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NSC発行「Safety + Health」2003年5月号

ニュース

OSHA、違反再犯者を厳重に取り締まる

 ワシントン − 不安全な職場は、金銭的にも人的にも多大な経費がかかる。今後、不安全な職場は、もっと高くつくようになる。
 連邦政府、議会議員は、1月にアラバマ州バーミンガム市の企業の組織的な安全問題の詳細が露見してから、安全基準違反の再犯に対する刑罰を強化している。
 McWane Inc.に関する一連の話は、ニューヨークタイムズ紙やPBSテレビの番組「フロントライン」で取り上げられた。これらの記事や報道によると、McWane社は、1995年から安全違反の再犯で摘発されていた。
 これは、労働安全衛生庁(OSHA)に、労働安全衛生法違反の「もっとも悪質な」企業である違反再犯者の取り締まり強化を発表させるに十分なものであったと、エレイン・チャオ労働長官はいう。
 チャオ労働長官は、3月11日、取り締まり強化政策は、新たに規則を作成するに及ばず、「ごく基本的な義務を継続して無視する」事業者を取り締まり対象とすると述べた。
 「われわれは、『重大違反』の基準に関し、地域事務所の判断をいくらか加味した」と、ジョン・ヘンショーOSHA長官は述べた。「われわれは、こうした事業場を100%追跡し、事業者には、われわれがまたやって来るということを思い知らせるだろう」。
 具体的には、OSHAは、企業に重大な故意の違反、または多数の重大な違反、または違反の再犯がみられた場合、当該企業の全施設および関連事業場に対し、全面的な立ち入り調査を行うという基準を打ち立てた。
 このほか、違反の再犯者に対する刑罰を強化しようとの意図で、論争に加わる人々がいる。ジョン・コージン上院議員(民主党、ニュージャージー州)は、安全法規の故意の違反については、最高刑を懲役6ヶ月から10年へと強化する法案への支持を求め、3月20日、ヘンショー長官に書簡を送付した。「労働者安全基準の故意の違反により、従業員の業務上死亡災害を起こした場合、連邦軽罪に処するだけで済ましてはならない」とコージン議員はしたためた。
 ニューヨークタイムズ紙の連載では、OSHAは、問題への対処について非難を浴び、他方面でもまた批判された。2002年11月22日の会計検査院の報告書は、OSHAは、監督義務をきちんと果たしていないとして、注意を促し、重点対象の定め方や測定法を改善するのが不可欠であるとしている。ヘンショー長官は、3月に承認された新しい取り締まり政策で、事態は改善するだろうと述べた。
 「われわれは、少々批判された。もし刑罰や違反者の数だけを見れば、いまひとつの印象だ」とヘンショー長官。「われわれは、これが正しい尺度だとは思っていない。正しい尺度とは、われわれが、労働安全を改善したかどうかである。これこそ、本プログラムのめざすところである。この措置は、ずいぶんと効果的になるであろうし、違反と刑罰というサイクルの単なる繰り返しではなくなる」。
 ちょうどOSHAが法的手続きを再評価した時に、McWane社も再評価をした。
 同社は、ニューヨークタイムズ紙の連載前に改革を始めたと、パトリック・R・タイソン氏はいう。氏は、アトランタ市の弁護士であり、彼の事務所は、同社のプログラム改善の支援を委託された。
 「McWane社は、記事に載った工場も含め、多数の工場で管理体制を改めた。安全スタッフを加えたのである」と、タイソン氏。「McWane社は、世界レベルの安全衛生プログラムを約束する」。
取り締まり強化政策
 3月11日、エレイン・チャオ労働長官が発表したOSHAの取り締まり強化政策は、以下の点に焦点をあてる。
  • 重大な故意の違反、設立以来の多数の重大違反、もしくは再犯、是正勧告の不履行または死亡災害関連の重大もしくは故意の違反で、OSHAの摘発を受けた事業所の事業場を追跡監督する。
  • OSHA事業場別プログラムの基準に基づきプログラム化された監督を実施する。
  • 重大な摘発、罰則通知の写しを事業者の本社宛て郵送する、取り締まり活動に関する新聞発表を刊行するなど、普及啓発。
  • コンサルタントを雇って、施設の安全衛生文化の改善をめざすプロセスを開発する、合意内容を全社規模で適用するなどを条件付けた、和解を締結する。
  • 依然として法律を遵守しない企業については、連邦裁判所が召喚し、法廷侮辱罪により制裁する。