか、もっと調査すべきである」と書簡で述べている。

ASSE、参入
一方、イリノイ州デスプレインズ市にある米国安全技術者協会(ASSE)も、より多くのカビ研究の必要性を支持する書簡を、コンヤーズ議員に送付した。しかし、米国産業衛生協会(AIHA)が、検出や修復の責任をインダストリアルハイジニストに負わせたいとするのに対し、米国安全技術者協会は、責任範囲の拡大を望んでいる。
 「カビ問題へ対処する専門家の種類を制限するのは、カビのような環境的脅威から建物の安全を守るために、企業や公共機関が頼っている多くの専門家を見落とすことになるばかりか、法案の目標達成を妨げることにもなろう」と、同協会のマーク・ハンセン会長は、書面で述べている。
 米国安全技術者協会(ASSE)は、また法案が、カビ検査や修復に対する税優遇措置を盛り込んでいることを支持し、カビ検査試験所に関する条項で、現行の認可プログラムを認めるよう、勧告している。協会はさらに、OSHAやThe American Conference of Governmental Industrial Hyginists(ACGIH)が開発したガイドを用い、自発的コンセンサスの過程を経て、ガイドラインを作成するよう、議会に強く要請している。

(写真下) 有毒カビ問題は、職場や家庭での対処に向け、OSHA、NIOSH、EPAに大きな役割を与える法案の支持に向けて、米国産業衛生協会(AIHA)など諸団体を駆り立てている。