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NSC発行「Safety + Health」2004年1月号
産業特集
閉塞空間規則、定価8千6百万ドル
ワシントン − 労働安全衛生庁(OSHA)は、建設業における閉塞空間規則案の検討を完了、この規則の遵守には8千6百万ドルかかるが、年間6件の死亡災害および900件の傷害を防止すると判断した。
当局は、小企業の遵法費用は4千6百万ドルと概算。毎年、およそ64万1千ヶ所の閉塞空間が、基準案の適用を受ける。
今回の規則案は、事業者に対し、危険有害要因に囲まれた空間の有無を判断し、プログラムを書面で作成、これを実施し、救助手順を開発し、空気中の危険有害要因を検査と監視をし、危険標識を設けて従業員にその空間を知らせ、訓練を実施して訓練記録を保管するよう、義務付けている。
OSHAはまた、事業者に対し、閉塞空間を調査する従業員には手順を示して、当該従業員を保護するよう、義務付けている。現在、一般基準は、具体的な工学的管理要件に触れていない。詳細については、www.osha.govを閲覧されたい。
OSHA、ティルトアップ建設工法に関する安全情報を提供
ワシントン― 労働安全衛生庁(OSHA)は、労働者や事業者に対し、支えのないパネルの危険有害要因について警告、パネルの倒壊防止方法に関する実践的な勧告を掲載した、新しい安全衛生情報公報(Safety
and Health Information Bulletin)を発行した。これは、いろいろなタイプの建物や建造物の建設中にコンクリート壁パネルを建てる一般的な工法、ティルトアップパネル組み立て(tilt-up
panel erection)に従事する労働者のために、安全情報を提供している。
公報は、事業者に対し、壁パネルの倒壊を防止するため、下記の対策を講じるよう勧告している。
- 建設現場を頻繁に点検するプログラムを維持する。
- 従業員に対し、不安全な状態の認識と回避や、労働環境に適用されるOSHA法規を教える。
- 成形済みコンクリートの建造に関するすべての要件を遵守する。
- 横からの力や風に耐えうるよう、すべてのティルトアップパネルにブレース(筋かい)を入れる。
- 屋根の構造および/または支柱ができて建物が安定するまでは、仮ブレースを撤去しないよう、監督者や労働者を指導する。
- ティルトアップ壁パネルとスチールジョイストとを固定するために溶接する際には、認可された溶接機のみを使用する。
ティルトアップ工法に関する詳細は、OSHA建設局(Directorate of Construction)のウェブサイト、www.osha.gov/docで閲覧できる。
事実チェック
1990〜2000年の間には、建設業における求人増加率は、
1960年以来初めて、全産業の求人増加率を上回った。
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建設業の求人増加率 |
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建設業の求人増加率 |
17.8% |
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30.8% |
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全産業における求人増加率 |
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全産業における求人増加率 |
21.0% |
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20.4% |
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出 所:Bureau of Labor Statistics、2003 |
ASME、リスクアセスメントの統一をめざす
ニューヨーク − 米国機械学会(American Society of Mechanical Engineers:ASME)の危険資産保護イニシアチブ(Critical
Assets Protection Initiative)は、リスクを評価し報告するためのガイドラインを開発するプロジェクトを指導している。この事業は、国土安全保障省(Department
of Homeland Security)の資金提供を受けている。
ガイドラインは、リスクの決定方法とリスク調査結果の報告方法について、統一を図ろうとするものである。官民、専門家組織からなる共同事業体は、方策の開発を支援している。プロジェクトは9月に完了し、政府機関や民間産業に適用される予定。
リスクガイドライン・プロジェクトについては、ウェブサイト、www.asme-news.org/features/1103risk.htmlで詳細を閲覧できる。
MSHA、監督業務の強化を見直し
ケンタッキー州パイクビル(Pikeville, KY) − 鉱山安全衛生庁(Mine Safety
and Health Administration: MSHA)は、マーティン・カウンティ・コール(株)(Martin
County Coal Corp.)のビッグブランチ(Big Branch)貯水場で発生した2000年10月の流出事故以前の当局の活動を検討した上で、監督手順の弱点を是正していると発表した。
「MSHAの内部管理プロセスを強化することにより、当局は、鉱山労働安全の改善をめざした(監督、教育・訓練、技術支援といった)すべての法定手段をより効果的に駆使できるようになる」と、デイブ・ローリスキー長官(Dave Lauriski, administrator)は述べた。
検討の結果、当局は、重要な新貯水場計画を技術支援専門家に検討させる新ガイドラインを採用している。当局は、貯水場に関する安全指令の明確化、合理化を進めており、また、地下鉱山の測量支援技術を検討している。
また、新しい貯水場監督ハンドブックも刊行する予定。
詳細は、当局のウェブサイト、www.msha.govを参照のこと。
鉱山死亡災害、2002年に最低値を更新
バージニア州アーリントン(Arlington, VA) − 鉱山安全衛生庁(MSHA)が発表したデータによると、鉱山における死亡災害は、2年連続で空前の最低値を記録した。
予備調査では、2002年に業務上災害で死亡したのは67人、これは、2001年の死亡者数より5人少ない。
2002年には、石炭採掘部門での死亡災害も減少し、2001年の死亡者数42人と比べると、27人と記録的な最低値であった。
MSHA、全米の炭鉱を一斉調査
バージニア州アーリントン(Arlington, VA)― 鉱山安全衛生庁(MSHA)は、2003年末、第2回全米炭鉱一斉調査を開始した。一斉調査は、冬季の危険について、鉱山労働者や事業者の認識を高めるのが目的だ。
監督官は、炭鉱の臨検の際、時間を割いて、鉱山労働者、事業者や下請け業者を対象に、目下の懸念事項、潜在的危険性や安全作業手順について説明する。当局によれば、当局の教育・訓練専門官、技術専門官も鉱山を臨検する。
MSHAは毎年、寒冷気象が地下炭鉱にもたらす危険性について警告している。当局は、一斉調査のほか、鉱山の危険を回避するための助言やガイダンスといった具体的な安全情報を、ウェブサイトwww.msha.govに掲載している。
MSHA、ウェブサービスを拡充
バージニア州アーリントン(Arlington, VA) − 鉱山安全衛生庁(MSHA)はこのほど、ウェブサイト、www.msha.govのサービスを拡充、鉱山事業者、独立の請負業者その他の鉱業関係者が、インターネットで必要書類を提出できるようにした。
このたびの拡充は、連邦政府の「電子政府(e-gov)」イニシアチブの一環である。この新しいサービスは、鉱業関係者の効率改善を促し、官僚的な形式主義を排すと、デイブ・ローリスキーMSHA長官は述べた。
ウェブサイトで利用できる書式には、当局に事業登録をせねばならない新規参入の鉱山事業者や独立請負業者のための法定登録書などがある。
その他には、雇用、生産に関する四半期報告や危険状況に関する苦情申し立てのための書式、訓練計画や粉じん管理計画の提出用紙、是正措置請願書などがある。
これらの書式にアクセスするには、MSHAのウェブサイト、www.msha.govの「Quick Links」部の「書式・オンライン申請(Forms/Online Filing)」をクリックするとよい。
除細動器で生存率向上
フロリダ州オーランド(Orlando, FL) − 最近の調査によると、心肺蘇生法(cardiopulmonary
resuscitation: CPR)訓練や自動体外式除細動器(automated external defibrillator:
AED)が利用できるようになった公共の場では、生存率が向上することが判明した。調査は、米国心臓協会(American
Heart Association、ダラス市(Dallas))と共同で、国立心肺血液研究所(National
Heart, Lung, and Blood Institute、メリーランド州べセスダ市(Bethesda, MD))の資金協力を得た。この調査では、米国、カナダの24ケ所で、有志の救助者およそ2万人が訓練を受けた。それぞれの調査拠点では、病院外での心拍停止の可能性がある20〜70の地域社会構成単位(community
unit)を特定。各調査単位には、心肺蘇生法のみの訓練、もしくは心肺蘇生法とAED活用方法を抱き合わせた訓練を無作為に割りふった。
調査で得た情報は分析中で、情報には、長期的な生存率、生活の質(QOL)、生存者の心の働き、AEDの設置費用なども含まれる。詳細は、www.nhlbi.nih.govを閲覧されたい。
硫黄基準、精油業者をターゲット
ワシントン − 環境保護庁(EPA)は、2003年10月29日、精油業者は、向こう4〜6年の間に、低公害性の一段と進んだ幹線道路向けディーゼル燃料を供給できるようになる予定であると報じた。精油業者126社を対象としたEPAの分析では、燃料業界は、硫黄分15ppm基準を期限までに遵守することができ、幹線道路向けディーゼル燃料の生産量は、十分に需要を満たすようになり、硫黄分15ppm以下のディーゼル燃料が、ひろく入手できるようになる。EPAによれば、ディーゼル燃料中の硫黄含有量を減らせば、ディーゼル・エンジンの排気制御技術が進歩し、大気の質も改善されるようになる。
Hazmat規則、荷積み・貯蔵を明確化
ワシントン − 運輸省調査特別プログラム庁(Research and Special Programs
Administration, Department of Transportation)は、危険有害物質規則(Hazardous
Materials Regulations)を改正し、荷積み、荷降ろし、貯蔵への規則の適用を明確にした。
同規則によると、運送業者が引き渡した後の、荷受人による一定施設内での軌道車(rail
cars)からの荷降ろしは、今後は規制されない。現在、タンク車からの荷降ろしは、その主体が運送業者であれ、荷受人であれ、規制対象となっている。
他の輸送方法との整合性を持たせるため、軌道車を動かないよう固定することや、鉄道員の保護のため警告標識を使うといった要件は、引き続き有効である。この規則は、タンク車への荷積み、荷降ろしの双方に適用される。タンク車間の積み移しは、まだ規制される。
当局は、タンク車からの荷降ろし中の遠隔監視を認める条文や、製品を輸送していない場合、荷降ろし用接続部を取り付けた状態でタンク車が一時駐車するのを認める条文を追加した。これまでは、このような状況は、運輸省に義務の免除を申請しない限り、承認されなかった。
ほとんどの州で、シートベルト着用率が向上
ワシントン − 高速道路交通安全局(National Highway Traffic Safety Administration:
NHTSA)が発表した統計分析によれば、40州、コロンビア特別区(District of
Columbia)およびプエルト・リコ(Puerto Rico)では、2003年度は前年度に比べ、シートベルト着用率が向上した。
米国でのシートベルト着用率は、79%に達した。米国史上最高の水準である。
統計は、全米安全評議会(NSC)共催のワシントン市での記者会見で、最新の「カチットと締めよう、さもなければ違反切符(Click It or Ticket)」運動の全米展開を発表した際、発表された。この運動は、2003年11月17〜30日の感謝祭シーズンに、シートベルト法や児童乗車安全法を施行するため、警察当局が実施した全米規模の厳重な取り締まりである。
「カチッと締めよう、さもなければ違反切符」運動は、1万2千以上もの取り締り当局の事務所網が関与した。運動は、高速道路交通安全局、全米運輸安全委員会(National
Transportation Safety Board)、飲酒運転に反対する母の会(Mothers Against
Drunk Driving)および全米安全評議会の「エアバッグ&シートベルト安全運動(Airbag
& Seat Belt Safety Campaign)」が後援した。
エアバッグ&シートベルト安全運動の詳細については、www.nsc.orgを閲覧されたい。
大気浄化法の改正が施行活動に影響を与えている
ワシントン − 環境保護局(EPA)は、大気浄化法(Clean Air Act)の規則改正で、新規則をいつ、どう施行するかで、混乱が生じたため、同法違反への対応を再検討中である。
大気浄化法規則の改正で、発電所への立ち入り調査を打ち切ると発表した後、EPAは、2003年11月11日、ウェストバージニア(West Virginia)、オハイオ(Ohio)ニ州のアメリカ電力(American Electric Power)の発電所10基に対する訴訟を継続すると発表した。
2003年11月6日付けのニューヨーク・タイムズ(New York Times)紙は、ブッシュ政権下で、規制を緩和した新規則が議会を通過したため、EPAは、発電所50基への立ち入り調査を取りやめる予定であると報じた。
EPAの弁護団は、タイムズ誌に対し、EPAの決定は、各訴訟事件は調査を始めた時のクリントン政権下の厳しい規則でなく、12月に発効した緩やかな新規則をもって審理されることを意味するものであると説明した。
新規則には、立ち入り調査の続行をほとんど不可能にする適用除外が含まれていると、EPA筋はタイムズ誌に語った。
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