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NSC発行「Safety + Health」2003年3月号
ニュース
議会、産業界、地球温暖化に対応 |
ワシントン − 今日に至るまで、地球温暖化は、数多くの議論を生んだが、行動に移されたものはほとんどない。今、政治家や事業家は、地球温暖化ガスの削減に向けた産業界の役割に焦点を当てた計画を掲げて立ち上がろうとしている。
ジョー・リーバーマン上院議員(民主党、コネチカット州選出)とジョン・マケイン上院議員(民主党、アリゾナ州)が提出した法案は、上限・取引プログラム(cap-and-trade
program)を設けて、温暖化ガスを削減する。上限・取引プログラムとは、排出量に上限を設け、その上限を超えて排出する企業には、上限を守っている企業から排出枠を購入させる、市場原理に基づく取引システムである。
「究極的には、同法案は、エネルギー効率を改善させ、技術進歩を促進させる」とマケイン上院議員。
1990年の大気浄化法(Clean Air Act)の酸性雨プログラムをモデルにした、気候管理法(Climate
Stewardship Act)(S.(上院)139)は、二酸化炭素の排出量を2010年までに2000年レベルまで、また2016年までに1990年レベルまで減らすよう義務付けるものである。
上院の新聞発表によれば、同法案は、全米の温暖化ガス排出総量の85%を占める発電、運輸(石油精製業者による)、工業および商業経済部門に影響を及ぼす。同法案は、年間1万トンを超える排出量のある企業のみに適用される。
同法案は、上院環境・公共事業委員会(Senate Committee on Environment and
Public Works)に付託されている。
もうひとつの地球温暖化法案(S.(上院)17)は、民主党が起草・提案している。地球気候保全法(Global
Climate Security Act)は、発電所からの二酸化炭素、窒素酸化物、二酸化硫黄や水銀の排出を削減させるため、議会に対し、多種汚染物質法案を通過させるよう要求するものであるが、上限・取引プログラムを求めるものではない。この法案も、上院環境・公共事業委員会に付託されている。 両法案は、ブッシュ大統領が就任早々、京都議定書への署名を拒否したため、地球温暖化問題でブッシュ政権が残した空隙を埋めようとするものである。どちらかの法案が議会を通過するかどうかは別として、両法案とも、もっと必要とされている対話への口火を切るだろうと、専門家は語る。
産業界は行動する しかし産業界は、議会の指図を待つつもりはない。企業13社とシカゴ市は、温暖化ガス排出削減に向けた自主的な上限・取引プログラムである、シカゴ気候取引所(Chicago
Climate
Exchange)を設立すべく団結した。デュポン、モトローラ、インターナショナル・ペーパー社等は、向こう4年間で排出量を4%削減することを合意した。 「このイニシアチブに対する民間部門の反応は、ものすごい」と、シカゴ気候取引所のリチャード・L・サンダー会長兼CEO(最高経営責任者)は言う。「気候変動に対する先を見越した取り組みが、一人一人の長期的利益を増進させると、皆信じている」。 シカゴ気候取引所は、複数の産業にわたる大企業が、温暖化ガス排出量の削減を目指して、規則原理の市場を利用すると自主的に公約した、初の試みである。
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