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無表示、不明の実験室の化学物質を移動する

資料出所:National Safety Council (NSC)発行
「Safety+Health」2003年9月号p.60
(仮訳 国際安全衛生センター)



質問:無表示、不明の実験室の化学物質を移動するにはどうしたら良いか?
不明の化学物質の廃棄に関する公式の認可された実施方法はあるのか?

今月の質問に答えるのはクレイトン・グループサービス社のサンアントニオ地域事務所で実験作業を行っている政府計画部長のマイケル・ J・ウォントランド氏である。

答え:医療、環境関連の実験室で用いられるピクリン酸やエーテルのようないくつかの実験用化学物質は摩擦により激しく反応する。これら反応型の化学物質で特に無表示の容器に入っているものは、化学物質を荷造りしたり廃棄したりするのを難しい仕事にしている。

 無印でラベルもついてない実験用化学物質は少量でもその地域の人に危険をもたらすだけでなく、適切に運搬、廃棄するのには問題が多く、かつ費用がかかる。一般的に不明の容器を廃棄するのに許されるのは"lab packing" と言われる方法である。運輸省は連邦規則コード49の173項の規約で包装、ラベル、輸送に関する必要事項を特定している。OHSAの資源保護回収法(The Resource Conservation and Recovery Act)といくつかの州当局にはlab packingによる適切な廃棄に関して遵守しなければならない追記条例がある。
 lab packingとは化学物質の廃棄物を妥当なグループに仕分けして、適当な吸湿材を入れて、運輸省の認める鉄、プラスチック、又はファイバー製のドラムに詰める方法である。各々のドラムはその内容の目録を作り、廃棄用の処理、保管、または廃棄設備に送られる。これは非常に時間のかかる方法である。
 化学物質の廃棄物に適したlab packingには多くのステップがある。現場および実験室でのテストを行い、化学物質の正しい廃棄物区分を特定し、分類する。いくつかの基本的な現場テストの結果により実際の現場での特定が可能となる。しかし、これらの実験でも結論が出ない場合は、廃棄物を正しく分類するための追加実験分析が必要となる。そのステップは次のとおりである。
個々の容器にUN番号をつける。
化学物質を廃棄物の区分に応じて仕分けする。
仕分けされた廃棄物を別々の運輸省認可のドラムに入れる。バーミキュライトのような化学的に適当な吸湿材や同等製品でドラムの中のすべての容器を包む。ドラムは段ボールや他の適当な材料で仕切り層をつくる。個々のドラムは452ポンド(205キログラム)を超えてはならない。

個々のlab目録には下記の情報を記載する。
分かっていれば製品名をつける:商品名または化学物質名。
化学成分の特定:名前または分子式。
物理的状況の特定:固形物、液体、粉体、結晶、スラッジ、エアロゾル、ゼラチン状 等。
容器サイズの特定:標準またはsetric unit注)
容器のタイプの特定:ガラス瓶、ガラス小瓶/アンプル等。
個々の容器に番号をつける。
分かっておれば危険要素を特定する:腐食性、反応性、有毒性、等。

輸送、廃棄のため、認可された廃棄物処理会社に連絡する。認可された運送会社はlab packの輸送と処理に必要な荷物目録や他の必要な書類の作成の手助けをしてくれる。

 不明の化学物質の取り扱い、分別、及びlab packingは不明の化学物質の廃棄に関する規則や条例に慣れている知識、経験の豊富な専門家を必要とするほどの大変重大なリスクがある。そのためには、lab packingを行うための特殊な訓練が望まれる。これらの行為には固有の危険があるため、専門的なコンサルタントや廃棄物処理会社との契約が最上の選択である。1ドラムあたり500 ドルまたはそれ以上の高価な費用がかかるが、不明の化学物質の処理や廃棄に関しての厳しい規制を考えると最も適切な方法であろう。専門的な廃棄物処理会社に委託することは、刑事責任や予想される莫大な財務責任に遭遇するような危険を軽減することになる。

編集者注
 本稿は著者の意見を発表したもので、全米安全評議会(National Safety Council : NSC)が承認したものではない。


Permission granted by the National Safety Council, Safety + Health, Vol. 168, No.3.

注)setric unit−−−Setric Genie Industryで作られた計測器の単位を使って容器のサイズを決める方法