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NSC発行「Safety + Health」2003年12月号

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全米安全評議会(NSC)創立90周年:「安全情報のスーパーマーケット」
 全米安全評議会図書館(National Safety Council library)は、書類や切り抜き記事、パンフレット等のファイル棚として始まり、いまや世界一とまではいかないものの、全米一の総合的な安全衛生図書館へと変貌を遂げた。
 全米安全評議会(NSC)は、1913年の創立以来、主要な任務のひとつとして、会員企業へ安全情報を提供してきた。1915年のNSCの目標は、「災害防止という問題全体に関する、ばらばらのデータを統合する」ことであった。資料のなかには、青写真のコピー、安全装置の情報、データ表や会議報告書などがある。これらの資料を整理するため、常勤の司書が雇われた。
 図書館は、どんどん規模が大きくなっていった。一時期は、安全衛生情報を収集・普及するために14人もの人々が図書館で働いたほどである。現在は、コンピューター技術の発展もあって、司書は3人、いずれも図書館・情報科学で修士号を修めた専門家である。これらの司書は毎年、会員企業やNSC職員、一般市民からの情報の照会6,200件をこなしている。照会の大半は、統計や技術情報である。墜落・転落防止も、照会の多いテーマである。時には、珍しい照会を受ける場合もある。
 インドの会員企業からは、eメールで、工場に猿が入り込まないようにする方法を照会してきた。調査の末、当該企業には、窓に網戸または格子を張り、重要な箇所にはフェンスの設置も検討するよう、提案した。
 技術情報に加え、図書館は、会員企業に対し、2ヶ月に一度、アラートサービス注)を提供している。これは、図書館の蔵書に新たに加わったなかから選りすぐった題材を一覧表にまとめたものである。会員企業は、eメールで、または、NSCのウェブサイト、www.nsc.org の会員専用ページで閲覧できる。
 図書館は現在、安全衛生の全分野を網羅する16万点もの図書をそろえている。NSC図書館が「安全情報のスーパーマーケット」と呼ばれる所以である。

出所:全米安全評議会図書館

注)アラートサービス(Alert Service)---あらかじめ利用者の求める情報の主題をキーワードなどで登録しておき、新しい情報が到着する度に合致する情報を選び出し通知するサービス
[類] current awareness / selective dissemination of information