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NSC発行「Safety + Health」2003年10月号

ニュース

全米安全評議会(NSC)創立90周年:安全ポスター
 創立以来、全米安全評議会(National Safety Council: NSC)は、安全ポスターを最重要なサービスのひとつと考えてきた。初期のNSCの資料は、事業者の安全キャンペーンの重要な構成要素として、ポスターを列挙している。このようなポスターは、会報としても知られていた。おそらく、従業員の掲示板に貼るように意図されていたからであろう。
 なぜポスターなのか。「なぜ事故は起きるのか、どうすれば事故を防ぐことができるのか。従業員は、挿絵や単純な話といった手段での教育を必要としているのである」と、1917年の会報は記す。初期のポスターの大半は、事実、陰惨である。腕や足、目、指その他の身体部位のない人物の写真や、路面電車の下敷きになった労働者や機械にはさまれた労働者といった場面を仕立てた写真など、こういったものが、労働者の注意を惹くためによく使われた。
 これほど陰惨ではないものの、家族をだしにしたアピールも同じように効果的であった。若いギブソンガール(挿し画家、チャールズ・ギブソンが描いた1890年代の理想女性)が、腕に赤子を抱いて、仕事に行く夫を見送るポスターは、「あなたなしで、家族はどうなる?」と問いかける。もうひとつのポスターは、父親が死んだり、重傷を負ったりすれば、息子たちは、教育を受ける機会を奪われ、家族の養い手とならねばならなくなると警告する。
 ポスターは、一般的な主題のほか、蒸気機関鉄道、製紙・パルプ、金属鉱業などといった特定産業の危害を扱ったものも作成された。NSCはまた、公益事業の告示も提供した。
 NSCは、加盟団体に対し、安全ポスターを会費の一部とみなして、無料で提供した。たとえば1926年には、加盟団体は、会費を納めて、一枚25ドルのポスター約300枚を受け取った。
 NSCは、加盟団体に、ポスターをどう利用するのが最善か、指導した。事業者は、目立つところに1〜2枚のポスターを貼り、最低でも週に2度は取り替えるよう、勧めた。「掲示板をいっぱいにしてはいけない。古ぼけさせてもいけない」と、NSCはアドバイス。「効果的な安全広報の秘訣は、興味にある」。


このNSCのポスターは、1918年頃のもの。職場での不安全行動がもたらす結果を示した、初期の安全ポスターの一例である。
注)ポスターのなかの文

衣服をはぎ取られる
彼は、ラジアルボール盤の電源を切らないまま、台から鋳物を除けようとした。アドルフは、今はよくわかっている。仕事を調節する、または機械に油をさす前には、いつも電源を切る。

死を招くかもしれないからである。
出 所: 全米安全評議会(NSC)
図書館

 安全のリーダーであるNSCの創立90周年を記念して、本誌は、1年間を通じ、NSCの遺産のなかでも重要なものを紹介する。