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NSC発行「Safety + Health」2003年8月号

ニュース

NSC会長、全米プレスクラブで安全問題を概説

マクミラン会長

 ワシントン−全米安全評議会(NSC)のアラン・C・マクミラン会長兼最高経営責任者(Alan C. McMillan, President and CEO)は、国土安全保障省(Department of Homeland Security)のマイケル・ブラウン緊急事態準備・対応担当次官(Michael Brown, Under Secretary for Emergency Preparedness & Response)とともに、ワシントンでの6月10日の記者会見で、アメリカの重要な安全問題をいくつか論じた。
 米国プレスクラブ(National Press Club)での記者会見は、6月の全米安全月間を記念するものでもあり、マクミラン会長とブラウン次官は、国土安全保障省連邦緊急事態管理庁(Federal Emergency Management Agency)が展開する地域社会緊急事態準備イニシアチブ(community-based preparedness initiative)、シティズン・コーズ(Citizen Corps、市民部隊)にNSCが加盟するとした公式な協定に署名した。
 マクミラン会長は、「われわれの社会が、真のリスク、真の危険、そして多くの場合、これらの恐怖といった諸問題を理解する一助となるよう」、安全問題に取り組むNSCのイニシアチブをいくつか紹介した。
 マクミラン会長によると、米国が直面する重要な安全問題およびこれらに関連する死亡者数(2002年)は、次のとおり。

シートベルト、チャイルドシート 死者   19,100人
飲酒運転 死者   18,000人
高齢者の墜落・転落、転倒 死者   11,200人
ティーンエイジャーによる運転   死者     9,000人
大型トラック 死者    4,900人
歩行者 死者    4,800人
労働災害 死者    2,800人
業務関連交通事故による死者    2,100人
業務外災害 従業員の死亡    49,600人
家族構成員の死者   14,900人

 「人生にリスクはつきものである。しかし、われわれは、何十年も前から直面してきた同じ安全衛生リスクに今も直面しているのである」とマクミラン会長。
 マクミラン会長は、米国は、安全問題に取り組むよう、今一度献身せねばならないと力説、改善に向けた勧告を提示した。
 州政府は、第1級シートベルト法、拡大ブースターシート法、ティーンエイジャーの運転制限、0.08%飲酒運転法を採択するなど、対処すべきことはまだある。連邦政府は、運輸再認可法案(transportation reauthorization bill)のなかの飲酒運転条項を強化する、高齢者の墜落・転落、転倒に関する一般市民教育法を制定するなどができる。事業者は、労働安全におけるリーダーシップと責任を引き受け、従業員の業務外での災害を減らす手助けができる。親は、子の運転を教育し、ティーンエイジャーの運転の権利を管理指導できる。ニュースメディアは、安全問題の情報や視点を提供できる。
 6月、マイケル・エンジ(Michael Enzi)上院議員(共和党、ワイオミング州)とバーバラ・ミクルスキー(Barbara Mikulski)上院議員(民主党、メリーランド州)は、2003年高齢者墜落・転落、転倒防止法案(Elder Fall Prevention Act of 2003)(上院1217)を提出した。法案は、おもに高齢者、その家族、保健医療機関を対象に、高齢者の墜落・転落、転倒リスクの軽減を狙った3ヵ年全米教育キャンペーンなどを打ち立てる。
 ブラウン次官は、天災、人災から国土の安全を守る上で、市民の参加を呼びかける大統領イニシアチブ、シティズン・コーズのようなイニシアチブの必要性を強調した。
 ブラウン次官は、シティズン・コーズは、テロリズムだけでなく、「われわれが明けても暮れても直面する危険のすべて」を対象としたイニシアチブであると指摘した。