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NSC発行「Safety + Health」2003年1月号

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全米安全評議会(NSC)創立90周年:事故は日常茶飯の時代

 今日の比較的安全な職場からすると、20世紀初頭に、国が、組織化された安全推進団体をどれほど渇望していたか、これを理解するのは難しい。
 1900年代はじめ、産業革命は、持続するために膨大な資源を消費していた。工場その他の施設は、危険かつ容赦のない職場で、死亡事故は、進歩の代償と思われていた。
 しかし、1911年、1912年と、世に広く知れ渡った事故が2件相次ぎ、国の安全に対する姿勢は変わった。1911年春、ニューヨークのトライアングル・シャツウエスト工場の火災で、女性146人が死亡した。ドアは施錠されており、非常口も不十分だったため、多くの労働者は、飛び降りて死亡した。1912年には、タイタニック号が沈没した。豪華客船には、十分な救命ボートが備えられておらず、乗客のほとんどは、極寒の海で死亡した。
 この2つの事故は、労働災害と人命損失の時代に終止符を打ったが、この結果、安全改革に向けた機運が、急速に高まった。1912年秋には、鉄鋼電気技術者協会(Association of Iron and Steel Electrical Engineers)が、第1回協同安全会議(今日の年次会議&展示会の前身)を開催した。会議では、「人命の安全の推進」のため、全米労働安全評議会を設立するとの決議が可決された。1913年に正式に発足した評議会は、翌年、全米安全評議会(NSC)と改称した。
 安全のリーダーであるNSCの創立90周年を記念して、本誌は、1年間を通じ、NSCの遺産のなかでも重要なものを紹介する。毎月号の90周年記念の囲み記事で紹介する、NSCの安全第一の取り組みにまつわる話題に期待されたい。