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NSC発行「Safety + Health」2003年11月号

産業特集

 農業

農業照明基準改正で、情報提供を求む


 ミシガン州セント・ジョセフ(St. Joseph, MI) − 米国農業技術者協会(American Society of Agricultural Engineers)は、技術基準EP344.2、酪農業、家禽業における照明(EP344.2, Lighting for Dairy Farms and the Poultry Industry)の改正プロジェクトへ参加するよう、関係者に呼びかけている。
 改正案は、農業照明の幅広い利用を包含するよう、範囲を広げる。現在、同基準は、酪農と家禽施設にのみ適用されている。
 改正案は、目下、協会の技術小委員会と外部の利害関係団体が見直している。プロジェクトの詳細を知りたい、あるいは改正作業に参加したい場合は、電話269‐428‐6331で米国農業技術者協会宛連絡されたい。


 建設業 

OSHA、 ISEA、建設労働者保護同盟を結成


 シカゴ − 労働安全衛生庁(OSHA)と国際安全機器協会(International Safety Equipment Association: ISEA)は、大規模建設において、より安全で衛生的な職場を開発するため、同盟を結成した。
 OSHAのジョン・ヘンショー長官(John Henshaw, administrator)と国際安全機器協会のダニエル・シップ会長(Daniel Shipp, president)は、9月に開催された全米安全評議会(NSC)の年次会議&展示会で、協定に調印した。協定のもと、OSHAと国際安全機器協会は、大規模建設現場では危険分析(Hazard Analysis)をどう行うか、これを実演する教材を製作する。協会はまた、個人用保護具の優良慣行を推進する。
 その他の目標としては、会議、イベント、出版物や電子メディアを通じたアウトリーチ活動や、安全機器に関する全米共通基準や新事情に通じるよう、OSHA職員を支援するなどが挙げられている。
 OSHAと国際安全機器協会は共同で、多様な危害に対応した個人用保護具の適切な型式や、大規模建設現場におけるこれら保護具の有用性について、ユーザーを教育する。

OSHA、堀削作業慣行を厳しく取り締まる

 ワシントン − 「堀削事故は、全米の業務上の死傷災害の主要原因である。このような災害を予防することは可能であり、予防せねばならない」と、エレイン・チャオ労働長官(Elaine Chao, Labor Secretary)は、9月にこう述べた。
チャオ長官は、配管工事業者、H. L. Crouse Construction(本社:オハイオ州ウォールブリッジ、Walbridge, OH)に対し、堀削安全の不徹底で510,750ドルの罰金を科したが、これに触れて、先の発言が出た。同社は、溝に水を貯めたままにしておき、保護対策を施していない溝壁のそばに掘り出した土砂を置いておいて、別々の6つの溝で落盤から労働者の保護を怠った故意の違反8件を含め、14件の安全衛生違反で召喚された。
 同様の違反で、ヒューストンの会社にも105,500ドルの罰金が科せられた。OSHAは、労働者が溝の底で作業中に横への移動を可能にする適切な保護シールドの設置を怠ったなど、6件の重大違反と1件の再違反で、Williams Brother Contractors Co., Inc.を召喚した。

道路工事現場の死亡事故で、イリノイ州の罰金増額

 シカゴ − イリノイ州のロッド・ブラゴジェビッチ知事(Rod Blagojevich,Governor、民主党)の思うとおりになれば、道路工事現場で違反速度を出したドライバーは、これまで以上に罰金を支払うことになる。イリノイ州の道路工事現場で起きた昨夏の一連の死亡事故に対応して、ブラゴジェビッチ知事は、道路工事現場での速度違反や無謀運転について、罰金を強化する法案を提出する予定。道路工事現場での速度違反の場合は、罰金を200ドルから500ドルに、無謀運転の場合は250ドルから500ドルに増額し、常習違反者には千ドルを科す。
 「イリノイ州内で最近、有料道路作業員2名、建設作業員4名が亡くなったのは、いたましく、道路工事現場の安全対策を改善する必要性を断固訴えるものである」とブラゴジェビッチ知事。
 知事は、州警察に道路工事現場をより頻繁にパトロールするよう、違法ドライバーに対してはゼロ容認政策を徹底するよう命令した。


事実チェック
 自動車死亡事故、首位。26,362人
自動車関連事故26,362人は、引き続き、原因が判明している労働死亡災害の原因の首位となっている。「その他」に分類された死亡災害を除くと、自動車関連の死亡災害は、労働死亡災害の半分以上を占める。

死亡災害のその他の原因(1992〜2001年)
床面・地面 6,566人
機械 5,010人
部品・材料 4,211人
手工具 1,062人
容器 838人
家具・設備 182人
労働者の動 き 29人
介護患者 19人
その他 16,040人

出 所:全米安全評議会(NSC)、「Injury Facts」2003年/労働統計局


 鉱業 

MSHA、鉱山緊急事態対応手順に関する最終規則を公布

 ワシントン − 鉱山安全衛生庁(Mine Safety and Health Administration: MSHA)は、9月9日、地下炭鉱の緊急事態発生時に操業者が採るべき行動を明記した最終規則を公布した。
 新規則は、鉱山労働者13人が死亡したJim Walter Resources第5炭鉱(アラバマ州ブルックウッド、Brookwood, AL)の2001年9月23日の爆発事故を調査した後、2002年12月に公布された緊急事態暫定基準に取って代わる。
 新規則は、労働者に危険が差し迫っている場合、炭鉱からの即時退避を開始・指揮する責任者を採炭組織内で1名指名するよう義務付けている。当局のデイブ・ローリスキー長官(Dave Lauriski, administrator)は、新規則は、炭鉱の緊急事態発生時に労働者が指揮を仰ぐ連絡係1名を定めたと述べた。


サービス業

保健社会福祉省、除細動器普及へ向け、助成金交付

 ワシントン − 保健社会福祉省(Department of Health & Human Sevices)はこのたび、地方で心停止に陥った人々が、即座に救護を得られるよう、1,160万ドルの助成金を交付すると発表した。
 地方緊急手段利用推進助成金(Rural Access to Emergency Devices Grants)は、49州および米国領グアムの地方の地域社会に対し交付され、食品医薬品局(Food and Drug Administration: FDA)承認の自動体外式除細動器を購入し、この正しい使い方について、救急隊員や地域社会の担当者を訓練するのに充てられる。
 自動体外式除細動器は、電気ショックで心停止患者の心臓の律動を回復させる軽量な携帯用機器で、救命率を著しく改善する。助成金交付先一覧表は、www.hhs.gov/news/press/2003pres/20030924.htmlに掲載されている。


 運輸業 

OSHA、手荷物取り扱いに関するeツールを改訂

 ワシントン − 労働安全衛生庁(OSHA)は、手荷物取り扱いに関するeツール(eTool)を改訂、乗客の手荷物を預かる航空産業の地上勤務員およそ5万人のために、危害の軽減を図る。このeツールは、2002年11月に結成したOSHA、航空会社13社および全米安全評議会(NSC)国際航空運輸部の戦略同盟が生んだ成果である。
 eツール改訂版は、手荷物の持ち上げや移動に関し、OSHAや航空産業の優良慣行を反映するよう設計されている。eツールは、OSHAのウェブサイト、www.osha.govに掲載されている。
改訂版は、乗客のチェックインから、手荷物をタラップから航空機の貨物室に取り込んで終了するまでの、預かり手荷物の空港内での流れに沿って構成されていると、OSHAは説明する。また、eツールの用語集を、航空産業の職場を正確に反映するよう改訂し、不自然な姿勢や狭い作業空間での手荷物取り扱いによる潜在的な危害への解決策を列挙したとも付け加えた。


公益事業

EPA、水資源安全保障課を新設


 ワシントン − 環境保護庁(EPA)は、全米の上下水道システムをテロから保護・防衛するため、新たに水資源安全保障課(Water Security Division)を創設した。水資源安全保障課は、2001年10月、水資源保護対策チーム(Water Protection Task Force)が着手した業務を継承する。
 「9月11日のテロ攻撃直後、ブッシュ政権は、米国の公共水道施設の安全保障を推進するため、すでに着手していた対策を強化した」と、EPAのG・トレイシー・メハン・3世水資源担当副長官(G. Tracy Mehan III, EPA Assistant Administrator for Water)は述べた。「われわれは、大西洋岸から太平洋岸に至る関係者と緊密に連携しており、水の供給を守る責任が増すにつれ、供給者が必要としている資源や支援を提供している」。
 水資源保護対策チームは、上下水道施設の安全保障のため、多数の活動を支援してきた。その一部を挙げる。
  • 中小規模の上下水道施設に対し、脆弱性評価(vulnerability assessments)や安全保障工事に関する手段や訓練、技術支援を提供できるよう、州政府、部族、非営利団体へ3千万ドル強の助成金を交付する。
  • 大規模上水道施設に対し、2002年公衆衛生安全保障および生物テロ対策・対応に関する法律(Public Health Security and Bioterrorism Preparedness and Response Act of 2002)の遵守を支援するため、5,100万ドルを交付する。466施設のうち464施設は、すでに脆弱性評価書をEPAに提出した。
  • 情報団体と水道部門との間で最新の脅威・事故情報を共有する、最新式の安全情報システム、WaterISACの創設を支援する。
  • 水資源安全保障のニーズに対応するための、総合的な調査計画を開発、実施する。
 詳細は、www.epa.gov/safewater/securityで閲覧できる。