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NSC発行「Safety + Health」2003年1月号

OSHAの最新情報

ナーシング・ホーム向けエルゴ・ガイドライン、公表される

 バージニア州ハーンドン市 − ナーシング・ホーム(介護施設)産業に対するOSHAの自主的エルゴノミクス・ガイドラインは、異論の多い問題である。2002年11月18日、ワシントン近郊での関係者会合には、産業界および労働組合の代表30名が、ガイドライン案を検討するため、集まった。本会合は、OSHAが、ガイドラインの公表前に開催する最後の公開討論であるだけに、きわめて重要であった。ジョン・ヘンショーOSHA長官は、ナーシング・ホーム向けガイドラインは2002年末までに公表すると、数か月前から請け合っていた。
 産業界、組合の代表双方とも、筋骨格系障害や、その介護産業への影響について、歯に衣を着せなかった。産業界代表のなかには、エルゴノミクス傷害を実証しようとする科学は、うさんくさいと語る者もいた。OSHAは、事業者は安全な職場を確立せねばならないと定める、労働安全衛生法の一般義務条項により、ナーシング・ホームでのエルゴノミクス関連規則の遵守を強制すると約束していたため、自主的エルゴ・ガイドラインは、真に自主的なものではないとの発言もあった。
 全米エルゴノミクス連合(National Coalition on Ergonomics)を代表して、ワシントン市のケラー・アンド・へックマン法律事務所の弁護士、ローレンス・ハルプリン氏は、ガイドライン中の但し書きが、「新たな法的問題を提起する」と述べ、また、ガイドラインは、「新しい基準を作成する効果」があると語った。2001年にブッシュ大統領が就任した折、議会は、クリントン政権時のエルゴノミクス基準を葬った。
 エルゴノミクス支持派は、こうした主張に動揺しない。「実生活の科学は、人々が、今も毎日のように負傷し続けていることを証明している」と、オハイオ州アパー・サンダスキー市の、100病床を有するワイアンドット郡ナーシング・ホームのジョー・ジョリフ氏は語った。ワシントン市の全米看護師協会(American Nurses Association)のアンナ・ギルモア‐ホール氏は、エルゴノミクスは、「人々を働き続けさせるために、取り組むべきである」と語った。
 エルゴノミクス・ガイドラインの序文で、OSHAは、米国の介護施設での年間約20万件の業務に関連した負傷の最大の要因は、患者の持ち上げ、移動、位置の変更にあると述べている。この労働問題への鍵は、介護施設への患者用リフトの導入にある。しかし、そのような装置の導入は、1台あたり1万ドル以上もの費用がかかり、業界は、財源は「無限ではない」と警告している。アーカンソー州フォート・スミス市に拠点のある、大手のナーシング・ホーム運営会社、ビバリー・エンタープライジズ社は、今年初めのOSHAとの協定の一環で、800施設中270施設に、リフト装置を導入する旨合意した。
 介護施設のエルゴノミクス問題は、人々の強い関心を呼ぶ話題である。というのも、これは、本質的に、OSHAが今後取り組むとしている、小売業や鳥肉産業の自主的ガイドラインなどといった、他の諸問題への道を開くことになるからである。