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NSC発行「Safety + Health」2003年10月号
産業特集
作柄の悪い穀物、サイロ内ガス暴露のリスクを増加
イリノイ州アイタスカ(Itasca, IL) − 米国のコーンベルト(トウモロコシ栽培地帯)の広範囲に散らばる地域は、天候不順で、今年、サイロガスによる疾病や死亡のリスクが増加すると、専門家は見ている。
コーンベルトの一部の地域では、遅夏に日照りが続き、トウモロコシの生長部分に、窒素が通常のレベルより高く含有される可能性がある。これは、「サイロガス」と総称される亜酸化窒素や二酸化窒素の濃度が上がることを意味する。
農家や農場労働者にとって、穀物がサイロ内で発酵し始めるに従い、サイロガスへの暴露水準は、危険性を帯びてくる。発酵は、サイロ充填開始後4時間以内に始まり、最長10日間継続する。この期間中、労働者は、縦型サイロに入ってはいけない。暴露すれば、目の炎症、疲労、しつこいせきや吐き気に悩まされるだろう。
高水準のサイロガス暴露は、時には、最初の暴露から30時間後というように、遅れて症状が出ることもある。極度の暴露の場合、サイロガスは、苦痛の疲労をもたらし、数分で衰弱したり死亡する可能性もある。
コーネル大学(Cornell University)のエリック・ホルマン農業安全衛生専門家(Eric Hallman, agricultural safety and health specialist)は、この問題は、農家側の知識の欠如で、いっそう深刻化しうると示唆する。トウモロコシの作柄が悪いと見るや、早く収穫して、サイレージ(サイロ貯蔵の飼料)にまわすと決断する。「こうした農家の多くは、久しくサイレージを作ったことがなく、縦型サイロ内で数シーズン未使用のままのトウモロコシが発酵していて、危険だということを忘れてしまっている」とホルマン氏。
発酵したトウモロコシのサイレージを扱う際の安全管理手段には、充填したばかりのサイロには近づかない、過剰サイロガスの兆候に注意するなどが挙げられる。生産者は、サイロガスは、空気よりも重く、縦型サイロの階段状シュートを静かに「転がり」落ちてくることを銘記すべきである。サイロガス中毒の予防には、サイロ内に立ち入る前、少なくとも30分間は、送風機を用いて換気するなどがよい。サイロガスの危険がまだ残っている場合は、自給式呼吸器などの呼吸用保護具を使用する。
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