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NSC発行「Safety + Health」2003年4月号
ニュース
ミネソタ州、州計画プログラムで態度を一変
ミネソタ州セントポール― ミネソタ州は、労働安全規制を連邦政府に返上するとの計画を何ヶ月もかけて検討、この選択肢を検討するのは、これで2州目となったが、この提案から1ヶ月もたたないうちに、ティム・ポーレンティ知事は、その決断を覆した。
ポーレンティ知事が2月18日に発表した2004〜2005年度予算には、州の民間部門の監督プログラムを連邦政府労働安全衛生庁(OSHA)に移管し、公共部門に対する管轄権だけを保有するとの計画が含まれていた。
ポーレンティ知事は、この移管が承認されると、翌年度に120万ドルを節約できると述べた。同州は、2ヵ年予算の不足額を40億ドルと予測。しかし、移管計画は、組合その他からの強い反対にあい、ポーレンティ知事は、3月6日、提案の撤回を余儀なくされた。
セントポール市のミネソタAFL-CIO(アメリカ労働総同盟産業別労働組合会議)のスティーブ・ハンター会計書記は、安全規制を連邦政府に移管しては、労働安全は向上しないと述べた。「連邦OSHAは、業務量が過多のようにみえる。監督官も十分いない」と同氏。
アメリカ産業衛生協会(AIHA)も、同様の懸念を知事宛にしたため、移管は、すでに負担過多な連邦政府にさらに負担を強いると述べた。
上院職業・住宅・地域社会開発委員会の委員長を務める同州のリンダ・シャイド上院議員(民主党)は、ミネアポリス・スター・トリビューン紙に対し、「ミネソタ基準からの逸脱を大変心配している」と述べ、同州は「労働安全の監視では、すぐれた実績がある」と付け加えた。
ミネソタ州労働産業省は、400種類以上の有害物質について暴露限界を施行しており(連邦政府は、1992年の裁判所の裁決により、許容暴露限界の更新を禁じられている)、建設業については、連邦OSHAより厳正な規則を適用している。こうした基準は、他のものも含め、州政府が独自のプログラムに終止符を打てば、緩和されるところであった。
バーモント州のジム・ダグラス知事(共和党)も、州の財政危機に対処するとして、同様の計画を1月に発表している。
事実チェック |
職場の死亡率、2001年は上昇
職場における死亡率は、2001年は上昇した。鉱業では、死亡者数こそ全産業中最少であったものの、死亡者数および10万人あたりの死亡者数の増加率では、最大の伸びを示した。 |
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死亡者数 |
対2000年比 |
10万人
あたりの
死亡者数 |
対2000年比 |
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鉱 業(採油・採ガス業を含む) |
180 |
18% |
31.8 |
8% |
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資料出所:全米安全評議会(NSC)、「Injury Facts」、2002年
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カリフォルニア州安衛基準委員会、エルゴノミクス改正を再検討
カリフォルニア州サクラメント― カリフォルニア州労働安全衛生基準委員会(State
of California Occupational Safety and Health Standards Board)は、同州のエルゴノミクス規則は、反復動作による傷害(repetitive
motion injuries)を予防していないとして、この改正を求める請願書を、数点の条件付きで承認した。
請願書は、カリフォルニア州労働連盟(California Labor Federation)が提出したもので、エルゴノミクス基準の欠陥として認識されている数ヶ所について検討する、諮問委員会を設置するよう求めている。基準の欠陥には、二重傷害誘因(two-injury trigger)や、予防や管理対策を実施するには経費がかかりすぎるとの口実で、事業者が召喚を免れることができる抜け穴などが含まれる。
基準委員会は、2月20日、3対2で請願書を承諾した。しかし、成文化された請願書に関する判決書によると、諮問委員会は、組合が提案している改正案を検討するだけでなく、カリフォルニア州労働安全衛生庁(OSHA)の提案する規則作成案をも検討しなければならない。また、修正が本当に正当なものかどうか、現行法規を検討せねばならない。
カリフォルニアOSHAは、諮問委員会に対し、組合の請願書を評価するにあたっては、同庁が新たに開発した基準案の方を選んで、現行法規を廃棄するよう勧告していた。
諮問委員会は、5月までに基準委員会に報告せねばならない。
本会合に関する詳細は、www.dir.ca.gov/DOSH/DOSHreg/SpecialMeetingSec5110.htmlで閲覧できる。
休憩時間で、産業労働者の安全向上
ロンドン― 定期的な休憩時間は、工場での事故を減らす効果的な方法である。これは、スウォンジー市にあるウェールズ大学の調査グループが、英国の自動車組み立て工場での災害記録を検証して引き出した結論である。
調査員らは、連続2時間の作業中、最後の半時間での災害発生率は、最初の半時間の2倍以上に跳ね上がることを発見した。定期的な短い休憩時間を、できれば1時間ごとに10分設ければ、災害リスクを減らすことができるという。
しかし、休憩時間は、よく計画されたものでなければならない。休憩前後に危険な運転停止・再開手順を踏まねばならない場合、休憩時間の設定は、災害を減らすどころか、増やすことになると指摘する。
本調査「休憩時間と災害リスク(Rest Breaks and Accident Risk)」は、ランセット誌(The
Lancet Vol.361、No.9358)に掲載された。
アスベストデータベース
ミシガン州ランシング― ミシガン州消費者産業サービス省(Department of Consumer and Industry Services)によると、ウェブサイト上の新しいアスベスト特集は、経費を節減し、従業員を保護する。
利用者は、データベース検索機能で、アスベスト業者やアスベスト労働者の情報を検索・確認できる。
アスベストのデータは、事業体、等級、日付、所在地等に関して提示されており、利用者は、免許、認定、訓練、失効といった情報を即特定できる。
アスベストデータベースは、ミシガン州消費者産業サービス省のウェブサイトの安全規制局(Bureau of Safety and Regulation)の箇所www.michigan.gov/asbestosにある。
労働省の通信簿、成績不良 |
ワシントン― 労働省はこの度、この1年間に設定した目標を吟味し、その成果を分析した「2002会計年度年次報告書」を刊行した。安全衛生分野では、連邦政府は、とくに労働安全衛生庁(OSHA)および鉱山安全衛生庁(Mine
Safety and Health Administration)は、どれほどの成績を収めただろうか。
労働省は、鉱山安全に関しては、目標を達成できず、一般産業に関しては、3目標のうち2目標を達成した。建設業については、きわどい達成ぶり。
労働省は、昨年度は、1つを除くすべての目標を達成または超越した。
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鉱業の死亡率を15%削減し、死亡災害を除く傷害災害率を17%削減する。 |
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達成。鉱業の死亡率は5.3%増加、死亡災害を除く傷害災害率は8.9%減少した。 |
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吸入性炭じん、シリカ粉じん、騒音への鉱山労働者の過剰な暴露を低減する。 |
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未達成。シリカ粉じんや騒音に関する基準の遵守については改善が見られたが、炭じんへの過剰な暴露については遅々として改善がみられなかった。 |
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シリカ、鉛への暴露を減らし、切断事故件数を減らして、労働傷病を削減する。 |
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未達成。鉛暴露に関する目標については達成したものの、シリカ暴露は、大幅に増加した。切断事故のデータは未編集。 |
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OSHAが監督する事業場での労働傷病を減らす。 |
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達成。約110,000の事業場で、労働傷病は20%減少した。 |
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建設業の死亡者数を11%減らす。 |
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「大体達成」。死亡率は、9.5%減少した。 |
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OSHAと自主的および協同パートナーシップを締結した事業場での傷病を削減する。 |
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達成。VPPおよびSHARPへ参加した事業場では、休業災害率は47%減少した。 |
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全米安全評議会(NSC)創立90周年:アメリカ産業の「ミスター安全」 |
安全の先駆者、ウィリアム・H・キャメロン氏の始業時間は、午前3時ということもしばしば。眠れないからではなく、あまりにもやることが多いからというのが、本人のせりふ。
これこそ、キャメロン氏に1913〜1942年の間、全米安全評議会(NSC)の初代Managing Directorを務めさせた原動力である。同氏の強力なリーダーシップにより、NSCは、駆け出しの安全団体から、広く一目置かれる、全米規模で知名度のある組織へと変貌を遂げた。同氏は、街を歩き回り、事業者を訪ねて安全の重要性を語り、教育キャンペーンのために資金や人材を呼び集めた。
キャメロン氏は、その献身と情熱、たゆまぬ努力で、「ミスター安全」とあだ名された。同氏の貢献を称え、NSCは、1962年、キャメロン賞を創設、これを毎年、最優秀な実績を収めたNSC事業部に授与している。
安全のリーダーであるNSCの創立90周年を記念して、本誌は、1年間を通じ、NSCの遺産のなかでも重要なものを紹介する。
毎月号の90周年記念の囲み記事で紹介する、NSCの安全第一の取り組みにまつわる話題に期待されたい。 |
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屋内空気基準、喫煙所は適用除外
シカゴ― アメリカ暖房・冷却・空調エンジニア協会(ASHRAE)によると、屋内空気の質に関する基準の新しい補遺は、基準の適用範囲を非喫煙空間に限定、喫煙空間については臭気管理の手引きを付け加えることとなる。
ANSI(米国規格協会)/ASHRAE基準62−2001、「屋内空気の質を許容範囲に保つための換気」基準は、換気の最低限の回数を設定、そのほかにも商業ビル、団体ビル向けに最低限の要件を定めている。
補遺62oは、喫煙ラウンジを屋外空気の換気要件からはずし、喫煙が想定される空間については要件を引き下げた。補遺はまた、タバコの臭気管理に換気装置を使うよう記しているが、健康への影響については取り扱っていない。
アメリカ暖房・冷却・空調エンジニア協会は、昨冬の会合で、補遺62oその他の4補遺を承認した。補遺はすべて、www.ashrae.orgで閲覧可。
NIOSH、ウェブサイトに2つのトピック・ページを追加
ワシントン― 国立労働安全衛生研究所(NIOSH)は、ウェブサイトに新たに2つのトピック・ページを追加した。ひとつは事業者向けの非常事態への備え、もうひとつは聴力損失の予防である。
非常事態への備えに関するページは、企業の非常事態管理計画、施設の保護、非常時連絡情報などといった項目がある。同ページへは、www.cdc.gov/niosh/topics/preparedでアクセスできる。
聴力損失予防のページは、適切な防音保護具の選び方、聴力損失用語解説、データ表、聴力維持プログラム・チェックリストに関する情報が含まれている。アクセスは、www.cdc.gov/niosh/topics/noiseまで。
VISIONプログラム、地球温暖化ガスの削減をめざす
ワシントン― ブッシュ政権の新しい気候VISIONプログラム(”Climate VISION” program)の下、地球温暖化ガスの排出削減をめざし形成された自主的パートナーシップは、ブッシュ大統領によると、「今後とも継続するよう、われわれが期待を寄せる取り組みのほんの第一歩」である。
2月に発表された同プログラムは、温暖化ガスの排出削減に向け、費用効果のある方法を追求する。
エネルギー、製造業、森林、運輸部門が、18の産業団体と共に、同プログラムに参加している。
各部門の提案するイニシアチブの詳細情報については、ウェブサイト、www.epa.gov/newsroom/factsheet_021203.htmアクセスするとよい。
チャオ労働長官、電子政府計画に電子署名
ワシントン― エレイン・チャオ労働長官は、2月21日、労働省の電子政府戦略計画に電子署名した。
同計画は、労働省を「デジタル省」に転換させようとするチャオ労働長官の青写真である。「行動への決断(A
Call to Action)」と題する労働省計画は、ブッシュ大統領の電子政府拡大化の要請に応じて開発された。ブッシュ大統領は、2001年8月の大統領の運営議題や、2002年12月17日に署名した2002年電子政府法(E-Government
Act)で、より市民中心的な、結果重視の手法を通じて、連邦政府の運営と業績を改善するよう要請した。
チャオ労働長官は、労働省は、昨年、政府給付金情報および障害者向けプログラムに関し、オンライン情報を提供する2つのウェブサイト、www.GovBenefits.govおよび www.DisabilityInfo.govを発足させたと言及。このほか、電子政府化に向けた現在進行中の活動には、労働省の全米コールセンター(National
Call Center)、電子調達・電子許認可イニシアチブ(eProcurement and eGrants)、共通eメールシステムおよび公共基幹施設の開発などがある。
「われわれは、米国の市民に対し、連邦政府と協力しあう簡便な方法を提供して、21世紀へと道案内する」とチャオ労働長官は述べた。
クレーン、デリック基準、改正予定
ワシントン― 労働安全衛生庁(OSHA)は、当局のことばによれば「産業界の幅広い支持」を得た、協議型規則作成プロセスを経て、クレーンおよびデリック基準の更新を予定している。
OSHAは、クレーン・デリック基準協議型規則作成諮問委員会(Crane and Derrick Negotiated Rulemaking Advisory Committee)の委員リスト案を発行している。
委員会は、協議を通じ、クレーンおよびデリックに関する現行の建設安全基準の改正案を作成する。国民は、委員会委員リスト案について、コメントを提出できる。
「協議型規則作成プロセスは、最終規則で著しく影響を受ける関係者らと協力し合うのに、最も効果的な方法である」と、ジョン・ヘンショーOSHA長官は述べた。「われわれは、関係者と協力して技術や作業工程の変化に対応した基準作りをするのを楽しみにしている」。
OSHAは、委員会委員リスト案に対するコメントを評価してから、委員リスト確定版を公表し、委員会の設立を発表、委員会の第1回会合の予定をたてる。委員会の初会合は、晩春の予定。
化学物質安全性調査委員会、9百万ドルの予算要求
ワシントン― 米国化学物質安全性調査委員会(U.S. Chemical Safety and
Hazard Investigation Board)は、2004会計年度に向け、2003会計年度の予算要求額785万ドルへ115万ドル上乗せした予算額を要求している。
委員会は、予算増加分は、増える一方の産業化学災害の新規調査に充てると説明。委員会は、2003年10月1日を起点とする2004会計年度に、新たに12件の調査を実施する計画である。
5人の委員からなるこの委員会は、追加の調査報告書の発行など、委員会の運営をめぐる最近の進展ぶりにも言及した。
同委員会は、1990年の改正大気浄化法(Clean Air Act)の下、独立調査機関として創設された。
安全違反で、102,600ドルの罰金
ワシントン― 労働安全衛生庁(OSHA)は、オクラホマ州の金属加工会社に召喚状を交付、合計102,600ドルの罰金を課したと発表した。
オクラホマ州クリントン市のセキュリティ・メタル・プロダクツ(株)は、故意の違反1件、重大違反5件と違反の累犯4件で召喚された。
「セキュリティ・メタル・プロダクツ社は、重い傷害を招く恐れのある多くの危険から従業員を保護するのを怠った」とジョン・ヘンショーOSHA長官。「OSHAの意図は、この会社が進歩し、従業員の保護責任を取るようにすることである」。
故意の違反とされているのは、プレス・ブレーキの作業点の防護を講じなかった、または防護が不十分であった点である。同社はまた、労働安全衛生法の一般義務条項に基づき、資材運搬作業に関連したエルゴノミクス問題で召喚されている。
重大違反とされているのは、ロックアウト・タグアウト手順を講じなかった、機械動力プレスの弾み車を防護しなかった、足踏み式ペダルの偶発的な作動を防護しなかった、機械動力プレス作業点での傷害を報告しなかったなどである。
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