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NSC発行「Safety + Health」2003年8月号

ニュース

労組、反応性化学物質の保護措置強化をOSHAに要求

 ワシントン(Washington) − 労働組合は、労働安全衛生庁(Occupational Safety and Health Administration: OSHA)宛ての書簡で、全米の地域社会での爆発、火災及び有害物質の流出を防ぐには、反応性化学物質について、その貯蔵や取り扱い方法を規制した、工程安全管理基準を強化すべきであると、当局に要請した。
 主張しているのは、8つの国際労組、AFL−CIO(アメリカ労働総同盟産業別労働組合会議)およびAFL-CIO建築建設職種部など。このうちのひとつ、PACE国際組合によると、これらの労組は、1995年以来、OSHAおよび環境保護局(Environmental Protection Agency: EPA)に対し、反応性化学物質に取り組むよう、要請してきた。
 請願書は、OSHAに対し、工程安全管理基準を次のように修正するよう要請している。
  • 事業者に対し、規制対象の化学工程すべてにおいて、認可され、一般に容認されている優良管理基準を用いるよう、義務付ける。
  • 反応性化学物質の定義を広げる。
  • 従業員に提供するよう義務付けられている工程安全情報を拡大する。
  • 工程危険分析に、定性リスクアセスメントや反応性危険評価を加えるよう、修正する。
  • 基準の適用を、工程作業に従事する請負業者へ拡張する。
  • 常圧貯蔵タンクへの工程安全管理基準の適用除外を取りやめる。
  • 変更管理条項に、人員の変更や確立した手順からの逸脱を加える。
 請願書は、OSHA、EPA、及び化学物質安全性調査委員会(Chemical Safety Board: CSB)が、反応性危険の管理をめぐる規制の選択肢を探るために会合した前日に提出された。
 OSHA職員によると、討論会では、この問題をどう進めるのが最善か、OSHAやEPAに情報を提供する目的で開かれた。OSHA、EPAは、「(反応性化学物質の)規制における技術上、規制上の課題を話したがっていた」と、職員は言った。「これは、難題である」。
 同氏によれば、結果は、内容もさまざまな討議となり、出席者の多数は、反応性化学物質は、非常に重要な安全問題であるが、当事者全員を捉える後方支援が厄介であると理解した。大多数はまた、規制する上で、一覧表式アプローチは有効でないと合意した。「施設単位のアプローチでなければならない」と前出の職員。
 関係者50人によるこの討論会は、昨秋、化学物質安全性調査委員会が、政府は工程安全管理基準を修正せねばならないと勧告した後、実現した。同委員会の報告書は、反応性化学物質の事故は「重大な化学安全問題」であり、事故は、幅広い範囲の職場で起こりうるものであり、「労働者や一般市民に甚大な影響を及ぼすばかりか、大規模な経済損失、環境破壊を招くおそれがある」と述べている。


事実チェック
業務外の安全を確保しよう
 事業者が大いに関心を寄せるのは、業務上の傷害であるが、従業員が関心を寄せるのは、業務外の傷害である。2001年度では、業務外の死亡件数は、業務関連の死亡災害の8倍以上発生した。



資料出所:全米安全評議会(NSC)、2003年


コーザイン法案(Corzine Bill)、安全違反の罰則を強化

 ワシントン−ジョン・コーザイン(Jon Corzine)上院議員(民主党、ニュージャージー州)は、数ヶ月前から約束していたとおり、6月17日、安全法規を故意に違反した事業者に対する刑罰を強化する法案を提出した。
 違法死責任法(Wrongful Death Accountability Act)は、安全規則の故意の違反に対し、懲役刑を最高6ヶ月から10年に増やす。また、安全調査について事前に通知した場合は、懲役刑を6ヶ月から2年に、安全調査員を故意に欺いた場合は、懲役を6ヶ月から1年に延ばす。
 「有罪判決の刑罰があまりにも軽い一方で、事件を公判に付すのには、かなりの資料が必要なため、連邦検察官は、死亡者を出した極悪な安全違反を訴追したがらない。その結果、刑法の抑止力は、ずいぶんとむしばまれている」とコーザイン議員。


調査結果:自分は仕事で負傷しないとの思い込み

 ミズーリ州コロンビア(Columbia, MO)−ミズーリ事業者相互保険(Missouri Employers Mutual Insurance)の実施した調査によると、アメリカの労働者の半数以上は、自分が労働災害に遭うとは思っていない。同社は、この3月、働く成人614人に対し、電話で調査を実施した。
 また、調査対象の42%は、労働災害で永久障害になるとは考えておらず、48%は、自分もしくは最愛の人が労災に遭うと考えるのは、年に数回もしくはそれ未満である。
 しかし、現実はかなり違うと、ミズーリ事業者相互保険のボブ・ギブソン損害防止・管理担当副社長(Bob Gibson, vice president of loss prevention and administration)は言う。
 ギブソン氏は、2001年には390万人の労働者が休業災害を被ったことを示す全米安全評議会(NSC)の統計を指差した。
 「なにかよからぬこととなると、多くの人々は、『自分には起こらない』という態度をとる」とギブソン氏。「現実には、労働災害は発生するのである。そして、事業者と労働者が安全態度を採らないかぎり、災害の発生は止まない」。
 アメリカの労働者は、事業者と労働者の双方に、労働安全を確保する役割があると考えている。圧倒的多数は、事業者には、従業員のために安全な環境を整え、安全労働慣行を実施する責任があると言う。同時に、調査対象のほとんどは、従業員には、職場で安全に行動し、労災が起きないよう、より前向きな役割を担う責任があると述べている。


イリノイ州で、運輸3法成立

 イリノイ州アイタスカ(Itasca, IL)−全米安全評議会(NSC)によると、イリノイ州のロッド・R・ブラゴジェヴィッチ(Rod R. Blagojevich)知事が署名して成立した新しい運輸安全3法は、年間166人の人命を救う。3法とは、第1級シートベルト法(Primary Seat Belt Law)、ブースターシート法(Booster Seat Law)、及びティーンエイジャーの運転車両への乗車制限法(Passenger Restriction Law for Teenage Drivers)である。
 ブラゴジェヴィッチ知事は、7月3日、イリノイ州アイタスカ市のNSCで、3法案に公式に署名した。ブラゴジェヴィッチ知事は、新法により、車の運転は、「イリノイ州のすべての道路で、すべてのドライバー、すべての同乗者にとって、飛躍的に安全なものとなる」と述べた。
 ワシントン市の全米運輸安全委員会(National Transportation Safety Board)のエレン・イングルマン委員長(Ellen Engleman, chair)は、これらの法律を同時に制定したのは、イリノイ州が初めてであり、「歴史に残る」出来事だと述べた。
 新法制定に居合わせたのは、このほか、全米運輸安全庁(National Transportation Safety Administration)のダン・マクナマラ地域行政官(Don McNamara, regional administrator)、イリノイ州議会上院・下院議員数名、警察官、NSCのエアバッグ&シートベルト安全運動(Air Bag and Seat Belt Safety Campaign)のメンバーら。マクナマラ地域行政官は、ノーマン・ミネタ運輸長官(Norman Mineta, Transportation Secretary)を代表して、3法を成立させたイリノイ州は、運輸安全における「全米の手本」であると述べた。
 第1級シートベルト法は、イリノイ州乗物法(Illinois Vehicle Code)を修正するもので、州のシートベルト法を「第2級」違反から「第1級」違反に変更する。これにより、取締当局は、シートベルト違反だけの理由で、停車させることができる。イリノイ州は、このような法律を制定した19番目の州となった。
 ブースターシート法は、児童乗車保護法(Child Passenger Protection Act)を修正するもので、8歳未満の子供は、ブースターシートも含む適切な児童拘束システムで、座席にきちんと固定されなければならない。また、ドライバーは、8〜16歳の子供を、きちんとシートベルトで保護する責任を負う。
 ティーンエイジャーの運転車両への乗車制限法は、18歳未満のドライバーについては、運転免許の発効から最初の6ヶ月間、または、ドライバーが18歳になるまでの間、このいずれか該当する期間中は、20歳未満の同乗者は1人を越えてはならないと禁じる。新法は、家族構成員については、例外を認める
7月3日、全米安全評議会(NSC)本部で、運輸3法案に署名したイリノイ州のロッド・ブラゴジェヴィッチ知事。



労災費用が増加NSC会長、全米プレスクラブで安全問題を概説チュアル調査
マクミラン会長
 ワシントン−全米安全評議会(NSC)のアラン・C・マクミラン会長兼最高経営責任者(Alan C. McMillan, President and CEO)は、国土安全保障省(Department of Homeland Security)のマイケル・ブラウン緊急事態準備・対応担当次官(Michael Brown, Under Secretary for Emergency Preparedness & Response)とともに、ワシントンでの6月10日の記者会見で、アメリカの重要な安全問題をいくつか論じた。
 米国プレスクラブ(National Press Club)での記者会見は、6月の全米安全月間を記念するものでもあり、マクミラン会長とブラウン次官は、国土安全保障省連邦緊急事態管理庁(Federal Emergency Management Agency)が展開する地域社会緊急事態準備イニシアチブ(community-based preparedness initiative)、シティズン・コーズ(Citizen Corps、市民部隊)にNSCが加盟するとした公式な協定に署名した。
 マクミラン会長は、「われわれの社会が、真のリスク、真の危険、そして多くの場合、これらの恐怖といった諸問題を理解する一助となるよう」、安全問題に取り組むNSCのイニシアチブをいくつか紹介した。
 マクミラン会長によると、米国が直面する重要な安全問題およびこれらに関連する死亡者数(2002年)は、次のとおり。

シートベルト、チャイルドシート 死者   19,100人
飲酒運転 死者   18,000人
高齢者の墜落・転落、転倒 死者   11,200人
ティーンエイジャーによる運転   死者     9,000人
大型トラック 死者    4,900人
歩行者 死者    4,800人
労働災害 死者    2,800人
業務関連交通事故による死者    2,100人
業務外災害 従業員の死亡    49,600人
家族構成員の死者   14,900人

 「人生にリスクはつきものである。しかし、われわれは、何十年も前から直面してきた同じ安全衛生リスクに今も直面しているのである」とマクミラン会長。
 マクミラン会長は、米国は、安全問題に取り組むよう、今一度献身せねばならないと力説、改善に向けた勧告を提示した。
 州政府は、第1級シートベルト法、拡大ブースターシート法、ティーンエイジャーの運転制限、0.08%飲酒運転法を採択するなど、対処すべきことはまだある。連邦政府は、運輸再認可法案(transportation reauthorization bill)のなかの飲酒運転条項を強化する、高齢者の墜落・転落、転倒に関する一般市民教育法を制定するなどができる。事業者は、労働安全におけるリーダーシップと責任を引き受け、従業員の業務外での災害を減らす手助けができる。親は、子の運転を教育し、ティーンエイジャーの運転の権利を管理指導できる。ニュースメディアは、安全問題の情報や視点を提供できる。
 6月、マイケル・エンジ(Michael Enzi)上院議員(共和党、ワイオミング州)とバーバラ・ミクルスキー(Barbara Mikulski)上院議員(民主党、メリーランド州)は、2003年高齢者墜落・転落、転倒防止法案(Elder Fall Prevention Act of 2003)(上院1217)を提出した。法案は、おもに高齢者、その家族、保健医療機関を対象に、高齢者の墜落・転落、転倒リスクの軽減を狙った3ヵ年全米教育キャンペーンなどを打ち立てる。
 ブラウン次官は、天災、人災から国土の安全を守る上で、市民の参加を呼びかける大統領イニシアチブ、シティズン・コーズのようなイニシアチブの必要性を強調した。
 ブラウン次官は、シティズン・コーズは、テロリズムだけでなく、「われわれが明けても暮れても直面する危険のすべて」を対象としたイニシアチブであると指摘した。



鳥肉加工業向けエルゴノミクス規則案、公表。小売向けは、コメント期間を延期

 ワシントン−労働安全衛生庁(OSHA)は、産業別エルゴノミクス・ガイドライン第3弾、鳥肉加工業向けガイドライン(poultry processing ergonomics guidelines)を公表、これは、「鳥肉加工業におけるエルゴノミクス関連傷害を減らすための実際的な解決策を提供する」ものであると述べた。
 ジョン・ヘンショーOSHA長官(John Henshaw, OSHA administrator)は、このガイドラインは、1990年の精肉工場向けエルゴノミック・プログラム管理ガイドライン(1990 Ergonomic Program Management Guidelines for Meatpacking Plants)と同種のものであると述べた。「関係者の多くは、精肉工場向けガイドラインは、多くの鳥肉加工施設で首尾よく実施されていると報告してくれた。われわれは、この新しいガイドラインが、鳥肉加工業者にとって、より有益で実際的な情報を提供するよう、期待する」。
 ガイドラインは、序文と2つの章からなる。序文では、鳥肉加工業におけるエルゴノミクス要因に関連した傷害を概観、こうした傷害を減らす際のエルゴノミクスの役割を説明する。
 第1章では、職場分析、エルゴノミクス的解決策の実施、従業員の訓練、傷害報告書への対応、進捗状況の評価について、戦略をどう開発し、実施すべきかを説明。第2章では、鳥肉加工業で役立ちそうなエルゴノミクス的解決策の実践例を紹介する。
 鳥肉加工業向けガイドライン案は、OSHAのウェブサイト、www.osha.gov/ergonomicsに掲載。「ガイドライン」をクリックするとよい。
 一方、OSHAは、小売食品雑貨販売業向けエルゴ・ガイドライン案(draft ergo guidelines for the retail grocery industry)のコメント募集期間を延長した。関心のある向きは、8月22日までにコメントを提出すればよい。
 OSHAはまた、食品雑貨店向けガイドラインを討議するため、9月18日、ワシントン市のワシントン・コート・ホテル(Washington Court Hotel)で、関係者公開会議を開催する。コメントおよび関係者会議への出欠は、オンラインでhttp://ecomments.osha.govまで提出されたい。


全米安全評議会(NSC)創立90周年:設立許可状の取得
1953年8月13日、全米安全評議会(NSC)に連邦政府発行の設立許可状を授与する法案に署名するドワイト・D・アイゼンハワー大統領 50年前のこの月、ドワイト・D・アイゼンハワー大統領(President Dwight D. Eisenhower)は、全米安全評議会(NSC)に連邦政府発行の設立許可状を授与する法案に署名した。1953年8月13日、NSCは、大統領の署名で、連邦法人に格上げされた。
 これは、NSCが政府機関になる、あるいは連邦政府の助成金を交付されるということではない。むしろ、「公式な承認という評価を授かった」と、当時のネッド・H・ディアボーン(Ned H. Dearborn)NSC会長は記している。
 議会に同法案を提出したクリフ・デイビス(Cliff Davis)下院議員(テネシー州選出)は、NSCの第41回年次会議&展示会(41st Congress & Expo)の特別式典で、設立許可状を授与した。デイビス議員は、設立許可状は、政府の表現で、NSCが「いうなれば、運転免許を取得する年齢に達したということである。今後は、これまで以上に早く、遠くへと進まねばならない。これは、政府の言い方で、『われわれは、あなたがたの力量を信頼する。あなたがたを支持する。さあ、仕事にとりかかってください』」。
 デイビス議員から設立許可状を受け取ったNSC理事会副理事長(vice-chairman of the council's board of trustees)のジョン・スティルウェル大佐(Col. John Stilwell)は、「家庭や職場、道路、農場、子供たちの間など、人間の活動のあらゆる分野で、あらゆる場所で、あらゆる災害現場で、死亡災害を減らすという厳しい、間断のない闘い」を、引き続き先導するという「権利だけでなく義務」をNSCは政府から与えられたと述べた。 
 50年後の現在も、NSCは、この使命を遂行する。

 安全のリーダーであるNSCの創立90周年を記念して、本誌は、1年間を通じ、NSCの遺産のなかでも重要なものを紹介する。
 毎月号の90周年記念の囲み記事で紹介する、NSCの安全第一の取り組みにまつわる話題に期待されたい。


OSHA、特定事業場監督計画(Site-specific Inspection Plan)を発表

 ワシントン−労働安全衛生庁(OSHA)は、6月16日、新しい特定事業場計画を開始した。当局によれば、これは、来年度に、危険・有害度の高い3,200の事業場を対象として、予告なしの総合的な安全衛生監督を行うものである。
 OSHAは、傷病データをもとに、5年連続で特定事業場監督プログラム(Site-specific targeting inspection program)を用いてきたが、今年度の監督プログラムには、2002年度のOSHAデータ・イニシアチブを用いる。データ・イニシアチブは、95,000人の事業者を調査、これらの2001年度の傷病データを収集した。
 OSHAによると、建設産業は、この調査で初めてカバーしたが、特定事業場監督プログラムには入れない。
 今年度のプログラムでは、まず、常勤労働者100人あたりの休業または就業制限を伴う傷病者数(いわゆるLWDII: Lost Workdays Injury and Illness率)が14人以上の3,200の事業場を対象とする。
 また、今回初めて、「休業災害(DAFII: Days Away from Work Injury and Illness)」率が9人以上(常勤労働者100人あたり、休業傷病者数が9人以上)の事業場も対象とする。2001年度の民間産業のLWDII率は平均2.8人、DAFWII率は平均1.7人であった。
 「特定事業場監督プログラムの目的は、安全衛生リスクの高い事業場に、監督資源を効果的に配分することにある」とジョン・ヘンショーOSHA長官は述べた。


化学安全委員にCITGO安全部長

 ワシントン−ブッシュ大統領(President Bush)は、リクシオ・メディナ(Rixio Medina)氏を、5年の任期で米化学物質安全性調査委員会(CSB)の委員に任命した。メディナ氏は、オクラホマ州タルサ市(Tulsa, OK)のCITGOペトロリアム(株)法人安全衛生安全保障部長(manager of corporate health, safety and security, CITGO Petroleum Corp.)である。
 メディナ氏はこれまでに、バージニア州フェアフィールド市(Fairfield, VA)のモービル・オイル(株)(Mobil Oil Corp. 現在のエクソン・モービル(株) Exxon Mobil Corp.)の安全工学主任、カラカス市(Caracas, ベネズエラ Venezuela)のペトロレオス・ド・ベネズエラ社(Petroleos de Venezuela)の環境安全衛生部長も務めた。


ノースカロライナ州の爆発死亡事故は、粉じんが原因

 ワシントン−米化学物質安全性調査委員会(CSB)の調査員は、6月18日、1月の医療機器メーカー、ウェスト・ファーマスーティカル・サービシズ社(West Pharmaceutical Services)の爆発事故は、ゴム製品の製造に使われる細かな粉末プラスティックの粉じんが原因らしいと報告した。
 この大爆発で、従業員6人が死亡、37人が負傷した。
 調査員は、粉じん爆発は、ゴム片に湿った粉末ポリエチレンを塗布する作業場の上で起きたと述べた。CSBの実験では、粉末ポリエチレンは、乾燥状態だと滑石粉のように粒子が細かく、空気中で爆発性の混合物を形成しうるという。
 キャロリン・メリット(Carolyn Merritt)CSB委員長は、調査を締めくくり、最終安全勧告を発表するにあたり、CSB委員は全員、ノースカロライナ州キンストン市(Kinston, NC)で労働者や住民と会合すると述べた。メリット委員長は、CSBは、爆発性粉じんの危険を「深く懸念する」と述べた。


ヒスパニック系労働者保護プログラム

 ダラス(Dallas)−労働省は、ダラス(Dallas)市内のエルサルバドル、メキシコ両領事館、その他、地域社会団体や宗教団体、政府団体と共に、ダラス市職場の公正と平等プログラム(Justice and Equality in the Workplace Program of Dallas)を開始した。本プログラムは、労働者の権利と責任について教育し、また、非英語人口に対し、労働安全衛生法その他の労働者保護法の違反を報告する手段を与える。
 エレイン・チャオ労働長官(Elaine Chao, Labor Secretary)は、ブッシュ政権は、米国内の1,450万人強のヒスパニック系労働者を保護すると約束、これらの人々が「アメリカン・ドリームを実現し、米国の労働力人口と一体をなすよう」支援すると述べた。
 本パートナーシップは、ヒスパニック系や新参の移民労働者に対し、労働者の権利と責任を教育し、また、労働法違反を報告するよう奨励する。このパートナーシップはまた、労働省、メキシコ、エルサルバドル両領事館が、職場の公正、安全、平等の推進を目指し、情報交換と相互支援を通じて協力するとした取り決めを、正式に承認した。
 専用の電話回線を設けて、一般公衆から質問を受け付け、これらを適切な連邦または州政府機関に仲介する。


全米聴力維持協会とOSHA、同盟を結成

 ワシントン− OSHAと全米聴力維持協会(National Hearing Conservation Association)は、6月2日、労働安全衛生の推進に向け、協力して取り組むと、正式に合意した。
 OSHAと全米聴力維持協会(デンバー市、Denver)は、官民同盟を通じて、聴力維持、聴力損失予防プログラムの開発・実施により、聴力衛生文化の進展をめざすことで合意。両者は、協会の会員に対し、聴力損失の危険への暴露を低減するための情報、ガイダンスや訓練を提供する。
 ツールボックス・ミーティングに関する指導者訓練コースや職業訓練校のプログラムも含めた、騒音・聴力損失予防に関する訓練コースも開発する。
 本同盟の鍵は、さまざまな騒音条件における防音保護具使用のマトリックスも含め、聴力保護ガイドを開発することにある。建設業、海事産業における聴力維持、聴力損失予防プログラムのひな型も設計する。
 また、聴力維持協会とOSHAは、情報を開発し、さまざまな媒体を通じてこれを普及させる。OSHAは、当局のウェブサイトに、一般産業や建設業、海事産業向けの騒音や聴力維持を扱う電子支援ツールを作成・更新する予定。


夜勤で、ガンのリスクが高まる可能性

 メリーランド州ベセズダ(Bethesda, MD)−先日刊行された調査によると、一月あたり最低3回の夜勤を15年間続けると、女性の大腸ガンのリスクが高まる可能性がある。
 調査結果は、太陽光とガンの相関関係、とりわけ、人工照明への暴露が増えた労働者について、示唆するものである。本調査では、光が体内のメラトニン(melatonin)の生産を変化させることが判明した。
 これまでの調査では、メラトニンは、制ガン性を有しているらしいことがわかっている。これらの調査では、女性のメラトニンの減少と、乳ガンのリスク増とを関連づけている。
 「先進諸国では、夜勤はごくありきたりになってきているからこそ、今後の調査では、光への暴露とその他のガンのリスクとの関係を評価し、男性のリスクも検討せねばならない」と、本調査は結論した。
 この調査では、10年間に及ぶ看護師健康調査に登録している78,586人の女性を追跡した。調査結果は、国立ガン研究所ジャーナル(Journal of National Cancer Institute, Vol.95、No.11)に掲載された。


EPA調査:水質汚濁はほとんど罰せられない
 ワシントン−ワシントン・ポスト紙(Washington Post)が入手した環境保護局(Environmental Protection Agency: EPA)の内部調査によると、水質汚濁基準の主要な違反業者のほとんどは、違法行為に対し、めったに罰せられないことが明らかになった。
 ポスト紙によると、米国最大規模の工場や水処理施設の4分の1は、水質保全法(Clean Water Act)の重大違反を一度犯している。罰せられているのは、これら違反者のほんの一部であり、EPAが正式な取締り対策を採った際には、半数未満に罰金が課された。
 加えて、重大違反者の半数は、有毒物質の汚染限界を100%以上超えていたと、ポスト紙は伝える。
 ポスト紙によると、2月に終了したこの調査は、1999〜2001年を対象としている。