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NSC発行「Safety + Health」2003年5月号

ニュース

EPAによる爆心地の大気安全発表に疑い

 ワシントン − 9月11日の対米テロ直後、グラウンド・ゼロ(爆心地)周辺の大気は「呼吸しても安全」と宣言したことをめぐり、環境保護局(EPA)は、非難を浴びている。
 EPA監察官室が編集し、3月に報道関係者に漏れた暫定報告書によると、世界貿易センター倒壊後の数日間に、そのような発表をするに足る「充分なデータ」をEPAは持っていなかった。発表当時、EPAは、倒壊後、市民が暴露しただろうと科学者が推測する14の汚染物質のうち、4物質のデータしか持っていなかった。
 報告書はまた、通常容認されているより百倍も高いガン発症率に基づき、EPAが結論を出したとしている。EPAは、1万人に一人のガン発症率を用いた。従来、大気中の有毒物質のガン発症率は、100万人に一人を基準としている。
 記者会見で、EPAは、報告書については直接触れなかったが、スポークスパーソンは、当局の大気安全発表は、一般大衆のみを対象にしたもので、救命・復旧作業に従事した労働者を念頭においたものではなかったと述べた。
ニューヨーク市のマウント・サイナイ・メディカル・センター(Mount Sinai Medical Center)がこの1月発表した調査によれば、9月11日の対米テロからほぼ1年後に調査した労働者3,500名の半分以上に、耳、肺、鼻、喉の問題があった。
報告書は、今月下旬に刊行される予定である。