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NSC発行「Safety + Health」2004年2月号

ニュース

職場の暴力、兆候を見過ごしがち


 アトランタ − 全米労働衛生看護師協会(American Association of Occupational Health Nurses: AAOHN)の新しい調査によれば、アメリカの労働者の大半は、職場の暴力の重大な兆候に気づかないことが多い。

 調査では、「危険信号」行動のリストを見せたが、典型的な危険信号のいくつかを特定できたのは、調査対象の4%未満に過ぎなかった。大半は、アルコールや薬物の使用、攻撃的な性格を職場の暴力の潜在指標として特定できたが、消極的な性格や協調性に欠ける行動、ことばによる脅迫といった特徴に気づくものは、ほとんどいなかった。

 また、アメリカ人の多くは、自分の労働環境は、職場の暴力といった脅威からは安全であると考えていた。職場の暴力の経験について、懸念を示したのは、わずかに12%である。協会は、これは、働く人々の間に偽りの安全感をもたらすと述べた。労働統計局(Bureau of Labor Statistics: BLS)が、労働死亡災害の原因の第2位として、殺人を挙げていることを指摘している。

 本調査は、連邦捜査局(Federal Bureau of Investigation: FBI)国立暴力犯罪分析センター(National Center for Analysis and Violent Crime)の支援を得て行われた。協会によれば、今回の調査結果は、職場の暴力に関する従業員教育・訓練の必要性を示している。


見過ごしやすい暴力の兆候

職場で暴力をふるう人の特徴 特徴を認識できた回答者の割合
静かで、人づきあいを避ける 30%
消極的な性格 20%
協調性に欠く行動、うそをつく 3%
行動や調子を変える 3%
個人的な苦難 2%
暴力の経歴 2%
精神疾患、双極性うつ病 1.7%
ことばによる脅迫、暴言 1%

 出 所:AAOHN(全米労働衛生看護師協会)、2003年