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NSC発行「Safety + Health」2003年1月号
OSHAの最新情報
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OSHA、エルゴノミクス諮問委員会委員を選出
ジョン・ヘンショーOSHA(労働安全衛生庁)長官への助言を目的に、2002年4月に設置されたOSHA全米エルゴノミクス諮問委員会(National
Advisory Committee on Ergonomics)は、産業、学界、労働、法曹、医学の各界から、エルゴノミクス専門家15名を委員として選出した。職場でのエルゴノミクス関連傷害に対するOSHAのアプローチは、ガイドライン、調査(research)、教育・支援活動(outreach
and assistance)、並びに監督指導等(enforcement)の4本立てである。
委員会の顔ぶれは、以下のとおり。
- エドワード・J・バーナキ、ボルティモア市、ジョンズ・ホプキンス大学医学部
- リサ・M・ブルックス、テネシー州メンフィス市、インターナショナル・ペーパー社、安全衛生プログラム・マネージャー
- ポール・A・フォンタナ、ロサンゼルス州ラファイエット市、フォンタナ・センタ−、センター・フォー・ワーク・リハビリテーション梶A社長兼CEO(最高経営責任者)
- ウィリス・J・ゴールドスミス、ワシントン市、ジョンズ、デイ、リービス&ポウグ法律事務所、共同経営者
- カーター・J・カーク、ラピッド・シティ市、サウス・ダコダ鉱山技術大学
- ジェイムズ・L・コスカン、ミネアポリス市、スーパーバリュー梶Aリスク管理部長
- モートン・L・カスダン、ケンタッキー州ルイビル市、ルイビル大学医学部
- ジョージ・P・ラポーテ、イリノイ州レイク・ズーリック市、ケンパー・インシュアランス社、NATLSCO損失管理課、エルゴノミクス・マネージャー
- バーバラ・マッケイブ、ウェスト・バージニア州ビーバー市、営業技術者米国危険物質プログラム、プログラム・マネージャー
- J・ダン・マッコースランド、バージニア州アーリントン市、米国食肉研究所、顧問、所長
- オードリー・ネルソン、フロリダ州タンパ市、VHA患者安全調査センター、VHA患者安全成果に関する医療サービス調査プログラム、サンコースト患者安全移送に関する開発調査評価調査センター、所長
- リダ・オータ・アニス、リオ・ピードラス市、プエルト・リコ大学
- ロクサーヌ・リベラ、ニューメキシコ州アルバカーキ市、PMRコンストラクション・サービシズ梶A社長兼CEO(最高経営責任者)
- W・コレイ・トンプソン、ワシントン市、米国郵便労働組合、米国安全衛生専門家
- リチャード・ワイアット、アラバマ州ハンツビル市、エイオン・エルゴノミクス・サービシズ、副部長
OSHA, SBA、小企業にエルゴノミクス支援を提供
OSHAと小規模事業庁(Small Business Administration : SBA)は、エルゴノミクス危険有害因子の低減をめざす対小企業支援で、協力する。本協定の目標は、アウトリーチと教育の強化である。
両当局は、エルゴノミクス・プログラム情報を配布する情報共有プロセスを設け、また、産業別、業務別エルゴノミクス・ガイドラインについて小企業から情報を得る、照会手続きを確立する。
「本パートナーシップにより、小企業には、利用できる支援についてより良く知らせることができ、小企業側から情報や反応を得て、われわれの業務に反映させることができる」と、ジョン・ヘンショーOSHA長官は述べた。
上院雇用・安全・訓練小委員会(Senate Subcommittee on Employment, Safety
and Training)および上院小規模事業委員会(Senate Small Business Committee)の委員を務めるマイケル・エンジ(Michael
Enzi)上院議員(共和党、ワイオミング州選出)は、本協定を称えた。「OSHAは、小企業が、特有の安全衛生問題を抱えている点を認識している。小企業が求めているのは、頭痛ではなく、支援である」。
OSHA、避難経路基準を改定
OSHAは、避難経路・非常時行動計画・火災防止計画基準(Exit Routes, Emergency
Action Plans and Fire Prevention Plans Standard)を改定、これは、2002年12月7日付けで発効した。同庁によると、改定基準は、理解しやすいよう、利用者本位の書式に改められている。
旧基準は、30年前に作成された。今回の改定では、内容を再編、矛盾や重複要件を排し、補足項や他のOSHA基準への参照を減らすなどしている。例えば、「退出手段("Means
of Egress")」という用語は、「避難経路("Exit Routes")」と改めた。
さらに事業者には、OSHAの避難経路基準の代わりに、全国防火協会(National
Fire Protection Association)の人命安全基準(Life Safety Code)を採用するという選択肢もある。OSHAは、同協会の基準を評価し、同等の安全性があると結論したと述べた。
改定基準は、事業者に対し、法遵守の選択肢を拡げたが、事業者の法定義務は、旧基準にあるとおり変更されておらず、従業員のために確保すべき安全衛生保護も変更されていないと、OSHAは述べた。
OSHA、ベリリウムの職業性暴露に関し、コメントを募集中
OSHAは、ベリリウムの職業性暴露への取り組みかたについて、一般からコメントや情報を求めている。当局は、本題について、将来に向けた最善の行動方針を決定したいと、ジョン・ヘンショーOSHA長官は語った。
ベリリウムは、石炭、石油、ある種の岩鉱石、火山灰や土壌に含まれており、歯科医療器具、ゴルフクラブ、非発火性工具やさまざまな電子用途などに用いられている軽金属である。OSHAは、1999年9月、ベリリウム暴露の有害性について労働者への警報を出した。暴露により、慢性ベリリウム病という、多くの場合は致死的な、不治の肺病を引き起こすことがあるからである。研究者らは、低水準のベリリウムの粉じん、ヒューム、金属、酸化金属、セラミックまたは塩類への暴露は、それが短期間であれ、ベリリウム病を引き起こしうると述べている。
OSHAの募集している情報は、従業員の暴露状況、健康への影響、リスクアセスメント、暴露評価および監視手法、管理対策および技術的可能性、経済的影響、労働者の訓練、医学的監視、並びに環境や小規模事業への影響といったトピックを含む。コメント提出は、2003年2月24日締め切り。
OSHA、六価クロム 規則の作成を計画
OSHAは、六価クロム への職業性暴露に関し、規則作成を進めようと計画している。
同庁は、本件に関し、昨秋、コメントを公募していたが、100を上回る資料や添付書類を含む26件のコメントを得た。
「当局の情報要請により受領した資料は、規則作成プロセスを進める上で、役に立つ」と、ジョン・ヘンショ−OSHA長官は述べた。
しかし、OSHAスポークスマンによれば、OSHAは、規則作成プロセスの開始については、日程を定めていない。
ASSE、OSHAと提携
OSHAとイリノイ州デプレーンズ市の米国安全技術者協会(American Society
of Safety Engineers : ASSE)は、2002年12月4日、正式な提携関係を結んだと発表した。最近締結された他の提携関係と同様、とくにエルゴノミクスに焦点をあてて、労働安全衛生の推進をめざす。
また、協会の会員は、ジョン・ヘンショーOSHA長官のめざすOSHA職員の専門資格取得に向け、助言・援助するよう、求められている。
ナーシング・ホーム向けエルゴ・ガイドライン、公表される
バージニア州ハーンドン市― ナーシング・ホーム(介護施設)産業に対するOSHAの自主的エルゴノミクス・ガイドラインは、異論の多い問題である。2002年11月18日、ワシントン近郊での関係者会合には、産業界および労働組合の代表30名が、ガイドライン案を検討するため、集まった。本会合は、OSHAが、ガイドラインの公表前に開催する最後の公開討論であるだけに、きわめて重要であった。ジョン・ヘンショーOSHA長官は、ナーシング・ホーム向けガイドラインは2002年末までに公表すると、数か月前から請け合っていた。
産業界、組合の代表双方とも、筋骨格系障害や、その介護産業への影響について、歯に衣を着せなかった。産業界代表のなかには、エルゴノミクス傷害を実証しようとする科学は、うさんくさいと語る者もいた。OSHAは、事業者は安全な職場を確立せねばならないと定める、労働安全衛生法の一般義務条項により、ナーシング・ホームでのエルゴノミクス関連規則の遵守を強制すると約束していたため、自主的エルゴ・ガイドラインは、真に自主的なものではないとの発言もあった。
全米エルゴノミクス連合(National Coalition on Ergonomics)を代表して、ワシントン市のケラー・アンド・へックマン法律事務所の弁護士、ローレンス・ハルプリン氏は、ガイドライン中の但し書きが、「新たな法的問題を提起する」と述べ、また、ガイドラインは、「新しい基準を作成する効果」があると語った。2001年にブッシュ大統領が就任した折、議会は、クリントン政権時のエルゴノミクス基準を葬った。
エルゴノミクス支持派は、こうした主張に動揺しない。「実生活の科学は、人々が、今も毎日のように負傷し続けていることを証明している」と、オハイオ州アパー・サンダスキー市の、100病床を有するワイアンドット郡ナーシング・ホームのジョー・ジョリフ氏は語った。ワシントン市の全米看護師協会(American
Nurses Association)のアンナ・ギルモア‐ホール氏は、エルゴノミクスは、「人々を働き続けさせるために、取り組むべきである」と語った。
エルゴノミクス・ガイドラインの序文で、OSHAは、米国の介護施設での年間約20万件の業務に関連した負傷の最大の要因は、患者の持ち上げ、移動、位置の変更にあると述べている。この労働問題への鍵は、介護施設への患者用リフトの導入にある。しかし、そのような装置の導入は、1台あたり1万ドル以上もの費用がかかり、業界は、財源は「無限ではない」と警告している。アーカンソー州フォート・スミス市に拠点のある、大手のナーシング・ホーム運営会社、ビバリー・エンタープライジズ社は、今年初めのOSHAとの協定の一環で、800施設中270施設に、リフト装置を導入する旨合意した。
介護施設のエルゴノミクス問題は、人々の強い関心を呼ぶ話題である。というのも、これは、本質的に、OSHAが今後取り組むとしている、小売業や鳥肉産業の自主的ガイドラインなどといった、他の諸問題への道を開くことになるからである。
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