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NSC発行「Safety + Health」2003年5月号

OSHAの最新情報

OSHA、初のエルゴノミクス・ガイドラインを発表

 職場で増加する一方の筋骨格傷害の改善を図るため、4つの柱からなるアプローチを発表してからほぼ1年、ジョン・ヘンショーOSHA(労働安全衛生庁)長官は、介護施設(ナーシング・ホーム)産業向けのエルゴノミクス・ガイドラインを発表した。
 3月13日に発表された介護施設ガイドラインは、次の5章からなる。労働者の保護に向けたプロセスの開発。被介護者を持ち上げる、体位を変えるといった作業に関わる問題の特定と解決策の実施。被介護者の持ち上げ、体位の変更以外の作業に関わる問題の特定と解決策の実施。訓練。追加の情報源。
 2002年4月、OSHAは、産業別ガイドライン、監督指導、アウトリーチおよび先駆的調査を組み合わせて実施する、エルゴノミクス総合計画を発表した。ガイドラインの情報源はさまざまで、現行の慣行やプログラム、同業者組合や専門職組合、労働団体、医学界、個別企業、州ごとのOSHAプログラムや、入手可能な科学情報などが含まれる。
 ヘンショー長官は記者会見で、ガイドラインは自主的なもので、法的な強制力はないと強調。「われわれは、一連の実践的なアプローチを分かち合う。これは、規範ではなく、役に立つよう意図されたものである。すべての介護施設が、ガイドラインに記載された問題全部に直面するわけではない。ガイドラインにあるアプローチが、すべての介護施設に有効であるわけでもない。当局が提示しているのは、広範囲にわたる潜在的な諸問題であり、やはり広範囲にわたる可能な解決方法である」と長官。
 職場でのエルゴノミクスに関係する違反は、引き続き、事業者に職場の安全を義務付ける労働安全衛生法の一般義務条項で規制されると、ヘンショー長官は述べた。OSHAによると、3月13日までに、エルゴノミクス関連の危害にかかわる一般義務条項違反で4件の召喚状が発行され、その他、手続き中のものも数件ある。
 介護施設向けガイドラインに続き、食料雑貨店業や鳥肉加工業向けのガイドラインも「じきに」発表されると、ヘンショー長官は述べた。
 これ(初のガイドライン)は、当局にとって大いに役立つ一歩である」とヘンショー長官。「この第1号が当を得たものであるよう、万全を期した。なにが有益か、理解を確立した分、今後作成されるガイドラインは、より迅速に発表されるだろう」と長官。