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NSC発行「Safety + Health」2003年12月号

産業特集

サービス業

NIST、火災時にも利用できるエレベーターの技術を研究

 メリーランド州ゲイザーズバーグ(Gaithersburg, MD)− 米国の火災専門家は、高層ビルの火災時におけるエレベーターの利用を提唱し始めている。消防士を火災現場に搬送するためと、(階段吹き抜けに続く)第2の手段として入居者を避難させるためである。国立標準技術研究所(National Institute of Standards and Technology: NIST)は、協力機関とともに「保護装置付き」エレベーターの建造方法を研究する。
 国立標準技術研は、エレベーター産業と共同で、信頼度の高いエレベーター専用の非常時対応電力システムや、防水加工を施したエレベーター部品の開発・試験を行なっている。標準技術研は、変化する噴煙・熱条件に対応可能で、安全かつ信頼性の高い運転を維持でき、火災時に停止しないソフトウェアや検知システムを研究中である。このような改造により、火災時には、1階からの遠隔操作でエレベーターを運転できるようになり、エレベーター操作の手間から忙しい消防士を解放する。
 国立標準技術研は、その専門性を駆使して、消火活動や、エレベーターによる脱出、階段からの避難を組み合わせたシナリオを試験する、仮想現実シミュレーションを実施する。火災研究者らは、世界中の専門家と、非常用エレベーターの運転基準で協力したいと望んでいる。国際標準化で、人々は、確信を持って避難することができ、混乱を避けることができる。