このページは国際安全衛生センターの2008/03/31以前のページです。
NSC発行「Safety + Health」2003年11月号

ニュース

2002年度の労働死亡災害、最低値を更新

 ワシントン(Washington) − 労働統計局(Bureau of Labor Statistics)によると、2002年度の労働死亡災害は5,524人で、前年比6.6%減少した。
 労働統計局が9月17日に発表した「労働死亡災害センサス(Census of Fatal Occupational Injuries)」によれば、2002年度は、センサスを始めた1992年以来の最低値を記録した。2001年度の死亡災害は5,915人で、9月11日の対米テロ攻撃による労働死亡災害2,886人は、別表にまとめられており、これには含まれていない。
 死亡率は10万人あたり4.0人と、2002年度には最低値を更新した。
 報告書のハイライトを一部紹介する。
  • 幹線道路死亡事故は、2001年度より3%減ったものの、労働死亡災害の型別では依然として最も多く、全体の25%を占める。
  • 職場での殺人は、2001年度の643人から609人へと、2002年度には5%減った。
  • 墜落・転落による死亡災害は、1998年以来初の減少をみせ、2001年度の810人から2002年度には714人と、12%減った。
  • 唯一増加がみられたのは、有害物質や有害環境への暴露で、これは8%増となった。著しい高温・低温のものとの接触(例えば熱中症のようなもの)による死亡災害は、2001年度の35人から2002年度には60人へと激増した。
  • 特定の主要産業別では、建設業が、依然として最も死亡災害が多い。鉱業、製造業、運輸・公共事業、小売・卸売業、サービス業、及び官公庁では、死亡災害は減った。農林水産業では、死亡災害は6%増えた。
 労働統計局のウェブサイト、http://stats.bls.gov/news.release/cfoi.nr0.htmでは、報告書全文が閲覧できる。


ヘンショーOSHA長官、反応性化学物質安全計画を発表

 アリゾナ州スコッツデイル(Scottsdale, AZ) − 労働安全衛生庁(Occupational Safety and Health Administration: OSHA)は、反応性化学物質の取り扱いをめぐる問題に対処するため、反応性化学物質に関するガイダンスを開発する予定である。OSHAのジョン・ヘンショー長官(John Henshaw, administrator)は、9月23日、化学工程安全センター(Cener for Chemical Process Safety)の第18回年次国際会議で、聴衆にこう語った。
 当局は、単一の非複合工程に焦点を当て、単一の工程のみを有する事業者、中小規模の事業者及び化学製造業以外で化学物質を取り扱う、たとえば倉庫保管業などの事業者を支援すると、ヘンショー長官は説明。「単純な工程でも、従業員にリスクを与える可能性がある場合は、これを扱うのに必要なガイダンスを、事業者が確実に受けるようにしたい」と長官。
 OSHAはまた、ヘンショー長官によれば翌年に完成予定の工程安全管理基準(Process Safety Management standard)について、遵守命令を明らかにする予定である。この基準については、外部から修正を求める提案が数件寄せられているにもかかわらず、当局は、修正する予定はない。
 「現行基準は、化学工程の一部として生じる問題の大半に取り組む根拠を提供するものであると、われわれは思っている」と長官。
 今月はじめ、米国安全技術者協会(American Society of Safety Engineers: ASSE、イリノイ州デプレーンズ、Des Plains, IL.)は、OSHA、環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)および化学物質安全性調査委員会(Chemical Hazards and Safety Investigation Board: CSB)に対し、OSHAの工程安全管理基準やEPAのリスク管理規則以外の新しい規制を検討すべきであると要請した。
 「米国安全技術者協会は、別個の基準があれば、労働者や公衆の安全衛生を高めるという目標を達成しやすくなると考える」と、ジェームズ・ケンドリック会長(James Kendrick, President)は述べた。「反応性化学物質を工程安全管理基準やリスク管理規則に『適合』するよう強いるのは、反応性化学物質特有の脅威に対応できないばかりか、これら二つの立派なプログラムの規制力をおとしめることにもなりかねない」。


事実チェック
死亡率、少しずつ減少
 労働死亡災害が激減したため、2002年の職場の死亡率は3.6%にまで低下した。これはまた、増加の一途にあるアメリカの労働力人口が2002年には150万人増えたことも一因である。

暦 年 死亡者数 労働力人口 死亡率
1997 5,160 130,810 3.9
1998 5,117 132,772 3.9
1999 5,184 134,668 3.8
2000 5,022 136,402 3.7
2001 5,033 136,246 3.7
2002 4,900 137,731 3.6

出 所:全米安全評議会(National Safety Council: NSC)、「Injury Facts」2003年/ 労働統計局


EPA、PCB汚染地の販売を解禁

 ワシントン − USAトゥデイ(USA Today)が入手した内部メモによると、環境保護庁(Environmental Protection Agency: EPA)は、ポリ塩化ビフェニール(polychlorinated biphenyls: PCB)に汚染した土地の販売を25年間禁じていたが、このたび解禁した。
 有毒物質管理法(Toxic Substances Control Act)は、EPA地域事務所が汚染土壌の浄化計画を承認しないかぎり、PCBに汚染した土地の販売を禁じていた。議会は、汚染された土地が再開発されて、人々が不用意に毒されることのないよう、防止することを企図した。
 入手されたメモによれば、EPAは、この法律は「再開発を阻む不要な障壁で(かつ)実際のところ、汚染された土地の浄化を遅らせているかもしれない」と結論した。メモは、法律の改正で、PCB汚染土壌の浄化能力がない、あるいはその意思のない所有者から、浄化資金も能力もあるバイヤーが、土地を買い取りやすくなると指摘。法の改正は、浄化基準や責任規則には影響を及ぼさない。
 この決定は、ブッシュ政権は開発のために環境規制を緩和していると主張する環境団体の批判を招いている。法律を覆そうと法案を提出したのは、バーバラ・ボクサー(Barbara Boxer)上院議員(民主党、カリフォルニア州)。


報告書:不健康な労働者は、コストがかさむ

 ワシントン − 保健社会福祉省(Department of Health and Human Services)の最新の報告書によれば、不健康は、事業者や労働者に多額の経済的損失をもたらす。9月16日に同省が主催した討論会で、トミー・G・トンプソン長官(Tommy G. Thompson, Secretary)は、こう発表した。聴衆には、12人を超える米大企業の幹部らも含まれていた。
 報告書は、糖尿病やぜん息といった慢性的かつ予防可能な疾病が、企業収益へどう影響するかを探った最近の調査をまとめたものである。たとえば、
  • 肥満関連の健康問題は、1994年には米国の企業に130億ドルもの負担を強いている。これには、健康保険費用、疾病休暇、生命保険、障害保険などが含まれている。
  • 禁煙プログラムは、喫煙者一人あたり89セントから4.92ドルの事業者の負担となっている。喫煙関連の疾病は、喫煙者一人あたり6ドルから33ドルかかる。
  • 糖尿病の医療費は、一人あたり平均13,243ドルである。これに対し、糖尿病でない者の場合は、2,650ドルである。
 報告書は、事業者は、ビジネス戦略のひとつとして健康な生活を推進せねばならないと強調する。「Prevention Makes Common Cents」は、http://aspe.hhs.gov/health preventionで閲覧できる。


全米安全評議会(NSC)創立90周年:「組織安全の声」
数で見ると

1928年の月間販売部数:
15,000部以上

1935年の1ページ広告の費用:
137ドル50セント

1921年の工科大学向け割引購読料(案):
年間5ドル

現在の発行部数:
67,000部
 あなたが手にしているこの雑誌は、全米安全評議会(National Safety Council: NSC)の初の公式刊行物のひとつで、NSCとほぼ同程度の歴史を誇る。
 主として安全技師や企業幹部を対象としたこの雑誌は、防火や、災害防止による生産性の向上、家庭内での事故予防など、安全問題を幅広く取り扱っている。
 NSCのフラッグシップは、4ページの週刊「全米安全ニュース(National Safety News)」として、1919年11月24日に発行された。この新しい刊行物は、「これまでの会報に比べ、安全や労使関係について幅広い情報を提供することができるように」なった。
 全米安全ニュースは、1921年5月1日、月刊誌となった。第1号は、わずか56ページ。現在の「Safety + Health」の形に収まったのは、1987年である。
 雑誌に掲載されたトピックのなかには、執筆された年代を映すものがある。たとえば第1号では、鉄鋼産業の災害を第1次世界大戦前と戦時中とで比較している。1928年の編集一覧表には、「垂直移動は安全を保てるか」と題したエレベーター関連の記事がある。
 しかし、時代を超越したトピックもある。1928年9月号の「防護服は、労働者の責任か、事業者の責任か?」と題した記事は、産業界がいまだに議論している主題を扱っている。また、すべり、つまずき予防の記事は、1928年3月当時と同様、いまも安全専門家の関心を引く。
 Safety + Health誌が規定した目的は、1954年当時と同じである。産業界や安全要件の変化について、最新情報を提供する。アイディアや優良慣行といった情報の交換の場を提供する。安全は、健全なビジネス投資であることを経営者に証明する。Safety + Health誌が、「産業界の組織安全の声」と称されるのも、こうした所以である。


 安全のリーダーであるNSCの創立90周年を記念して、本誌は、1年間を通じ、NSCの遺産のなかでも重要なものを紹介する。
写真:全米安全評議会図書館


OSHA、ハーウッド助成金で1,120万ドルを交付

 ワシントン − 労働安全衛生庁(OSHA)は、スーザン・ハーウッド訓練助成金(Susan Harwood Training Grants)として、67の非営利団体に対し、安全衛生訓練や教育プログラム向けに1,120万ドル強を交付した。助成金は、3部門別に交付された。
・ 重点分野訓練助成金 − 建設業および一般産業の危害、運輸産業の致死性危害、職場の暴力、緊急事態対策・対応、鉛・シリカ暴露並びに小企業向け安全衛生管理システムの訓練に充てる。
・ OSHA訓練教材開発助成金 − 重点分野訓練助成金で特定された8分野の教材の開発、評価および試用に充てる。
・ エルゴノミクスガイドライン訓練助成金 − OSHAの新しい産業別エルゴノミクスガイドライン(介護施設、小売食料雑貨販売業)に基づく訓練を支援する。
 
 助成金を得た67団体のうち、新しく助成金を交付されたのは50団体。残る17団体は、助成期間の更新。2003年度の助成団体一覧表は、OSHAのウェブサイト、www.osha.govで閲覧できる。


3カ国労働安全衛生作業グループ、メキシコシティーで会合

 メキシコ市(Mexico City) − 労働安全衛生庁(OSHA)のジョン・ヘンショー長官(John Henshaw, administrator)は、カナダ、メキシコの担当官とともに8月29日、メキシコ市で会合、3カ国労働安全衛生作業グループ(Trinational Occupational Safety and Health Working Group)の過去1年間の活動の成果を振り返り、今後の活動計画を検討した。
 ヘンショー長官、メキシコのアルバート・アギラー・サリナス労働安全衛生長官(Alberto Aguilar Salinas, director general for workplace safety and health)、カナダのゲリー・ブランシャール事業長官(Gerry Blanchard, director general for operations)は、4つの小グループ(労働安全衛生管理システムおよび自主的保護プログラム、有害物質の取り扱い、監督官・技術支援要員の訓練、並びに3カ国共同ウェブページ)の業績を承認した。
 3者は、自動車部門のエルゴノミクス優良慣行ワークショップ、効果的な安全衛生管理システムを有する企業の表彰、化学物質の分類・表示システムの国際協調の検討など、今後実行に移せる協同活動について合意した。各国当局のトップは、自国の建設業の経験や優良慣行について、情報を交換した。政労使代表らは、業務上の災害や疾病の削減に有効な訓練手法、手順や管理システムについて、情報を交換した。
 3カ国労働安全衛生作業グループは、北米の労働安全衛生の改善をめざし、米国、カナダ、メキシコ3ヶ国が互いに協力していこうとする活動の一環である。


NSC、第91回年次会議&展示会で主要なイニシアチブを発表

 全米安全評議会(National Safety Council: NSC)は、9月8〜11日、シカゴ市で開催した第91回年次会議&展示会では、一大展示会を切り盛りする以上のことをした。NSCは、米国の職場や家庭での安全衛生問題を進展させようと、官民パートナーと共同で取り組む新しいイニシアチブを開始した。

法廷テレビとの番組制作
 NSCは、法廷テレビ(CourtTV、本社:ニューヨーク市)と、家庭や路上での家族の安全を推進する、一連のプログラムを共同制作する。NSCのアラン・C・マクミラン会長兼最高経営責任者(Alan C. McMillan, President and CEO)と法廷テレビのヘンリー・シュライフ会長兼最高経営責任者(Henry Schleiff, Chairman and CEO)は、この活動で、法廷テレビの複数の番組や公益アウトリーチ活動と、NSCの会員企業や組織の知識、調査能力や広大なネットワークとを結合すると述べた。
 「NSCとのこのすばらしいパートナーシップにより、全米8千万の家庭をカバーする法廷テレビの配信力と、NSCの名高い専門知識や見解とを結集して、この取り組みを進展させる」とシュライフ氏。
 「法廷テレビのような強力な放送局との提携で、NSCは、何百万もの家庭へ重要な情報を伝達するという、枢要な機会を手にする」と、マクミラン氏も付け加えた。

エクソンモービルと安全顕彰パートナーシップ
 NSCは、エクソンモービル社(ExxonMobil、本社:ヒューストン市)と百万ドルの5ヵ年プログラムでパートナーシップを締結、安全衛生や環境活動で優れた業績を顕彰するグローバルリーダーシップ賞(global leadership award)を創設する。プログラムの資金は、エクソンモービル基金が提供する。
 グローバルリーダーシップ賞は、安全衛生、環境活動を重んじていることを示し、安全衛生や環境活動である程度の成果を上げると、これが生産性、収益性その他の業績にどう関連するかを示した企業を顕彰する。
 「この賞で、優良事例からどう学び、安全衛生・環境活動や全体的な業績を改善するために、最先端のシステムや慣行をどう採用するか、世界の経営者が学べるようにしたい」とマクミラン氏。
 「エクソンモービルは、安全活動においてエネルギー産業の先頭を切っており、安全衛生や環境へ最高水準の注意を払うという企業責任が、他方面での業績に貢献し、反映すると考えている」とエクソンモービル社のリー・レイモンド会長(Lee Raymond, chairman)は述べた。「この企業責任があればこそ、エクソンモービルは、NSCと共にグローバル賞を創設し、世界中の企業が、同業者のなかから抜きん出、他の企業から範と仰がれるようになる機会を提供する」。

OSHA, MSHAとのパートナーシップ
 NSCは、労働安全衛生庁(Occupational Safety and Health: OSHA)と鉱山安全衛生庁(Mine Safety and Health Administration: MSHA)とパートナーシップを提携する旨、協定書に調印した。
 「われわれは、これまでもNSCとのすばらしい協力関係を享受してきた」と、OSHAのジョン・ヘンショー長官(John Henshaw, administrator)は、調印するにあたり、こう述べた。「車の衝突事故を減らす、職場で応急手当訓練を提供する、安全衛生管理システムプログラムを提供するなどといった重要な課題について、これまで以上に緊密に共同して取り組むにつれ、われわれの関係は、このたびのパートナーシップでいっそう強固なものとなる」とヘンショー長官。
 OSHAとNSCは共同で、労働安全衛生情報やガイダンス、訓練資源へのアクセスを提供する。パートナーシップで取り組む応急手当訓練の一部として、心肺蘇生法と自動体外式除細動器に焦点を当てる。
 MSHAのデイブ・ローリスキー長官(Dave Lauriski, administrator)は、NSCとのパートナーシップを称えた。
 「鉱業は、史上最も安全な2年間を達成したばかりである。今回のパートナーシップで、MSHAとNSCは、鉱業界の隅々にわたり安全が最優先されるよう、毎日の就労後に、一人でも多くの鉱山労働者が安全に家に帰るよう、共同して取り組む」とローリスキー長官は述べた。「今回のパートナーシップは、鉱業の安全衛生プログラムを開発することを目的とした、的を絞った関係を築く」。
 協定により、MSHAとNSCは、鉱業を対象とした安全衛生アウトリーチ活動へのNSC鉱業鉱物資源部の関与を増やし、イベントや会議での技術講習を開発・実施し、米国の鉱業・鉱物業に関する正確な統計情報を提供できるよう、共同で手だてを探る。
 また、協定では、「Stay Out - Stay Alive(立ち入るな、死ぬな)」のパートナーシップで、提携したMSHAとNSCとの既存の関係を強化する。これは、作業中あるいは廃業した鉱坑内やその周辺で遊ぶ危険性について、若年者やその両親を教育する。MSHAが調整役を務めるこのパートナーシップには、現在およそ90の団体が加盟している。
 NSCのアラン・C・マックミラン会長兼最高経営責任者(左)は、OSHAのジョン・ヘンショー長官(右)が、両者間の協定書に署名するのを見守る。



公報で、熱分解装置(Delayed Coker Unit)の危害を警鐘

 ワシントン − 労働安全衛生庁(OSHA)は、環境保護局(EPA)と共同で、原油精製に使われる熱分解装置(Delayed Coker(ディレードコーカー)Unit)の運転に関わる化学事故の防止をめざした、新しい安全衛生情報公報(Safety and Health Information Bulletin)を発行した。
 OSHAによれば、熱分解装置の運転で、近年多数の重大事故が起きている。石油精製の他の手法と違って、熱分解装置の運転には、バッチ操作と連続操作の両方がある。槽を切り替えて、コークスを切削するバッチ操作は、労働者に特有の危害をもたらし、大半の重大事故の原因となっている。
 OSHAと EPAは共同で、高さ120フィート、直径29フィートの大きな円筒形の金属製容器、コークス槽に的を絞った新情報を開発した。これには、教訓や、事故が起きそうな状況や条件下でリスクを最小限にするのに労働者が講じることのできる対策例を盛り込んである。公報は、OSHAおよびEPAのウェブサイト、www.osha.gov www.epa.govで閲覧できる。
注)バッチ操作とは回分式操作の事をいう。

高校最上級生の6人に1人が薬物運転

 ボストン(Boston) − 最近の調査で、米国の高校最上級生の6人に1人が、大麻(marijuana:マリファナ)使用での自動車運転を認めた。また、SADD/リバティ・ミューチュアル(SADD/Liberty Mutual)が実施した調査では、対象者のティーンエイジャーの41%が、薬物使用後の運転を気にしないと回答した。
 「現在のティーンエイジャーは、大麻について間違ったメッセージを受け取っている」と、全米薬物管理政策(National Drug Control Policy, メリーランド州ロックビル市、Rockville)の所長ジョン・P・ウォルターズ医学博士(John P. Walters, director, MD)は述べた。「大麻は有害であり、ハイの状態で車を運転するとか、ハイのドライバーに乗せてもらうというような、危険な決断を招く。新米ドライバーの親たちには、わが子の運転免許取得を機に、大麻の危険性や運転の際の責任について話し合うよう、奨励する」。
 ノーマン・ミネタ運輸長官(Norman Mineta, Transportation Secretary)は、「ティーンエイジャーは、年齢階層別では、最大の衝突事故のリスクがあり、衝突事故は、15〜20才の若年者層の死亡原因の首位となっている。薬物使用や、運転経験の少なさ、危険を顧みない行動が複合して、大惨事を招く」。
 「薬物使用での運転(Drugged Driving)」報告は、薬物使用と健康に関する全米調査(National Survey on Drug Use and Health)から9月16日に発表された。これによると、2002年には、昨年1年間で17〜18才の若年運転者の10〜18%が、違法薬物を使用して運転したと報告している。また、運転年齢の若年者(16〜19才)が大麻を使用する可能性は、これより若い年齢層(12〜15才)の4倍である。
 推定値は、未来観測・国勢調査局(Monitoring the Future and Census Bureau)のデータを基にしたもので、全米の高校最上級生約4百万人のうち、およそ6人に1人(60万人)は、大麻を使用した上で運転している。この数は、飲酒運転者の数(64万人)にほぼ匹敵する。
 これらの生徒のうち、2001年に衝突事故を起こしたと報告したのは、大麻使用で3万8千人、飲酒運転で4万6千であった。
 運輸省および関係団体は共同で、12月に全米飲酒薬物運転注意喚起月間(National Drunk and Drugged Driving Awareness Month)を推進する。


訂 正

  • 本誌2003年10月号、26頁の鉱業の「検証」では、OSHAの所管は採油・採ガス業のみであり、掲載した統計数字はOSHAの提供によるものであると、明記すべきであった。石炭、金属、鉱石の採掘は、鉱山安全衛生庁(MSHA)の所管である。
  • 2003年10月号、28頁の「数字で見る」の労働災害死亡者数は、2002年には3%減少したと記すべきであった。8.1%は誤り。