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NSC発行「Safety + Health」2002年12月号

ニュース

NAFTA作業委員会、優先課題を設定 - 屋外では抗議集会

サンディエゴ - サンディエゴ会議センターの外で抗議者が結集するなか、米国、カナダ、メキシコの各政府を代表する安全担当高官は、ヒスパニック系労働者のよりよい保護の必要性を協議するため、会合した。各国代表は、センターで開催された全米安全評議会(NSC)の第90回年次会議&展示会での第2回ヒスパニック・フォーラムで、顔を合わせた。
 抗議に集った人々は、3ヶ国労働安全衛生作業委員会の、彼らのことばでいう「秘密」会合に反対し、米国、メキシコ政府は、いわゆるマキラドーラ注)として知られている、国境沿いの工場の安全衛生問題に適切に対処していないと主張する。
 「2005年までに、マキラドーラの職場に効果が現れるのを、みなさんは目にするだろう」と、ジョン・ヘンショーOSHA(労働安全衛生局)長官は、会合で述べた。「私は、安全担当者である。レトリック(話術)ではなく、結果を重視する」。
 これは、北米自由貿易協定の労働部門である北米労働協力協定のもと、設置された委員会の第2回会合である。作業委員会は、各国の労働安全衛生担当の幹部が代表する。
 作業委員会は、優先課題に照準を合わせて、4つの小委員会を設置した。
  • 安全衛生マネジメントシステムおよび自主的保護プログラム
  • 監督官、技官訓練
  • 有害物質の取り扱い
  • コミュニケーション、優良慣行の共有。これには、各国の労働安全衛生プログラムを連結するウェブサイトの創設も含む。
 ヘンショー長官は、委員会は、労働者の安全衛生の重要性を確認したと発言。「われわれ各国の職場やビジネスは、相互に連結・依存している」と長官。「本委員会は、北米のすべての職場で死亡や傷病を減らし、われわれ全員が恩恵にあずかれるような、実体のある結果を生み出すために尽力する」。
 委員会は、今春、カナダで会合する予定。

JICOSH注) マキラドーラとは安い労働力を利用して、輸入部品を輸出用商品に組み立てるために外国企業がメキシコに設立した工場


事実チェック
2002年度で、自動車事故が最多だったのは、どの曜日か?
出所:全米安全評議会(NSC)、「Injury Facts」、2001年


追悼 - 安全衛生の友、ウェルストン議員

 ワシントン - 上院2期目のポール・ウェルストン議員(民主党、ミネソタ州)は、出身州で10月25日、飛行機事故で死亡したが、米国の労働安全衛生を熱心に主張した功労は、広く人々の記憶するところである。ウェルストン議員は享年58歳、保健医療改革や、処方薬、経済開発、小企業関連の目的も追い求めた。
 この遠慮のない発言をする自由主義の民主党員は、雇用・安全・訓練小委員会の委員長を務め、反復性ストレス傷害その他の職場の危害に関する議案通過に圧力をかけた。
 過去2年間、ウェルストン議員は、ブッシュ政権のエルゴノミクス対策を非難、議会の公聴会では、エレイン・チャオ労働長官に向かって、ブッシュ政権の計画は「時計の針を、前ブッシュ政権の前にまで押し戻した」と、あからさまに訴えた。ウェルストン議員は、公聴会で、ブッシュ政権のエルゴノミクス対策の中身(自主的ガイドライン、一般義務条項の施行、アウトリーチおよび法規遵守、調査の継続)は、過去10年間試みられたが、労働者を保護しそこなったと述べた。
 AFL-CIO(アメリカ労働総同盟産業別労働組合会議)のジョン・スウィーニー会長は、ウェルストン議員は「孤立無援の時ですら、働く男女の権利の擁護のためには、疲れ知らずで、弁解しない人物であった」と述べた。トム・ダッシュル上院議員(民主党、サウスダコタ州)は、不運な人々に注意を向けた故人を「上院の指導者」と呼んだ。トレント・ロット上院議員(共和党、ミシシッピー州)は、故人の逝去について「悲嘆のあまり、ことばもない」と述べた。
 アラン・C・マクミラン全米安全評議会(NSC)会長兼CEO(最高経営責任者)は、ウェルストン議員は、職場や家庭、地域社会における安全衛生問題に熱心に取り組んだと述べた。「故人は、すべてのアメリカ人の安全衛生の確保のために、不断に闘った主義の人であった」とマクミラン会長。
 ウェルストン議員は、死亡当時、激戦の再選運動で多忙を極めていた。
 本誌は、2003年1月号で、ウェルストン氏の逝去および11月の中間選挙をめぐる政治的意味を検証する。


上院小委員会、環境問題でブッシュ政権を非難

 ワシントン - 上院政府問題委員会の新しい報告書によると、ブッシュ政権は、発足以来、環境規制に対し「予定どおりの敵意」を示している。
 委員会の「規則の書き換え」と題した報告書は、ブッシュ大統領の就任時にすでに承認されてはいたが、未施行であった環境規制について、同政権がどう対応してきたかを検証したものである。
 報告書は、ブッシュ政権は、環境・衛生規制については、対立的な傾向を決め込んだと結論した。同政権の行為は、長年にわたり確立されてきた規制手続き、公衆の意見の重要性や、科学的根拠に基づいた規則に対する否定的な態度を特徴とすると、報告書は主張する。
 報告書全文は、政府問題委員会のウェブサイト、http://www.senate.gov/%7Egov_affairs/ で閲覧できる。


鉛検出用ふき取り布に特許

 アトランタ - 疾病対策予防センターは、皮膚や、鉛を生産もしくは使用している産業で使用されている車両のハンドルその他の表面、テーブルや床、壁面、窓台などといった表面に鉛が付着しているかどうか、これを検出できるふき取り布で、特許を獲得したと発表した。
 同センターのアンドルー・ワトキンス技術移転部長は、ふき取り布は、変色して鉛の存在を示し、ある水準以上の鉛汚染を労働者に警告すると説明。そこで労働者は、手洗いをより徹底することができるというわけである。
 労働者の手に残った鉛は、飲食、喫煙の際に体内に取り込まれることもあり、深刻な健康リスクとなりうる。手洗いは、丁寧にすれば、残留鉛をすべて取り除くことができるが、手洗いが完璧であったかどうかを見極めるのは難しいと、疾病対策予防センターはいう。危険にさらされるのは、鉛系塗料の除去や、鉛塗料を使用した建物の改装に携わる労働者や、金属産業の労働者である。
 鉛検出布を開発したのは、国立労働安全衛生研究所(NIOSH)である。


1,3-ブタジエンは発がん物質 - EPA報告

 ワシントン - 環境保護庁(EPA)は、1,3-ブタジエンは、人類に対し発がん性を有すると結論した、最新の最終評価を発表した。
 同庁は、1985年に行った前回の評価以降に入手したこの化学物質の科学データを検証した。こうして更新された情報をもとに、報告書は、1,3-ブタジエンは、具体的なしくみこそ解明されていないものの、吸入されると発がん性を有すると結論した。
 データはまた、男性より女性のほうが危険にさらされやすいことを示している。
 1,3-ブタジエンは、スチレン-ブタジエンゴム、合成樹脂、熱可塑性樹脂の生産に用いられる。主に、自動車の排気ガスから環境に放出されるが、屋内では、タバコの煙が主な発生源である。
 評価報告書は、www.epa.gov/nceaに掲示される。報告書の送付を希望する場合は、電話800-490-9198まで連絡されたい。


路上での危険行動は珍しくない
 ワシントン - 交通安全をめざす事業者ネットワークによる最近の調査は、従業員の運転習慣を尋ねたものである。通勤途上や業務運転の際、従業員は以下の通りであることが、調査で判明した。
度々   時々 合計
注意散漫運転 35% 33% 68%
渋滞中の運転 34% 27% 60%
道路工事による遅滞を経験 25% 24% 50%
無謀運転 12% 18% 30%
眠気・居眠り運転   8% 22% 30%

出所:交通安全をめざす事業者ネットワーク、2002年


事業縮小のおそれで、労働安全が犠牲になる

 ワシントン - 新しい調査によると、雇用の安定感と安全の遵守との間には、関連性があるのかもしれない。
 バンクーバー市にあるワシントン州立大学の調査チームは、学生を対象に、模擬職場の実験を行った。半数の「労働者」には、会社が事業縮小を計画していると伝えた。
 この情報を得た労働者は、安全と品質を犠牲にして、生産性を押し上げる行動にでた。より多くの仕事を完成させたが、品質は落ち、多くの安全違反が確認された。
 調査は、労働衛生心理学ジャーナル(Vol. 6、No. 2)に掲載された。


欠勤理由は、疾病だけではない

 イリノイ州リバーウッズ - CCH(株)が実施した調査では、従業員が、身体の病気以外の理由で病欠の電話を入れる傾向は、続いていることが、判明した。
 第12回年次調査によると、計画外欠勤の全体の比率は、近年ほぼ同じだが、個人的な理由による計画外欠勤は、2年前の20%から、今年は24%に増加した。ストレスによる欠勤だけでも、同期間中に5%から12%へと激増した。
 こうした欠勤は、企業にとっては莫大な負担となっている。同調査によれば、一人当たりの病欠費用は、2001年の755ドルから2002年には789 ドルに上昇した。これは、2001年の5%増、2000年の29%増であると、CCH社は報じた。
 CCH(株)は、人的資源専門家向けの雇用法・情報を提供する。本調査結果の詳細については、同社のサイト、www.cch.com/absenteeismで閲覧できる。


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www.nsc.org/groups/members/login.cfm
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ハンド・フリーは、危険度ゼロにはならないとの調査結果

 オーストラリア、シドニー - 新しい調査によると、携帯電話のハンド・フリー付属品を使用するドライバーは、注意が散漫していることに気づきにくいため、他のドライバーに比べ、より多くの危険を引き起こす可能性がある。
 シドニー大学の調査チームは、手持ち式電話を使用する、ハンド・フリー電話を使用する、同乗者への文章を伝言する、話しかけるといった行為のドライバーを対象に調査した。ハンド・フリー装置を使用したドライバーの方が、自分の手が電話機器の操作に関わっていない分、注意散漫になってはいないと信じがちだった。しかし、ハンド・フリー使用者は、電話中、速度をあげる傾向があり、車線内の定位置の維持に困難をきたした。
 調査チームは、物理的な電話の取り扱いというよりは、会話が、ドライバーの注意散漫を引き起こすと結論した。


建物用火炎・煙ダンパー部品、回収

 ワシントン - 米消費者製品安全委員会およびイリノイ州ラブ・パークにあるインベンシス・ビルディング・システムズ社は、56万個に及ぶジーブ作動装置(Siebe actuators)を、検査のため、回収している。商品取替えの可能性もある。
 ジーブ作動装置は、建物の暖房、換気、空調装置のなかの火炎・煙ダンパー(弁)を開け放している。火災の際には、煙や火炎、ヒュームの拡散を抑えるため、ばね機構でダンパーを閉鎖するよう設計されている。回収対象の作動装置は、からんで動かなくなり、ダンパーの閉鎖を妨げる。
 型式MA-200とMA200-1シリーズの作動装置は、1993年12月から1999年10月までの期間に製造され、製造年月日コード、9348から9947の番号がついている。
 詳細は、インベンシス社(電話:887-481-2372)まで。