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NSC発行「Safety + Health」2004年4月号

ニュース

ロックアウト/タグアウト改正基準、代替手法を提示

 イリノイ州デプレーンズ(Des Plaines, IL) − 20年前に制定されたロックアウト/タグアウト基準が、今月中に初めて改正される。代替手法を提示するのは、今回が初めて。
 これらの代替手法を提示することで、改正基準は、業界は空白状態で操業するのではないということをようやく認めるに至ったと、米国規格協会Z244委員会(American National Standards Institute (ANSI) Z244 committee)のエド・グランド会長(Ed Grund, chair)は述べた。「旧基準は、まったく近視眼的なものであった」と同氏。「旧基準は、ロックアウトにのみ照準を絞ってあった。これは、絶対主義者の見方で、完璧な世界では機能するだろうが、われわれが白黒のつく単純な世界に住んでいるのではないことをほとんど念頭に入れていない」。
 Z244.1―2003「有害エネルギーの管理 − ロックアウト/タグアウトおよび代替手法(Control of Hazardous Energy― Lockout/Tagout and Alternative Methods)は、4月14日付けで刊行されている。
 グランド氏は、多くの場合、ロックアウト/タグアウトは、きわめて非実際的であるか、もしくは局部的にのみなし得る、というのも仕事をこなすだけの動力源を残さねばならないからである、と述べた。
 いつもエネルギーゼロというのは非実際的であるため、業界は長年、かなり非公式な、一貫性のないやり方ではあるが、代替手法を用いてきた。今回の改正基準ではようやく、こうした手法をいかに安全に遂行するか、ガイダンスを示すことになる。
 「業界は、しばしばOSHA基準の文言に抵触しつつも、操業を続けねばならない事態に対処する方法を編み出していった」とグランド氏。「それで改正基準は、『そこにいる事業者や従業員の皆さん、これ(代替手法)をやらなきゃならないのであれば、安全の観点から合法的なやり方がありますよ』ときたわけです」。
 代替手法を用いるにあたり、改正基準は、リスクアセスメントの必要性についても触れている。「古い紋切り型の代替手法は、十分に優れたものではない。代替手法を用いるには、検証と基準が必要である。リスクアセスメントは、このための手段である」とグランド氏。
 リスクアセスメントの要点は、体系的な管理であり、これについても改正基準は触れているとグランド氏は付け加える。改正基準は、「リスクアセスメントをしたとしてもなお、代替手法を用いる際に最善の結果を得るためには、優先的手法があるのだという考えを強調している。無論、個人用保護具や訓練は、重要性が低い」とグランド氏は説明する。
 ANSI基準は任意であるため、今回の改正基準への代替手法の追加は、労働安全衛生庁(Occupational Safety and Health Administration: OSHA)のロックアウト/タグアウト基準に影響を及ぼすだろうか。OSHAのロックアウト/タグアウト基準は、当局のもっとも違反行為の多い基準上位10位に一貫して格付けされており、ANSIの改正基準が、OSHA基準をめぐる当局の監督行政を変えるとは、グランド氏は考えていない。むしろ、グランド氏は、「事業者がロックアウト/タグアウト違反による召喚に異議を唱えて、これら〔Z244.1〕の文書を持ち出すケースが増えるだろう。事業者は、『われわれは、エネルギー管理に最新のアプローチを採用している。監督当局とは裁判所でお会いしましょう』とくる。従来、事業者には、自分の立場を弁護しようにも根拠も機会もほとんどなかった」。
 改正基準は、代替手法に加え、機械・器具の製造業者に対し、設計要件を初めて提示し、また旧基準では触れるにとどめていた問題を詳述した。たとえば、改正基準は、書式、図解やさまざまな産業で用いられている代替手法を掲載した大量の付録を盛り込み、事業者が直面する課題をいくつか具体的に説明していると、グランド氏は指摘した。
 基準の改正には20年を要したものの、安全専門家は、次回の改正版を2008年までに期待できるだろうと、グランド氏はいう。
 「基準を再検討または改正する必要は、5年間はないだろうが、今後5年間に起きる事柄や、現在、欧州基準に関連してわれわれの回りで起きている事柄、技術面で起きている事柄から、次回の改正プロセスでは、意見や追加がもっと出てくるだろうと思う」と同氏。
 詳細は、最近、全米安全評議会(National Safety Council: NSC)から事務局を引き継いだ米国安全技術者協会(American Society of Safety Engineers)まで、電話:(847)699-2929またはwww.asse.orgで照会できる。