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NSC発行「Safety + Health」2002年12月号
OSHAの最新情報
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チャオ労働長官、起訴は「強力なメッセージ」と発言
ニューヨーク市の足場組み立て業者の起訴は、「労働者保護法規の違反を看過しないという、事業者、労働者に向けた強力なメッセージである」と、エレイン・チャオ労働長官は述べた。
トライステイト・スカフォールディング&イクイップメント・サプライズ(株)のフィル・ミヌッチ社長(42)は、2001年10月24日にヒスパニック系労働者5名が死亡し、他の4名が負傷した事故で、第2級殺人の5訴因と第2級暴行の4訴因により、10月10日に起訴された。
マンハッタン地区検事のロバート・M・モーゲンソー氏は、訓練を経た技能者ではない被告が、石工の安全に配慮せず、建築法、技術的要件と「良識」に違反して、13階建ての足場を設計し、組み立てたとの調査結果を発表した。
4月、労働安全衛生局(OSHA)は、トライスター社と他の建設業2社に対し、足場を不適切に組み立て、足場作業の危険に関する労働者訓練を怠ったとして、召喚状を発行した。トライスター社は、足場安全規則違反による足場組み立て、専門技師の設計によらない足場の組み立て、その他の足場および労働者保護規則違反で、故意の違反2件、重大違反4件で召喚され、罰金146,600ドルを言い渡された。
OSHA 審議会、連邦政府の労働安全の改善を模索
OSHAが、民間の職場の監督業務をこなす一方、連邦政府機関労働安全衛生審議会は、連邦政府の労働安全の改善に向け、全連邦機関の幹部研修を支持している。この16人からなる審議会は、連邦政府職員の安全衛生問題について、OSHAに勧告するために設置された機関で、連邦政府幹部研修プログラムを通じて、政府上級管理職のための研修を提案している。
政府機関の労働安全に関し、上級管理職に責任感を与えようという発想である。
OSHAのトム・マープル連邦政府機関プログラム室長は、研修の主目的は、労働安全衛生・環境管理を、連邦政府機関の最重要価値として位置づけることであると語った。政府機関内で安全衛生行動を推進することで、「有能な労働者を確保・保持することができ、また、同様の課題を有する他者とのパートナーシップや協力関係を構築することができる」とマープル氏。
ジョン・ヘンショーOSHA長官は、この提案を推進すると確約。「すでに開発されたこのすばらしい仕事に取りかかり、みなに納得させるよい機会であると思う」と長官。審議会は、1月に再度、会合する。
OSHA、パートナーシップ、提携関係を続々発表
OSHAは、産業界とのパートナーシップ、提携関係を積極的に構築しつづけている。
OSHA、建設業者のAMECコンストラクション・マナジメント(株)、建築業経営者協会および建築・建設業協議会は、10月11日、ニューヨーク市近代美術館での30ヶ月間の建設プロジェクトに関し、建設現場安全衛生パートナーシップ協定を締結した。プロジェクトは、既存の設備を改修し、高さ140フィートと250フィートの鉄筋建造物2棟を新設する。パトリシア・クラークOSHA地域事務所長は、このパートナーシップが、ニューヨーク市の他の建設業者の安全衛生行動の改善を促すことを希望すると語った。
OSHAはまた、米国食肉協会と提携関係を結び、両者間の長年の関係を正式化した。この提携関係では、具体的目標と優先項目を設けた。このなかで最重要なものとしては、労働安全衛生の確保に関わる情報の提供と、エルゴノミクス危害への暴露の低減と予防が挙げられる。
OSHAと米国産業衛生協会(AIHA)も、エルゴノミクスを含む数多くの安全衛生分野で、優良な慣行と技術的知識を共有するよう、提携関係を締結したと発表した。
六価クロム 暴露は依然、高水準
パブリック・シティズンの衛生調査団体によれば、米国の労働者は、危険な高水準の六価クロム に暴露し続けており、許容暴露限界の引き下げは、「緊急的に必要」である。
ワシントンのこの監視団体は、1990年から2000年までのOSHAの労働監督データを吟味し、モニターされた企業の21%は、「六価クロム の(OSHAの)8時間暴露限界に違反している」ことをつきとめた。同時に、暴露水準の中央値は、「著しい低下を見せなかった」。
この調査ではまた、OSHAが測定した半数以上は、検出限界を下回る水準であったことから、十分に低い許容暴露限界は「技術的に可能である」ことを証拠づけるとしている。
六価クロム は、クロムめっき、ステンレス鋼の溶接、クロム合金鉄の製造、木材の防腐、クロム顔料・染料の製造に用いられるが、肺ガンを引き起こすことで知られている。現在、およそ百万名の労働者が、職場で常時、六価クロム に暴露していると、OSHAは推定する。
パブリック・シティズンは、OSHAの現行法規の遵守状況を評価し、許容暴露限界の引き下げの可能性を探るため、調査を実施した。同団体は、製紙・類似産業・化学・エネルギー労働組合と共に、1993年、OSHAに請願書を提出して以来、新しい許容暴露限界を求めて、積極的に活動してきた。2002年8月、OSHAは、本題に関し、一般のコメントを求める期間(11月20日締め切り)を設けた。
本調査は、アメリカ産業医学ジャーナル(American Journal of Industrial Medicine)(Vol. 42、No. 5)に掲載された。
爆発事故で、看板会社を処罰
2002年4月25日、ニューヨーク市の建築看板製造業者の建物が爆発、31名が負傷、従業員11名が入院した事故で、OSHAは、同市の看板会社3社に対し、厳しい罰金刑を提示した。
OSHAが召喚し、115,100ドルを課金したのは、カルテック・インダストリーズ・グループ(株)、ビッグ・アップル・サインズ(株)、サインズ・アンド・デカルズ(株)の3社。
OSHAマンハッタン地区事務所のリチャード・メンデルソン所長によると、カルテック・インダストリーズ社工場の地下で起こった爆発事故後の臨検で、事業者は、非相容性化学廃棄物質の混合による危険から労働者を保護するのを怠り、文書によるハザード・コミュニケーション・プログラム(Hazard communication program)の作成と実施を怠り、有害化学物質の容器への適切な表示を怠ったことが判明した。2002年5月2日の再臨検で、他の2社が使用していた設備内でも、多くの違反行為が露見した。
OSHA基準改正プロジェクト、コメント募集
OSHAは、基準改正プロジェクトの第2段階に対し、コメントを募集している。プロジェクトは、一般産業、海事産業、建設産業のOSHA衛生基準について、矛盾、重複または時代遅れの条項を改正するのを目的としている。
プロジェクトの対象となるのは、OSHAの23の衛生基準の40条項。OSHAは、これらの改正により、労働安全衛生を確保しつつ、事業者の遵法負担を軽減できると期待していると述べた。
規則案では、古い基準の医学的条項を改正または削除する。これらは、往時、容認された慣行であったが、その後、時代遅れまたは不要となった。
また、労働者の健康に益さない、または規制目的にかなわない、あるいは、事務書類削減法に矛盾するような報告要件を削除する。
コメントは、2002年12月30日までに、OSHA処理案件室宛て提出すること。
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