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NSC発行「Safety + Health」2003年3月号

OSHAの最新情報

エルゴノミクス諮問委員会、発会

 15人構成の全米エルゴノミクス諮問委員会(National Advisory Committee on Ergonomics)は、1月22日、ワシントンで発会式を開催した。委員会は、ジョン・ヘンショーOSHA長官から激励のことばを送られた。長官は、職場における筋骨格系障害の低減に向け、時には辛らつにもなる討論に揺らぎない意見を提供するよう、委員らを激励した。
 「利用できるなかでも最良の科学を実践的な形にまとめるのに、専門家各位の支援を仰ぎたい」とジョン・ヘンショー長官。「筋骨格系障害を防止して労働者を即支援するため、工場長や職長、小規模事業家がただちに採用・利用できる戦略が必要である」。
 何ヶ月もの遅延を経て、250名を超える候補者のなかから、エレイン・チャオ労働長官は、2002年12月、委員会の委員を発表した。委員会は、OSHAに対し、エルゴノミクス・ガイドライン、調査、アウトリーチや支援活動について助言するよう、2年間委嘱された。
 およそ198,000ドルの業務予算を与えられた本委員会の長には、ラピッド・シティのサウスダコタ鉱業技術大学で産業工学プログラムを担当するカーター・カーク准教授が任命された。委員会は、年2〜4回、会合する予定。
 ヘンショー長官は、委員会の任務には、監督・取締りに関するものは含まれないと強調したが、発会式での委員からの質問のなかには、この問題に触れるものがあった。
 このほか、ジョン・ハワードNIOSH(国立労働安全衛生研究所)所長、リチャード・フェアファックスOSHA監督プログラム部長、ポーラ・ホワイトOSHA協同・州プログラム部長、スティーブン・ウィットOSHA基準・ガイダンス部長といった連邦政府職員も、委員らに挨拶した。ワシントンを拠点とする全米エルゴノミクス連合(National Coalition on Ergonomics)、米国労働総同盟産業別労働組合会議(AFL-CIO)もコメントを述べた。
 ミリアム・ミラー労働省法務官は、会合は全て、一般公開されなければならず、フェデラル・レジスター(官報)で予告されていなければならないと、委員会に勧告した。委員会の憲章は、この種の諮問委員会の会規を規定するために議会が定めた1972年の連邦諮問委員会法(Federal Advisory Committee Act)の適用を受ける。
 2002年4月、OSHAは、エルゴノミクス障害を低減する戦略を発表した。このアプローチは、ガイドライン、研究、アウトリーチと支援、監督指導の4つの柱から成る。


会計検査院報告:OSHAには、活動実績測定システムがない

 ワシントン市の会計検査院の半期報告書によると、OSHAは、経営情報を欠いているため、遵法・監督戦略の効果を充分に測定できていない。経営情報は、いかに資源を配分すべきか、児童や日雇い労働者等とくに弱い立場の労働者のためにどう割り振るかを、当局が決定する際に役立つものである。
 「2003 Performance and Accountability Series and High -Risk Update」と題する報告書は、各省庁や主要政府機関の大多数における主要な経営課題とプログラム・リスクを分析している。労働省については、活動実績測定システムの欠如を指摘するほか、労働者保護責任を共有する他の機関とのより効果的な協調が必要であると、会計検査院は記している。
 報告書全文は、www.gao.gov/pas/2003で閲覧可。


OSHA、ティーンエイジ労働者の安全に関するウェブページを発表

 OSHAは、若年労働者の業務上の安全確保へ人々の関心をよりよく引こうと、新しくティーンエイジ労働者の安全衛生ページをウェブサイトに発表した。これは、労働省の若年労働者に関する新イニシアチブの一環である。
 ジョン・ヘンショーOSHA長官は、米国内では年間70名のティーンエイジャーが、業務関連の傷害により死亡していると述べた。ウェブページの情報は、「若年労働者が、安全かつ積極的な職業経験を得られるよう、当然与えられるべき知識を」与えるだろうと、ヘンショー長官。
 このウェブサイトには、職場における権利と責任、業務上の危害、負傷の予防、労働時間と就業制限に関する情報が含まれている。
 ウェブページは、www.youthrules.dol.govで閲覧できる。


OSHA、潜水基準の改正を提案

 OSHAは、娯楽ダイビングの指導員やダイビングガイドが、潜水現場での減圧室に代わるものを利用できるよう、商業潜水作業基準(Commercial Diving Operations Standard)の改正を提案している。この変更で、最深度130フィートまで潜水するレジャー目的のスキューバダイバーが影響を受ける。
 フェデラル・レジスター(官報)に1月10日発表された改正案によると、スキューバダイバーは、一定の条件下でニトロクス(nitrox)呼吸用ガスを使用できるようになり、減圧室を潜水域付近に設置する必要がなくなる。ニトロクスを用いた潜水では、呼吸用ガスとして、酸素と窒素ガスの混合物が、圧縮空気にとって代わる。コメントは、4月10日までに提出されなければならない。
 この改正で、スキューバ装置を常用しない商業ダイバーに対する要件は変更なし。ジョン・ヘンショーOSHA長官は、今回の改正案は、潜水産業の変化に合わせたものであると語った。
 「潜水産業は、革新的な潜水方法や手順を開発することで、減圧症、塞栓症といった潜水事故の防止や治療に役立ててきた。この改正案が、業界の多くの事業者を不要な規制要件から解き放つことで、従業員の安全衛生により一層の注意を向けさせることになると、われわれは信じる」とヘンショー長官。


港湾パートナーシップ、造船所の傷害減少をめざす

 OSHAとサンディエゴ港船舶修理協会(Port of San Diego Ship Repair Association)は、カリフォルニア港の造船所労働者を傷害や事故から保護することをめざし、提携した。
 サンディエゴ港船舶修理協会は、同港にある30社以上もの船舶修理会社で構成されており、業務の95%を同港に停泊する米海軍の船舶の修理が占める。1月17日に発表された協定では、大事故のリスクを排除し、労働者の深刻な傷病を予防する旨、確約している。
 パートナーシップに参加する事業者は、首脳陣レベルで、労働者の参加を得た公式な安全衛生プログラムを確約しなければならない。各社は、OSHAの臨検など複数の分野で、労働者の参加を得た労使合同安全衛生委員会を設置しなければならない。事業者はまた、常勤の安全衛生責任者をおき、安全衛生問題を是正する、差し迫ったリスクを引き起こす作業を中止させるといった権限などを与えなければならない。


OSHA、レイシオン・エアロスペース社、安全対策で和解

 OSHAと、ミシシッピー州マジソン市のレイシオン・エアロスペース有限会社は、およそ75ヶ所で米政府航空機を保守する同社従業員の転落・墜落に関わる安全問題に対処する旨、全社規模で和解した。
 レイシオン社は、1月15日、各事業場であらゆる種類の転落・墜落防止設備を用い、航空機上で作業する従業員向けの、転落・墜落の危険に関するわかりやすい訓練プログラムを確立する旨、合意した。これで、レイシオン社従業員が政府所有の航空機の保守作業にあたっている、コロラド州フォート・カーソン市およびテキサス州コーパス・クリスティ市の軍施設に対する召喚問題は決着した。同社は、従業員の苦情申し立てをもとに行われたOSHAの臨検の結果、召喚された。
 レイシオン社は、航空機上で作業する従業員のために、4フィートを超える高さからの転落・墜落の危険を特定するため、総合的な安全監査を実施し、必要な是正措置を講ずる旨、合意した。同社はまた、転落・墜落の危険に関する従業員の懸念を報告させるシステムを確立・維持し、報告のあった懸念事項やこれらに対する是正措置を追跡する四半期毎の報告書を作成する。OSHAは、監査中、抜き打ち検査をする権限を有する。