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NSC発行「Safety + Health」2004年2月号
産業特集
ワシントン州、血液検査規則を採択
シアトル − ワシントン州労働産業省(Washington State Department of Labor
and Industries)は、特定の殺虫剤を取り扱う農業労働者の血液検査を事業者に義務付ける規則を採択した。
栽培業者その他の事業者は、体内で生成される酵素で、神経機能を制御するコリンエステラーゼ(cholinesterase)の低下レベルを調べるため、殺虫剤取り扱い労働者に血液検査を実施しなければならない。コリンエステラーゼは、有機燐化合物(organophosphate)やn−メチル・カルバミン酸塩(n-methyl-carbamate)系の殺虫剤に暴露すると、減少することがある。
当局によれば、コリンエステラーゼの減少は、神経を過剰刺激して疲労困憊させる。コリンエステラーゼが減少した場合の症状は、目がかすむ、下痢、ふるえ、発作、意識を失う、及び死亡である。
2月1日から発効した新規則は、2004年にはおよそ1千名の労働者、2005年にはおよそ3千名に適用される。2004年には、事業者は、いずれかの30日間中50時間以上、殺虫剤を取り扱う労働者を監視しなければならない。
2005年には、任意の30日間中に30時間以上、殺虫剤を取り扱う労働者を監視せねばならない。
2002年に、ワシントン州最高裁判所(Washington Supreme Court)は、複数の農業労働者が殺虫剤のハザードにさらされたことを受けて、コリンエステラーゼの監視に関する規則を制定するよう、ワシントン州労働産業省に命じた。
本規則は、同州の農業に関する安全基準(safety standards for agriculture)および殺虫剤労働者保護基準(pesticide worker protection standard)の規制を受ける全ての農業労働者に適用される。
規則の詳細は、www.lni.wa.gov/wisha/Rules/whatsnew/releupdate.asp?RuleID=144で閲覧できる。
NIOSH、新転倒防護ガードを開発中
アトランタ − 国立労働安全衛生研究所(NIOSH)は、トラクターの転倒事故の際、運転士を重傷や死亡事故から守る、新しいハイテクシステムを開発中である。
オートロップス(Auto―ROPS)と呼ばれるこのシステムは、運転席後部に据え付けられた四角い逆U字形の金属製防護棒に接続したセンサーから成る。防護棒は、ラッチ(掛け金)を外すと、圧縮バネで上方に入れ子式にたたむことができる。
センサーは、トラクターが傾き、そして転倒するかもしれないと感知すると、ラッチを外すよう信号を発する。ラッチが外れると、転倒防護棒は、運転士の頭部より高い位置に設置される。防護棒は、運転士の頭部が致命的に地面に叩き付けられないよう、あるいは転倒の衝撃が伝わらないよう、保護する。
NIOSHは、今年初め、オートロップス試作品を実地試験し、従来の転倒防護システムと比較して、良い評価を得た。実地試験では、遠隔操作でトラクターを転倒させるシミュレーションもあった。試験の結果、防護棒は、転倒による衝撃や重量に対する耐性で、工業基準を満たした。
NIOSHと転倒防護システムメーカーのFEMCO(カンザス州マクファーソン市、McPherson)は、オートロップス技術の商業利用をめざし、トラクター・動力機械メーカーと協力している。
転倒事故は、農業の労働死亡原因の首位で、毎年、100人以上の死者が出る。
小規模事業委員会、閉塞空間規則案を否決
ワシントン − 小規模事業代表者から成る委員会は、新しく改正された閉塞空間のハザードに関する規則(rule
on confined space hazards)を、費用や複雑性を理由に否決した。
委員会は、労働安全衛生庁(OSHA)に提出した報告書で、現行の一般産業基準を建設労働者に拡張して適用すべきであると述べている。
委員会はまた、小規模事業代表者の提出した意見が反映されるよう、規則案を修正するよう、また、当局がなぜ代表者らの意見を取り入れていないのか、その理由を説明するよう、OSHAに要請している。
委員会は、規則に関わる費用に関し、OSHAの見積りは低すぎると指摘する。空気モニタリングの実施、モニター装置の取り替えや訓練の提供は、もっと費用がかさむと述べている。
規則案は、OSHAの現行の一般産業向け閉塞空間基準を下敷きにしている。この規則では、事業者は、ハザードな閉塞空間があるかどうか判断を下し、救助手順を含めた書面による安全プログラムを開発するよう、義務付けられている。
委員会は、OSHA、小規模事業局(Small Business Administration)と行政管理予算局情報法制問題室(Office of Information and Regulatory Affairs, Office of Management and Budget)の代表で構成されている。委員会は、小規模事業代表者らと問題を討議し、OSHA長官に報告する。
OSHA、請負業者 架線作業の安全を討議
メリーランド州ベセズダ(Bethesda) − 全米電気請負業者協会(National
Electrical Contractors Association: NECA)、国際電気労働者組合(International
Brotherhood of Electrical Workers: IBEW、ワシントン市)および電気事業産業界は、高圧電線の架設作業における死亡事故や重傷の削減をめざして、労働安全衛生庁(OSHA)と協力している。ワシントン市で、電気労働者組合、架線請負業者とその幹部らは、安全性向上を目指した業界規模のパートナーシップの形成について、OSHAの代表らと討議した。
会合では、架線作業に固有のハザードやリスク甘受の文化について討議した。試験や検定なども含めた選抜式の再訓練により、労働者の技能や安全知識の向上を図るなどといったアプローチが討議された。また、現場監督や管理者を対象とした安全訓練の強化が必要だとの指摘もあった。
この試みは、既存の3つのNECA‐OSHA‐IBEW地域パートナーシップを雛型にしている。パートナーシップでは、事業者は、作業現場で主要なOSHAの安全法規の遵守を徹底する旨誓約し、OSHAは些細な技術的違反を大目に見る。
事実チェック
264,677件 |
地面または床への接触による非死亡の労働傷害は、
2001年は、264,677件であった。 |
出 所:全米安全評議会(National Safety Council: NSC)、"Injury Facts"、2003年 |
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MSHA、冬季採鉱のハザードについて注意を喚起
バージニア州アーリントン − 鉱山安全衛生庁(Mine Safety and Health Administration:
MSHA)は、寒冷気象による職場のハザードについて、鉱山労働者や操業者の注意喚起を怠らないよう、業界に要請した。
鉱業界は、現在、「検査に注意を向けよう(Focus on Examinations)」と称する全米安全運動に参加している。この運動は、鉱山の引火や爆発防止のため、シフト(交替勤務時間)前に鉱山検査を実施する必要性を強調している。
MSHAはまた、職場にハザードな状態を引き起こす凍結・解凍作用について、金属・非金属鉱業の労働者や操業者に警告を発している。MSHAの監督官は、採鉱場への定期臨検の際、冬季の気象や、これが職場にもたらすハザードについて、労働者に注意を促すことにしている。
「鉱山労働者や操業者は、仕事への注意を失いやすく、職場の潜在的なハザードを見過ごしがちである」と、デイブ・ローリスキーMSHA長官(Dave
Lauriski, MSHA administrator)は述べている。「鉱業界の一人一人が、職務に専念し、招かざる悲劇をもたらすようなハザードや危険性を避けるよう、留意されたい」。
環境行政で、汚染物質を削減
ワシントン − 遵守の徹底と監督行政の結果、2003会計年度は、2002年度に比べ、推計131%も環境利益が増加した。約6億ポンドもの汚染物質が減り、処理され、または適切に管理されたと推定されている。昨年度は、2億6千万ポンドであった。
また、環境保護局(Environmental Protection Agency: EPA)の監督行政の結果、370万トン以上もの汚染土壌が処理された。EPAの2003年度の監督・遵守徹底行政がもたらしたその他の結果は、以下のとおりである。
- 9,800万ポンド以上もの二酸化硫黄を大気から除去した。
- 故意に、または知っていながら法律を犯した違反者に、延べ146年の懲役を科した。
- EPAは全米で、およそ19,000件の遵守監督を実施した。
- 行政法、刑法、民法上の罰金は、計1億6千7百万ドルである。
- 違反者から、違反の是正、環境保全、将来の損害防止のため、約29億ドルの資金協力を取り付けた。
EPAの監督・遵守プログラムに関する詳細は、ウェブサイト、www.epa.gov/complianceで閲覧できる。
大統領、FAA再授権法案に署名
ワシントン − ブッシュ大統領は、運輸省(Department of Transportation:
DOT)連邦航空局(Federal Aviation Administration: FAA)の4ヵ年、6百億ドルの再授権法案、「Vision
100― The Century of Aviation Act」に署名、同法案は成立した。
FAAは、ビジョン100は、米国の航空部門を強化し、FAAに必要な権限を与え、一般市民の旅の安全を高めると述べた。
同法案は、空港建設プロジェクトに140億ドル、航空運送事業の誘致と維持に向けた小都市支援に1億4千万ドル、孤立地域への航空運送事業の確保に3億8百万ドル、空港での安全審査の効率化に20億ドルを配分する。
ビジョン100は、空港内の環境および大気保全のイニシアチブに、新しい財源を提供する。同法案はまた、全米でもっとも混雑する空港での遅延を減らすため、FAAと航空会社との共同作業を探る、重要な試験的プロジェクトも含んでいる。
RSPA、危険有害物質報告書式改正の準備が整った
ワシントン − 運輸省(DOT)調査特別プログラム局(Research and Special
Programs Administration: RSPA)は、危険有害物質規則(Hazardous Materials
Regulations)の事故報告要件と、有害物質事故報告書式のDOT Form F5800.1を改正中である。
最終規則の主な変更は、事故報告書式による詳細情報の収集、報告除外の拡大、運送業者以外の関係者に対する報告要件の拡大、危険有害物質の無申告出荷の報告、貨物タンク車を含む未発表事故の報告などである。
規則は、7月1日付けで発効する。
RSPA、危険有害物質規則の改正を提案
ワシントン − 運輸省調査特別プログラム局(RSPA)は、安全実績が確立されており、広く利用されている適用除外を盛り込んだ有害物質規則(Hazardous
Materials Regulations)に修正する旨を、提案している。
当局はまた、こうした適用除外のもとで認可している梱包の使用要件を微修正する。改正案では、すでに適用除外資格を保持する者に対し、資格更新の再申請を不要として、事務処理負担を減らし、通商を促進する。
交通制御装置の改善で安全を高める
ワシントン − 連邦幹線道路の専門家らは、衝突事故をドライバーに警告する標識をより鮮明にすることや、高齢ドライバーのために道路標識に大きな文字を使うなど、各州政府に対し交通安全の改善を検討するよう勧告している。
これらの勧告は、連邦幹線道路局(Federal Highway Administration: FHWA)の「統一交通制御装置マニュアル(Manual on Uniform Traffic Control Devices)」2003年度版に収録されている。
マニュアルで勧告されている安全強化策としては、高齢ドライバーのために、道路標識や交差点での進路変更用の車道標識の文字を拡大するなどが挙げられている。
歩行者に関しては、マニュアルには、きょろきょろする目の動きを真似た電子標識で、道路を横断する際には左右を確認するよう歩行者に思い起こさせる「アニメ・アイ(眼)」や、道路を安全に横断する際の残り時間を知らせる「カウント・ダウン標識」に関するガイドラインも盛り込んだ。
マニュアルではまた、たとえば視覚障害者のための歩行者用通路へ誘導する境界線や標識情報を伝える音声式装置などといった、障害者を介助する新しい設備についても詳述している。
自転車利用者の安全改善のためには、新しい自転車レーン標識や記号を提案している。
「統一交通制御装置マニュアル」2003年度版はまた、可視性の高い服装やバリケードをよく利用するように指摘している。また、衝突事故現場、閉鎖した出口や迂回路など、ドライバーが道路の状況に注意するように蛍光ピンクの標識を認め、現行の「マイル単位」より短い間隔で、道路案内標識を設置するよう勧告している。
詳細は、www.fhwa.dot.govで閲覧可。
EPA、州政府と先住民居留区に大気基準を送付
ワシントン − 環境保護局(EPA)は、先日、州政府、先住民居留区に対し、排出基準や地表レベルでのオゾン健康基準を義務付けた書簡を発送した。書簡は、国の8時間オゾン基準(8-hour
ozone standard)の達成、未達成地域に関する自治体の境界案に対し、当局が同意するかどうかを示したものである。このプロセスは、州政府や先住民居留区が、最新の達成、未達成地域境界案をEPAに提出した昨年7月に始まった。EPAは、1997年に、8時間オゾン基準を公布した。これは、オゾンレベルの8時間平均に基づくもので、現実的な人の暴露量を反映するものである。
「われわれの目標は、国民の一人一人が呼吸する空気の清潔度と安全性にある」と、マイク・リーヴィットEPA長官(Mike
Leavitt, EPA Administrator)は述べた。「われわれは、これらの新しい重要な健康基準を満たすよう、州政府や先住民居留区を支援する一連の大気保全対策を開発中である」。
EPAは、大半の州政府、先住民居留区の提案に同意しているが、全ての提案に同意しているわけでない。後者の場合、EPAは、当局なりの達成・未達成指定地域の境界線を引いた。州政府、先住民居留区は、相違点についてEPAと協議し、自案を裏付ける新しい分析結果を提出できる。EPAは、4月15日までに指定地域を決定する予定である。
州政府、先住民居留区の提案とEPAの回答は、www.epa.gov/ozonedesignationsで閲覧できる。
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