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NSC発行「Safety + Health」2003年12月号

産業特集

公益事業

EPA、下水汚泥の再利用を無規制

 ワシントン − 環境保護局(EPA)は、土壌に再利用する下水汚泥中のダイオキシンを規制しないと、最終決定を下した。外部の専門家による検討も含めた5年間に及ぶ調査の結果、当局は、下水汚泥からのダイオキシンは人の健康や環境をあまり脅かさないと判断。理論的に最も暴露されるのは、汚泥を穀物や家畜の飼料の肥料として用い、生涯にわたり、その穀物や肉製品を消費する人びとである。
 EPAの分析では、この理論上の集団の場合でも、ガンの発生は、年あたり0.003件、または、70年間で0.22件と予想。ダイオキシンを含有する下水汚泥による一般人集団へのガン発生リスクは、EPAがモデルとした高暴露の農家に比べると、土壌へ再利用した汚泥に含まれるダイオキシンへの暴露が少ないため、さらに小さい。
 EPAの「2001年全米下水汚泥調査、ダイオキシン最新情報(2001 Dioxins Update to the National Sewage Sludge Survey)」は、前回の1988年の調査に比べ、処理済の下水汚泥中のダイオキシン濃度は減少していることを示している。この減少傾向は、環境におけるその他のダイオキシン源を規制していることから、継続すると考えられている。
 ダイオキシンは、ある種の燃焼や化学製造工程の副産物で、毒性の強い分解されにくい化合物の一群である。下水汚泥は、地域水路へ放水する前の、下水の浄化過程で発生する副産物である。