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NSC発行「Safety + Health」2003年7月号
産業特集
鉱業労働者連盟、新炭じん規則に反対
コロラド州グランド・ジャンクション − 鉱山安全衛生庁(Mine Safety and Health Administration : MSHA)は、先日、コロラド州グランド・ジャンクションの聴聞会で、炭じん規則案に関し、コメントを募った。この新規則は、複数の交替勤務時間で採取した炭じん試料を平均するとした、32年来の所見を更新することとなる。当局は、すべての地下での法定粉じんサンプリングの責任を負うと提案している。
この問題について、米国鉱業労働者連盟(United Mine Workers of America
: UMWA、バージニア州フェアファックス市)は、すばやく非難、規則案に批判を浴びせた。「新しい規則案は、最終的には、全米中の炭鉱の炭じん水準を上げ、米国の炭坑労働者の黒肺病(black
lung disease)を増やすだろうと、UMWAは思う」と、UMWAのセシル・ロバーツ国際会長は述べた。
現行規則では、鉱山事業者は、黒肺病予防を企図した連邦基準の遵守を裁定するのに必要な試料の大半を採取している。新規則案は、地下炭坑事業者に対する法定サンプリング要件を廃する一方、鉱山事業者には、各自の換気計画に明記した粉じん制御対策の妥当性を裏付けるために、試料を採取するよう要求する。
UMWAは、とくに粉じんからの鉱夫の保護について懸念すると、ロバーツ会長は言う。
「MSHAは、粉じんの許容暴露水準を1立方メートルあたり2ミリグラムから、8ミリグラムにまで緩和する旨、提案している。この数値は、規則案の中には明記されていない」と同会長。「この数値は、その代わり、規則案全体にわたり、この値に至る(全てを要因として考慮した)一連の複雑な数式のなかに隠されている。MSHAは、炭坑夫に、電動ファン付呼吸用保護具を取り付けた保護帽(air
streamed helmets)気流式ヘルメットと称する呼吸用保護具の着用を義務付ければ、粉じん水準の増加は問題とはならないと考えている。UMWAは、この種の保護帽は扱いにくく、炭坑夫を十分保護すると実証された技術ではないと反論する」。
ロバーツ会長はまた、事業者から法定粉じんサンプリングをすべて引き継ぐという、MSHAの提案に懸念をみせた。「法定粉じんサンプリングについては、事業者の不正が多数報告されていることを考えれば、UMWAは、このニュースを歓迎するだろうと皆さんは思うだろう。しかし、われわれは、歓迎しない」とロバーツ会長。「というのも、UMWAの解釈するところでは、MSHA案では、当局がサンプリングをするのは、わずか年3回足らずであり、これは、事業者と当局が共同して実施しなければならない現行の90%減となる。さらに悪い事には、MSHAのサンプリング要件は、政策のみで、規則ではない。つまり、最低限のサンプリングさえ、保証されてはいないのである」。
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